暴落を乗り越え、オートモードの配当金生活へ 長期株式投資さん後編

年間10万円ゲット?! 配当金リッチ生活のススメ/ 長期株式投資日興フロッギー編集部

2023年3月に45歳で会社を早期退職し、配当を主な収入源とした生活を実践している長期株式投資さん。最終回である今回は、長期株式投資さんがもらっている配当額上位10銘柄を教えてもらいました! さらに、長期株式投資さんがNISAで外国株に投資する理由や、配当株投資を始めるまでのストーリーを伺いました。

「年間10万円の配当金ポートフォリオ 長期株式投資さん前編」を読む
「業界首位のグローバル銘柄を! 推し配当株TOP5 長期株式投資さん中編」を読む

※本記事に登場する予想配当利回りなどは特に断りがない限り、いずれも2025年4月16日時点です。また、国内株式の1株当たり配当金は、すべて会社予想です。

NISAでは、イギリスのタバコ銘柄に投資


今回は、長期株式投資さんの配当銘柄のポートフォリオを教えてください!


全体では135銘柄、外国株1銘柄、J-REIT7銘柄を持っています。2024年の配当金は、日本株とJ-REITの合計で459万3541円、外国株が863.1ドルでした※。特に配当額が多いのは、下記の10銘柄です。

※日本株とJ-REITは税引き後、外国株はNISAで保有および発行する国がイギリスのADRのため、税引き前と同額


7位に外国株が入っているのが気になりました! 唯一お持ちの外国株がブリティッシュ・アメリカン・タバコなのは何故ですか?


配当利回りが高くて、NISAで非課税になるからです。


え!? 外国株はNISAでも税金がかかるって聞いたことあるんですが、非課税なんですか……?


私が持っているのはブリティッシュ・アメリカン・タバコのADR(米国預託証券)です。NISAで米国株に投資する場合には、配当金に税金が10%かかるんですが、ブリティッシュ・アメリカン・タバコはイギリスの会社なので、配当にかかる税金が非課税なんです。


そうなんですね! 米国株はNISAでも配当金に課税されるから、NISAで投資するなら日本株の方が良いって思い込んでました。

ADRとは、米国外の企業などが発行する米ドル建ての預かり証券で、ニューヨーク証券取引所に上場されているものもあります。中国企業やインド企業のADRも取引されていて、日本国内の証券会社を通じてそれらを売買することもできます。ただし、NISA口座で投資しても、発行する国によっては配当金に外国税がかかることがあります。


ちなみにブリティッシュ・アメリカン・タバコの利回りってどのくらいなんですか?


私が買った時の利回りは9%以上でした。今は41.83ドルで、会社予想配当利回りは7.43%ですね。この銘柄は2月・5月・8月・11月と配当があって、日本で配当金をもらえる時期と重ならないので、補完しやすいなと思いました。


配当利回り、そんな高いんですね。すごい……! 年に4回配当があるのも嬉しいですね。

ブリティッシュ・アメリカン・タバコのADRは、日興フロッギーおよびSMBC日興証券で買付できませんが、HPで株価や概要をチェックすることはできます。
ブリティッシュ・アメリカン・タバコの株価をチェックする

ライブドア・ショックで7年間の含み損


そもそも、長期株式投資さんはどうやって配当株投資に行き着いたんですか? 著書には、2006年のライブドア・ショックで含み損を抱えて、含み損が解消されたのは2013年と書いてありました。2013年までの間にリーマン・ショックのような歴史的な暴落が起こっていますが、嫌になりませんでしたか?


そんなに嫌だとは思っていなかったんだと思います。2009年3月からブログを書いているんですが、当時、株価が下がって安すぎるといったことを書いていました。あまり気にせずに淡々と買っていましたね。


含み損を抱えながら、コツコツ買い続けられるのがすごいです……。


始めた時期が2004年で、2006年にライブドア・ショック、2007年にサブプライム危機、2008年にリーマン・ショック。始めた時期が悪かったので、それが当たり前だと思ってたんです。当時はXもまだなくて、2ちゃんねるとかYahoo!掲示板くらいしかなかったですし。


2ちゃんねるって懐かしい! 今は役に立つ情報を発信する人が増えて、情報を得る手段がたくさんある。昔に比べると、恵まれていますね。

1冊の本をきっかけに、配当株投資をスタート


情報発信という意味では、本の影響は受けています。配当株投資をしようという考えに至ったのは、「株式投資の未来」という本を読んだことがきっかけです。


どういう内容なんですか?


成長性が高い企業と成熟した企業を53年間で比較して、どちらの株のリターンが大きいかを比較した内容です。成長性が高い企業のリターンの方が大きいと予想されがちですが、実際のところ、配当金を再投資したトータルリターンは成熟した企業の方が大きいんです


意外ですね! 53年間を振り返って、歴史的に検証したんですね。


そうなんです。株価だけ見ると成長性が高い企業の方が上がっているんですが、株価と配当金のトータルリターンは成熟した企業の方が大きいというのが歴史的に検証されています。これは「成長の罠」という考え方で、大きく影響を受けました。


成長性が高いグロース株ではなく、配当利回りが高い大型株を買うという考え方は、その頃に固まったのでしょうか?


そこからですね。配当と値上がり益でどのくらいプラスになったか、という考え方を株主総利回り(TSR)というのですが、有価証券報告書にも載ってるんですよ。


有価証券報告書にも!? 知りませんでした……!

株主総利回り(TSR)とは、トータル・シェアホルダー・リターンの略で、株式投資により得られた収益(値上がり益と配当金)を投資額(株価)で割った比率で表されます。日本では、2019年3月期以降の有価証券報告書に開示することが義務付けられていて、経営トップの報酬額を決める指標としても使われています。


株主総利回り(TSR)は、なかなか注目されないのですが、皆さんに知ってほしいですね。

配当金を「見える化」してモチベーションアップ


長期株式投資さんは博識で、しっかりとした持論を持って投資していますよね。本も4冊執筆して、夢の配当金生活を実現していますが、今後はどんなことをやっていきたいとお考えですか?


こうやったらいい、という方法論は、SNSやブログで議論が尽くされて、周知されたかなと思っています。ただ、それを初心者の方が実現するためにはどうすればいいかな? と考えています。


どうすればできるか……確かに難しいですね。新NISAをきっかけに投資を始めても、相場の調整で暴落すると、嫌になって止めてしまう人もいますよね。


そうですね。長く続けるために私が大事だと思っているのは、短期的な成果を見える化することです。短期的な成果を積み重ねて長期的な成果につなげるのが、ビジネスの世界のセオリーです。株式の世界では、短期的な成果として、配当金は分かりやすいと思います。


確かにそうですね!


例えば、NTT 」を1株買うと配当金を5.2円もらえます(5.2円は2025年3月期の会社予想配当金)。牛乳1本買うくらいの値段で1株買ったら、今後減配がなければ毎年5.2円もらい続けられる。100株買ったら520円。それを積み上げたら、いくらになるかイメージするんです。


そういうイメージを持ちつつ買って、実際にいくらもらえるのか、数値化しておくと良いということでしょうか?


はい、それが成果の見える化ですね。年間で受け取れる金額が今月これだけ増えた、とか先月から何百円増えているとか。時々振り返ると良いと思います。


おっしゃる通りだと思います。配当金の増加という小さな成功体験を積み重ねて、まずは年間の配当金が10万円になるという目標を目指していきたいと思います! 改めまして、本日は取材を受けてくださいまして、ありがとうございました!

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