ほったらかし投資のカギは「長期」「ドルコスト平均法」「プロの力」

投資がもっと楽しくなる!日興フロッギー選書/ クロスメディア・パブリッシング前川 富士雄

投資や資産形成をもっと楽しくするためにピッタリの書籍を、著者の方とともにご紹介する本連載。今回は、「ほったらかし投資」を行ううえでの基本ルール「長期」と「ドルコスト平均法」、そして「プロの力を借りる」ことについて、IFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー)としてこれまで実に1万人以上の資産運用の悩みに応えてきた前川富士雄さんと見ていきます。[PR]

ほったらかし投資の基本ルール 長期

前回の記事では、「ほったらかし投資」の4つの基本ルールの1つ「分散」についてお話ししました。今回は残りの3つ、「長期」「ドルコスト平均法」「プロの力を借りる」について解説します。

ほったらかし投資を成功させるには、時間の力が必要です。ここではまず「長期」の話をしましょう。

上の図は、1973年に100万円を投入したときの運用実績です。折れ線グラフが「全世界株指数」という、株の平均値のようなものです。上の線が、米国で有名なニューパースペクティブ運用の長期の運用実績です(日本ではニューパースペクティブ運用と同じ運用を行うものとして、キャピタル世界株式ファンドがあります)。

1987年あたりに、いわゆる「ブラックマンデー」が起きました。そこで世界的な大暴落が起こっています。そこから1990年の大暴落、これが日本でいうバブル崩壊の時期にあたります。その後もさまざまな出来事があって、2008年にリーマン・ショックがありました。このときも株価が大暴落して経済も苦しい状況になりましたが、それを乗り越えながら株価は徐々に上がっていきます。

2019年末の実績を見ると、全世界株指数が1886万円と約18倍に増えています。逆算すると約6.5%の複利で運用していたことになります。100万円を46年間6.5%の複利で回していくとこうなるのです。企業が出す利益が積み上がっていく株の本質から考えると、驚くことのない自然な姿ですね。ブラックマンデーやリーマン・ショックといったように、世界が大騒ぎして株価が暴落したにもかかわらず、この運用成績です。

一方で、ニューパースペクティブ運用の2019年末の実績は5791万円になっていて、逆算すると9.1%の複利で回っていたことになります。定期預金なら0.002%の複利ですから、100万円を30年預けても約600円しか金利は付きません。この差は、大きいと思いませんか。金利の力、そして「長期」の時間を味方につけると、このような力を発揮するのです。

そこに、もうひとつのキーワード「積み立て」の力が加わります。次に積み立てのお話をしましょう。

ほったらかし投資の基本ルール 積み立て(ドルコスト平均法)

ここで「ドルコスト平均法」についてお話ししましょう。ドルコスト平均法と聞くと、「難しそう」なんて思われるかもしれませんが、安心してください。

リンゴを毎月、購入していくケースを例に見てみましょう。リンゴを毎月「10個」ずつ買うパターンと、リンゴを毎月「1000円」ずつ買うパターンがあります。どちらがおすすめでしょうか?

結論からいうと、毎月、一定の金額で購入する方がおすすめです。ではなぜそうなるのでしょうか。

リンゴの価格が100円、200円、50円と変動したとします。そしてあなたは毎月同じ日にリンゴを買わなければいけないとします。

まず、毎月、一定の個数を買う人は、100円のときには1000円払って10個を買うことになります。200円のときは2000円払って10個を買います。続いて、50円のときには500円払って10個を買います。結果、30個を買うのに支払ったお金は3500円となります。それで1個あたりいくらで買ったかというと、116円です。

それに対して、毎月一定の金額で購入していく場合は、リンゴが100円のときには1000円払って10個を買います。次に200円のときには、結果として5個しか買えませんでした。リンゴの価格が下がって50円になりました。1000円分買うと、20個買えますね。

ここまでで、3000円支払って35個を購入したことになります。1個あたりいくらで買ったかというと、85円です。毎月10個ずつ買ったケースよりも安く買えていますね。つまり、一定金額の購入を継続していくと、安いときに多く購入し、高いときには少しだけしか買えないので、平均単価が安くなるのです。このような購入の仕方を、ドルコスト平均法といいます。

では、100円、200円、50円と変動する価格で購入したあと、最終的にリンゴを90円で売却するとして、儲かるのか損するのかを見てみましょう。

一定個数購入した人(毎月10個ずつ買った人)は、今30個のリンゴを持っています。払ったお金は累計で3500円です。もし90円で売却したら2700円にしかなりませんから、800円の損失になります。

一方、毎月一定の金額で購入した場合を見てみましょう。10個、5個、20個と買ってきて、最終的に3000円で35個のリンゴを買えました。90円の時点で売れば3150円となり、150円の利益を得ることができます。リンゴの値段は当初の100円から90円に下がっていますが、結果として利益が出ています。

これを投資信託にあてはめて考えてみると、コンスタントに価格が上がっているものは継続して買っていけば安心でいいですし、なかなか上がらない場合も、安いうちに多く購入できることになります。最終的に、投資信託の価格が上昇していった場合、「単価×口数」で、予想以上に好成績になるケースがあるのです。まさに、積み重ねた口数の威力を実感できるときです。

ドルコスト平均法を実行すれば、平均単価は下がりますし、買うタイミングを悩まなくていいのです。さらに、あわせてリスク管理もできます。この考え方はいろいろなところで応用できます。

ほったらかし投資の基本ルール プロの力を借りる

ここでもうひとつ、「ほったらかし投資」には大切な考え方があります。それが「体制」です。言い換えると、チームづくりといってもいいでしょう。

「どうしたらいいだろうか?」という疑問に的確にアドバイスをくれるプロを味方につけると、ゴールにさらに近づくことができます。

パートナーは、いろいろな心配事をすぐに相談できる「人生の伴走者」のような存在を選ぶといいでしょう。この「ほったらかし投資」の場合でも、お金を預ける投資ですから、心配はつきものです。しかし、それをそのままにしていては前に進むことはできません。そのため、気軽に相談できることが大事なのです。また、金融業界では転勤や転職で担当者が変わるケースも多いので、注意が必要です。

もちろん、自分自身で投資信託を買って運用するのもひとつの手です。ただ、人間は誰しも目の前の価格変動などで左右されてしまいますし、不安で止めてしまい、結局、短期で売買する方も多いですから、客観的なアドバイスは投資に成功するためには欠かせないと考えています。あなたにとってのベストなチームを組めるように、幅広く情報収拾をしていきましょう。

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