業界首位のグローバル銘柄を! 推し配当株TOP5 長期株式投資さん中編

年間10万円ゲット?! 配当金リッチ生活のススメ/ 長期株式投資日興フロッギー編集部

今回は、長期株式投資さんがおすすめする「推し配当株ベスト5」を伺いました。長期株式投資さんが選んだ銘柄は、業界首位のグローバル銘柄がメイン。どのように選んだのか、考え方や理由を教えてもらいましょう。

「年間10万円の配当金ポートフォリオ 長期株式投資さん前編」を読む

※本記事に登場する予想配当利回りなどは特に断りがない限り、いずれも2025年4月16日時点です。また、1株当たり配当金はすべて会社予想です。


こんにちは! 今日は長期株式投資さんが推している配当株を教えてください!


私が選んだ推し配当株はこちらです。


ありがとうございます! 「年間10万円の配当金ポートフォリオ」で挙げた5銘柄と重複してるんですね!


はい。こちらは超長期で保有でき、配当利回りが高いということに加えて、業界首位級でグローバル展開であることを加味して選んでいます。


同じ銘柄が選ばれたのは、この連載で初めてのケースです。「推し」の強さが伝わります。

TOP5は、累進配当か増配傾向


早速推しポイントを伺いたいのですが、この5銘柄って……もしや累進配当か、連続増配している銘柄だったりしますか?

累進配当とは、企業が株主に払う配当金を、最低限でも減らさず、継続的に増やしていく方針のことです。


INPEX 」※と「 三菱商事 」、「 東京海上 」は累進配当を採用しています。「 NTT 」は13期、東京海上は12期連続で増配していて、今期も増配を予定しています。「 ブリヂストン 」は減配している年もありますが、長期的に見れば増配傾向です。


累進配当と増配銘柄は、高配当銘柄の中でも、人気ですよね……!

※INPEXの累進配当は2025年度から2027年度の中期経営計画期間中の予定です。

業界2位の方が高配当! それでも「推し」は業界トップ


東京海上は、直近の3年間で株価が2倍以上になっています。上場来のチャートを見ても大きく上昇していますが、これからも上がりそうですか?


長期チャートで見ると上がっていますが、過去1年間のチャートで見ると、株価は上下しています。安くなった時に買うと良いと思います。


予想配当利回りは3.21%なので5銘柄の中では高くないですが、長期株式投資さんが「推す」理由は何でしょうか?


保険業界の中でも、非常に安定感があると思います。それに、M&Aなどで拠点を一気に拡大していて、それがことごとく上手くいっている。デューデリジェンスの精度が非常に高いと思います。

デューデリジェンスとは、投資を行う際に、投資対象となる企業や投資先の価値、リスク等を調査することです。


損保大手では「 MS&AD 」も予想配当利回りが4.97%と高い水準です。東京海上と比べても利回りが1%以上高いですが、それでも業界トップの方が良いのでしょうか?


MS&ADは、私も結構持っているんですよ。ただ、東京海上の方が「推し」ですね。保険業の中では純利益が圧倒的だと思います。


決算短信を調べると、東京海上の2025年3月期の会社予想純利益は1兆円、MS&ADは6300億円。だいぶ差があるんですね。


そうなんです。あと、MS&ADの配当金が高いのは、政策株式を売却している影響もあります。今期(2025年3月期)の予想配当金は145円ですが、そのうち100円が普通配当金で、45円は政策株式を売却した利益の還元です。

政策株式とは、取引先との関係維持や強化のために企業が保有する株式のことです。大手損害保険会社は、企業向けの保険料を事前に調整していた問題をきっかけに、金融庁から政策株式を売却する要請を受けました。大手損害保険会社は、2029年度末もしくは2030年度までに政策株式をすべて売却する方針を公表しています。


知りませんでした……長期株式投資さんは配当金の内訳まで、チェックしているんですね!


もっとも、政策株式の売却はMS&ADだけではなく、大手損保全体で共通しています。東京海上も約3兆5000億円(2024年3月末時点の時価ベース)の政策株式を、2029年度末(2030年3月末)までにすべて売却する方針です。


3兆5000億円のうち、どの程度が利益なんでしょうか?


