歴史ある「精鋭」企業がずらり ダウ・ジョーンズ工業株価平均

あなたの知らない「インデックスの世界」/ おせちーず須山 奈津希

「日経平均を配当利回りでさらに厳選 日経平均高配当株50指数」を読む

今回ご紹介する株式インデックスは「ダウ・ジョーンズ工業株価平均」です。おそらく、日本人が一番馴染みを持っている米国株式インデックスです。え? そんな長い名前の米国株インデックスなんて知らない? それはインデックスの名前が略して使われることが多いからです。「NYダウ」なら聞いたことがありませんか? テレビなどのニュース報道で米国株市況を伝える場面で耳にすることが多いのではないでしょうか。

約130年の歴史を持つ「NYダウ」

「NYダウ」は1896年5月から算出されている米国株式インデックスです。 2026年、算出開始から約130年を迎えます。算出開始当時は12銘柄で構成されていましたが、1928年に30銘柄で算出される指数になりました。正式名称は「ダウ・ジョーンズ工業株価平均」です。というのも、別に20銘柄で構成される「ダウ・ジョーンズ輸送株価平均」と15銘柄で構成される「ダウ・ジョーンズ公共株価平均」という異なる産業分類の株式インデックスもあるためです。なので、実は本来は「NYダウ」だけでは説明不足なのです。 また「工業」という日本語で表現されますが、英語表記は”Dow Jones Industrial Average”で、Industrialは他業種も包含する「産業」という意味で使われています。ですから、工業製品メーカー株だけで構成されているわけではありません。

世界産業分類基準(GICS)の資本財・サービス・セクター内にある運輸産業グループと、公益事業セクターの構成銘柄についてはそれぞれ「ダウ・ジョーンズ輸送株価平均」、「ダウ・ジョーンズ公共株価平均」の採用対象となるため「ダウ・ジョーンズ工業株価平均」には採用されません。指数のタイプは「単純平均」です。株式分割や併合に対応するために「除数」が用いられます。この辺りは日経平均株価と同じです。

かつてはニューヨーク証券取引所に上場する銘柄のみで構成されていましたが、1999年にNASDAQに上場しているインテル(INTC)マイクロソフト(MSFT)が採用され、現在は30銘柄中7銘柄がNASDAQに上場しています。

銘柄選定ルール

「NYダウ」のメソドロジー(ルールブックのようなもの)によれば、「NYダウ」採用銘柄は「企業の評判が高く、持続的な成長を達成し、多くの投資家が高い関心を示すものに限られる」ことになっています。

また、指数の中で最も株価の高い銘柄が最も株価の低い銘柄の10倍以内かを監視し、あまりにも株価が高い企業は採用されません。30銘柄は米国で設立され、米国に本店を構えている企業である必要があります。さらに、売上高の大部分は米国で得ているという条件があります。利益の水準や、売買高、時価総額等の定量的なルールはありません。採用されている30銘柄は米国を代表する精鋭企業と理解すればいいでしょう。2025年4月末時点の採用銘柄をアルファベット順にご紹介します。市場はN=ニューヨーク証券取引所、Q=NASDAQを意味します。

構成銘柄が30銘柄と少ないためか、銘柄見直しは定期的ではなく、必要に応じて行われます。しかも、入れ替え日の数日前にいきなり発表されます。とはいえ、2000年以降に実施された銘柄見直しは3回だけです。

銘柄入れ替えが頻繁ではないことが理由と筆者は考えていますが、比較的歴史ある企業が多く、近年の米国の花形産業ともいえるハイテク企業がそれほど多くはありませんアップル(AAPL)ですら、採用されたのは2015年でした。30銘柄中最も長く「NYダウ」に採用され続けている銘柄はプロクター・アンド・ギャンブル(PG)で、1932年に採用されています。ちなみに、2024年11月に採用されたシャーウィン・ウィリアムズ(SHW)は塗料のメーカーです。

チャートを確認

では、「NYダウ」のチャートを確認しましょう。
30年程度を切り取っても、「NYダウ」には浮き沈みがあったことがわかります。30年ぐらい前は5,000ポイントを下回っていたんですね。2025年に入ってから値を下げているなぁと感じているかもしれませんが、それでも2020年春のコロナショック時から約2倍になっています。「米国株強し」を感じさせるチャートです

もちろんフロッギーで買える・選べる

歴史があり、知名度が高い米国株指数ですから、もちろん東証に上場しているNYダウ連動ETFがあります。

上場インデックスファンド米国株式(ダウ平均)為替ヘッジあり
NEXT FUNDS ダウ・ジョーンズ工業株30種平均株価(為替ヘッジあり)連動型上場投信

単元取引の場合は、いずれも最低でも数千円が必要ですが、フロッギーであればもちろん100円から取引可能です。長い目で見れば、株式指数は上昇局面が多くあります。ただ、もちろんどんな株式指数でも浮き沈みは必ずあります。しかし株式指数にお金を少しずつ投資しておくことで、何年か経つうちに資産は増えていくものだと思いながら、適度なリスクをとってのんびり投資をしていきたいものです。