“無国籍資産”に買い安心感? 「ビットコイン」関連株が上昇

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株式市場で「ビットコイン」関連株が買われています。QUICKが選定する関連株の平均上昇率は4.9%と、東証株価指数(TOPIX、0.2%安)に対して逆行高となりました(5月23日までの5営業日の騰落)。株価が上昇した5銘柄とその背景について解説します!

米国債格下げで無国籍資産として注目度が高まる

5月16日、米大手格付け会社が財政赤字の拡大などを理由に米国債の格付けを引き下げました。これを受け、暗号資産(仮想通貨)市場で代表的な仮想通貨であるビットコインが買われました。ビットコインの“無国籍資産”としての強みがクローズアップされた形です。

さらに、20日には、仮想通貨ステーブルコインに関連する法案「GENIUS法案」の審議が進展したことから、トランプ米政権下での規制が明確になることで整備が進み、利用が増大するとの期待が高まったことも追い風となりました。

22日には、11万ドル台に乗り1月に付けた最高値(10万9000ドル台)を更新したことで、ビットコイン関連銘柄に買いが波及しました。

ビットコイン保有量で世界トップ10入り目前【メタプラネット】

上昇率首位はビットコイン投資を手がけるメタプラネットです。5月19日にビットコイン・トレジャリー事業の一環として、約152億円分(1004ビットコイン)を追加購入したと発表し、累積保有枚数は7800ビットコイン(取得総額は約1053億8400万円)となりました。

ビットコインを保有する企業の動向を調査する「ビットコイン・トレジャリーズ」によると、同社のビットコイン保有量は世界11位。同10位の米フィンテック大手のブロックに迫る規模となっており、世界的にもビットコイン企業としての注目度が高まっています。

1月に公表した「2025-2026年ビットコイン計画」では、25年末までに1万ビットコイン、26年末までに2万1000ビットコインの保有を目標に掲げており、今後の動向から目が離せません。

ビットコインを約99億円保有【REMIX】

上昇率2位はエネルギー関連事業を展開する「リミックスポイント」です。2023年に暗号資産取引所を運営するビットポイントジャパンを売却したことで金融関連事業からは撤退しましたが、ビットコインには積極的に投資しています。

5月13日時点で5億円分を追加投資し、ビットコインの時価評価は約99億円、評価益は約17億円となっており、今後のビットコインの価格動向次第では業績への寄与が期待されそうです。

株主優待にビットコイン、顧客満足度で高評価も

デジタルギフトを手がけるデジタルプラスは3月中旬に、子会社のデジタルフィンテックが運営する「デジタルギフト」の株主優待ギフトでビットコインなどの暗号資産株主優待の提供を開始すると発表したことで、ビットコイン関連の一角として注目されました。上場企業でデジタルギフトの導入が相次いでおり、投資家の関心が高まりそうです。

スマホゲーム運営のgumiは3月下旬に株主優待制度の導入を発表し、25年4月末時点で500株以上保有している株主を対象に抽選で約1600万円相当のビットコインを贈呈するとしました。

GMOインターネットグループはグループ企業のGMOコインが暗号資産取引所を運営しています。MMD研究所やオリコンが発表した満足度調査では上位にランクインしており、投資家からの支持が高そうです。

機関投資家による資金流入が続く

昨年1月、米SEC(証券取引委員会)がビットコイン現物ETF(上場投資信託)を承認して以降、米国の機関投資家からの資金が流入してビットコイン価格を押し上げているとみられます。

また、昨年の大統領選でトランプ氏は、「米国を暗号資産の首都、ビットコインの超大国にする」と述べ、業界への支持を明確にしていました(『トランプ氏勝利で規制緩和期待 「暗号資産」関連株が上昇)

ファーサイド・インベスターズによれば、5月18~24日の週間ベースでビットコイン現物ETFへの資金流入額は27億5000万ドルと前週(6億8000万ドル)から大きく膨らんだことが最高値更新の原動力となっています。

今後もトランプ関税や米財政問題など不透明要因が強まると、ビットコイン市場への資金流入の流れが強まる可能性が高そうです。