IR資料によると、簿価は約4000億円なので、3兆円程度の含み益ですね。2024年度〜2029年度末(2024年4月~2030年3月末)にかけて売却していく方針です。その利益は配当金や自社株買いで還元していくと思います。


3兆円! そんなに利益があるなんてすごい……! 売却益が純利益に計上されたり、配当金に還元されたりするなら、2030年まで損保業界は好調そうですね。


通常の配当に加えて、政策株式の売却益が還元されるボーナスターンが来ていますね。すでに公開されている情報なので市場は織り込んでいるでしょうが、こういった長期的な背景を踏まえて、株価が安くなっている時に買うのは良いと思います。

自動車メーカーではなく、タイヤメーカーを推すワケ


「推し」銘柄のうち、タイヤメーカーのブリヂストンを選んでいるのも気になりました! 自動車メーカーでなくタイヤメーカーを選ばれたのは何故ですか?


タイヤは消耗品なので、空飛ぶクルマにならない限り、交換需要があります。それにブリヂストンは世界でもフランスのミシュランと並ぶ、首位級のタイヤメーカーなんですよ。


そうなんですね! 日本のタイヤメーカーとしてはトップだと思ってましたが、世界でもそんなに活躍してるんですね。


はい。その地位が揺らぐことはないのかな、と思います。また、昨年発表した中期事業計画で、2026年度(2026年12月期)の配当金目標を1株あたり250円レベルにすると発表していて、その実現にも期待しています。


今期(2025年12月期)の会社予想配当利回りは3.97%ですし、配当利回りも高いんですね。


はい。ただ、自動車メーカーの株も今は安いと思うので、良いと思いますよ。ブリヂストンも、業績が悪くなる時や株価のアップダウンがそれなりにあると認識しています。「推し株」ということなので、好みの問題ですね。

盤石な基盤に加え、新たなビジネスへ投資


他の銘柄の推しポイントも、詳しく教えてください! 「年間10万円の配当金ポートフォリオ 長期株式投資さん前編」では、NTTや三菱商事は将来に向けてビジネスを仕込んでいる時期と伺いましたが、具体的にどういうビジネスを展開しようとしているんですか?


NTTはIOWN(アイオン)構想という次世代の通信インフラを2030年に実現するため、研究開発を進めています。


IOWN構想!? どんなものか想像もつきませんが、実現するとどんな良いことがあるのでしょうか?


電力の効率が上がったり、データを送れる容量が大幅に増えたりします。NTTのHPには、スマホは充電を気にせず使い続けられる、空飛ぶ車や宇宙旅行が現実になる、といった具体例が紹介されていますね。


えー! それはすごすぎますね……。スマホの充電も地味に嬉しいけれど、空飛ぶ車や宇宙旅行は、革命的な変化ですね! ぜひ実現してほしいです。三菱商事やINPEXは、どんなビジネスを展開しようとしているんでしょう?


三菱商事は、2020年に欧州を代表するクリーンエネルギー企業である、オランダのEneco社を中部電力と共同で買収しています。『株主通信』(2020年11月)によると、Eneco社が蓄積してきた豊富な知見とノウハウに、三菱商事が世界各国で蓄積してきた知見を掛け合わせて、欧州を皮切りに、日本やアジア、米州へと電力ビジネスの展開を目指しているようです。


そうなんですね。クリーンエネルギー事業は、日本では洋上風力発電で苦戦しているイメージがありました。日本だけではなく、世界での事業展開にも注目してみたいです。INPEXについても伺っていいですか?


INPEXは、インドネシアでの天然ガス開発事業など、次の大型ビジネスを着実に進めて、将来の利益拡大の布石を打っています。


インドネシアの天然ガス!? またもや全然イメージがわきませんが、どんなものなのか、もう少し詳しく教えてください!


INPEXがインドネシアで進めているアバディLNG※プロジェクトは、INPEXがオペレーターとして参画するアジアでも有数の大規模プロジェクトです。LNG生産量は年産950万トンが見込まれていて、これは現在利益の6割程度を稼ぐイクシスLNGプロジェクトと同程度の規模となっています。

※液化天然ガスのこと。石炭や石油よりもCO₂(二酸化炭素)排出量が少ないなどのメリットがあります。


そんなに大きなプロジェクトが進んでいるんですね! LNGの生産はいつ開始するんでしょうか?


2030年代初頭の生産開始を目指していて、実現すれば収益基盤は大幅に強化されることになります。


数年先のことを見据えて、今から投資しているんですね。確かに、実現したら大幅な増益になりそうです……! こうやって教えていただくと、業界首位のグローバル銘柄であるだけでなく、累進配当や増配、将来のビジネスへの投資など、今後も楽しみな銘柄を選んでくださったことが分かりました! ありがとうございます。

今回、「推し配当株ベスト5」を教えてくれた長期株式投資さん。最終回となる次回では、長期株式投資さんがもらっている配当額の上位を占める10銘柄と、配当株投資に行き着くまでのストーリーをお伺いします。

次回は5/13(火)配信予定です。