好業績や株主還元を好感 「エンディングビジネス」関連株が上昇

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株式市場で「エンディングビジネス」(葬祭サービス)関連株が買われています。QUICKが選定する関連銘柄の平均上昇率は5.7%と、東証株価指数(TOPIX、2.5%)を上回りました(5月9日までの5営業日の騰落)。株価が上昇した5銘柄とその背景について解説します!

変化しながら拡大する葬祭需要を取り込み

エンディングビジネス関連株が上昇したきっかけは好調な決算や株主還元の強化です。好調な決算の背景には、変化しながら拡大する葬祭需要を取り込む企業の多様な展開が挙げられそうです。

経済産業省の特定サービス産業動態統計調査によると、葬儀業の取扱件数は2000年から2024年には約2.8倍に増加しています。

その中、新型コロナウイルス禍の影響などもあり、葬儀のスタイルは変化。大人数で高単価の「一般葬」が減り、少人数で低単価の「家族葬」や「一日葬」などが増えつつあります。

また、企業サイドでも、DX(デジタルトランスフォーメーション)による効率化や、生前から顧客を取り込む「終活」などの新たなサービスへの対応などを進めています。

好業績や株主還元の強化、さらには関税政策に左右されにくい内需関連株の物色も追い風となりました。

資本効率の改善などに期待【燦ホールディングス】

上昇率首位の燦ホールディングス 」は専門葬儀社最大手である公益社を中核に、葬儀事業を展開。2024年には同業のきずなホールディングスを買収しています。

8日に発表した2025年3月期連結決算は大幅な増収増益。決算発表と同時に、年間配当を原則減らさない累進配当の採用や、8%の自己資本利益率(ROE)を安定的に達成する方針も発表しました。さらなる株主還元強化に向けて、収益性や資本効率の改善に期待が高まりました。

香港ファンドが株式買い増し【ニチリョク】

上昇率2位の「ニチリョク」は葬祭場の運営のほか、墓地や墓石の販売などを手掛けています。香港のヘッジファンド、ロング・コリドー・アセットマネジメントが2日、ニチリョクの株式を買い増し、保有割合が21.75%になったと公表しました。前回公表時は6.24%でした。さらなる追加取得への思惑も物色につながりました。

自社株買いを発表した企業も

平安レイサービス 」は冠婚葬祭事業などを幅広く手掛けています。同社は7日、2025年3月期連結純利益が前期比で53%増え、期末配当を積み増すと発表しました。また、2025年9月30日にかけて自社株買いも実施すると発表しました。

広済堂ホールディングス 」は葬祭関連のほか、印刷や人材サービスなどを展開しています。

サン・ライフホールディング 」は葬儀や霊園の管理などをしています。9日に発表した2025年3月期連結純利益は前の期比で25%減ったものの、2026年3月期は3%の増益を見込んでいます。終活支援事業の拡充などを目指しています。

内需株の一角としても注目

団塊の世代の高齢化などに伴い、厚生労働省は85歳以上の大幅な増加が2035年まで続くと見込んでいます。多様化する需要に対応し企業も変化する内需株の一角として、注目してみてはいかがでしょうか。