配当株投資をしている投資家さんに、年間10万円の配当金をゲットできるポートフォリオを考えていただく本連載。第3回にご登場いただくのは、2023年3月に45歳で会社を早期退職し、配当を主な収入源とした生活を実践している長期株式投資さんです。
日興フロッギーでは100円から投資でき、単元株(100株)に満たない株数でも配当金を受け取れるので、配当株投資にはピッタリです。早速、長期株式投資さんにポートフォリオの内訳を聞いてみましょう。
長期株式投資さん流 10銘柄で年間10万円のポートフォリオ
こんにちは! 10万円の配当金をゲットできるポートフォリオを考えてくださって、ありがとうございます。早速ですが、この10銘柄を選んだ基準を伺ってもいいですか?
超長期で保有でき、配当利回りが高いことを基準にしています。
確かに、長い目で見ても盤石な、日本を代表する企業・オールスターズって感じです……!
「増配余力」をはかる「株式益利回り」に注目
早速ですが、挙げていただいた銘柄の中で、気になった点について教えてください!全体的に業界首位級の銘柄が多い印象ですが、「 みずほリース 」を選んでいるのが気になりました。リース業界だと「 三菱HCキャピタル 」の方がメジャーですよね。
みずほリースは連続で増配していて、予想PERが6.94倍と割安なんです。予想配当利回りが4.33%と高いですが、さらに増配の余力があると思って選びました。
増配余力がある、というのはどうやって判断しているんですか?
EPS(1株当たり純利益)を株価で割って計算する「株式益利回り」をもとに考えます。みずほリースの場合、株式益利回りが14.82%※です。
株式益利回りが配当利回りにどう影響するんでしょうか?
株価に対する1株当たりの純利益が14.82%で、それに対して今の予想配当利回りが4.33%だとすれば、まだ配当を増やす余力があるな、という風に判断しています。
なるほど……! そんな風に、増配の可能性まで考えて投資しているんですね。
そこまでしなくても良いですが、株式益利回りは大事だと思います。簡単に言うと、1株当たりの利益が安定していて、PERが低ければ低いほど良いということですね。それぐらいだったら、チェックしやすいのではないでしょうか。
確かに! 分かりやすいです!
優待をもらいつつ、配当金も連続増配
みずほリース以外にも、「 ヒューリック 」が気になりました! ヒューリックは優待銘柄としても人気がありますよね。長期株式投資さんは優待も配当金も受け取れる銘柄をたくさんお持ちだと思いますが、そのなかでヒューリックを選ばれた理由は何ですか?
300株を2年以上持つと、6000円分のカタログギフトがもらえるんです。1回優待を受け取ると、売ってしまうのはもったいないという心理が働きます。そうすると、結果的に長く持ち続けられる、という観点で選びました。
長期保有という観点で選んでくださったんですね。カタログギフトの内容も良いのでしょうか?
ヒューリックのカタログギフトは質が高いと思います。例えば6000円分と書いていても、送料込みの会社と送料は別の会社があるんです。ヒューリックは後者のカタログギフトだと思いますよ。
そうなんですね。確かに、もらえるなら、質が高いカタログギフトが良いです!
そうですよね。それにヒューリックは業績も良いですし、予想配当利回りも3.91%と高い。12期連続増配銘柄※でもあるんです。
優待も配当金も良いと聞くと、買いたくなっちゃいますね……!
円高の影響、どこまで気にすべき?
ところで、選んでいただいた10銘柄は世界で活躍する企業が多いので、為替の影響を受けやすそうなイメージです。今後、日本が金利を上げていくと円高が進む局面がありそうですが、業績に影響しないんでしょうか?
業績は為替の影響を受けますが、長い目で見たら調整していくと考えています。今回選んだ企業は外国で稼いでいるので、ドルベースの収入があるはず。為替が一定だと仮定すると、ビジネスが現地で上手くいっていれば現地のキャッシュを稼げるので、問題はないかなと。
決算報告書を出した時に、円高だと利益が減ったように見えませんか?
見えると思います。ただ、そこはあまり気にしていなくて、その国で行っているビジネスが上手くいってるかどうかに重きを置いています。
表に見える数字で判断せず、ビジネスそのものがどうか。そういう視点はありませんでした……!
例えば、「 JT 」は為替の影響を受けた業績と、為替の影響を受けない為替一定ベースの業績(前年同期の為替レートを用いた業績)を公表しています。そういうところをチェックして、ビジネスをしっかり理解すれば、そんなに怖がることはないのかな、と。
JTは、そんな風に業績を開示してるんですね。為替の影響を受けた業績と、為替の影響を受けない為替一定ベースの業績、両方見た方が企業の実態が分かりますね。
為替は読めないですから。アメリカが利下げ、日本が利上げという流れからすると、円高になるのは既定路線だと思いますが、それは予測できないという前提で考えて、短期的な株価の動きも含めて、どういう風に動いても大丈夫な方法はないか考えることが大事だと思います。
大丈夫な方法っていうのが、なかなか難しいです……!
下落が続く優良銘柄は「買い」なのか?
SNSなどでも話題になっていましたね。
4月になってからはトランプ大統領の関税施策が影響して、業績が良い銘柄や割安な銘柄でも、大きく下落する日がありました。そういう時でも、淡々と買い増ししているんですか?
NTTや三菱商事はもともと持っている株数が多いので、そんなに積極的に買い増さないんですけど、三菱商事は2500円を切ると予想配当利回りが4%を超えるので、NISAで買い増しをしています。NTTは買える水準の株価なので、ワンコイン投資と名付けて、1日3株をNISAで買っています。
面白いですね! 確かに、NTTなら500円で3株以上買えちゃいますね!
定期的に買うと、高い時は株数が少なく、安いときは多く買えます。長い目で見たら株式というのは期待値がプラスなので、そういう意味では良いのではないかと。
ドルコスト平均法の考え方ですね!
そうです。まずは業績が安定している銘柄を定期的に買うように習慣づけて、慣れてきたらPERやPBRを5年ほど見て、数値が低い時期に買うと良いと思います。
業績が安定している銘柄は、どのように判断すればよいですか? あと、PERやPBRの過去5年分の推移を見る方法も教えてください!
先ほども話題に出ましたが、業績については1株当たりの利益、EPSが安定していることですね。EPS、PER、PBRの推移は、IRBANKというサイトで確認できます。
ありがとうございます! それなら分かりやすいし、マネできそう。ただ、過去の業績は良かったけれど、今後はどうなんだろう……と迷う時もあります。そういう時にどうすればいいかも知りたいです。
決算説明書や企業の動画を見て、企業の方針を確認すると良いと思います。
企業の方針……具体的にはどういうことでしょうか?
例えば、決算説明会や報告書などを見ると、NTTも三菱商事もビジネスを仕込んでいる投資先行の時期だということが分かります。投資先行の時期にはEPSが伸びない可能性がある。EPSが伸びない時期には株価が上がらないかもしれませんが、投資が回収されるターンになり、利益が見込まれると株価が上がっていくと思います。
そこまで先を見据えて投資しているんですね。
そうですね。投資先の企業が長期的にこういうことを考えている、ということが理解できれば、不安が払拭されるのではないかなと思います。
ありがとうございます! 長期で保有できるような業績が安定している銘柄を、PERやPBRが低い時期に買う、判断に迷う時には長期的な企業の方針を確認するなど、初心者でもマネしやすいポイントがたくさんありました!
次回は、長期株式投資さんの「推し配当株トップ5」を伺います。
INPEX
ブリヂストン
三井物産
三菱UFJFG
東京海上HD