株式市場で「ドローン(無人機)」関連株が買われています。QUICKが選定する関連銘柄の平均騰落率は13.4%高と、東証株価指数(TOPIX、0.5%安)に対して大幅な逆行高となりました(6月13日までの5営業日の騰落)。上位5銘柄とその背景について解説します!
大統領令に署名で急上昇
ドローン関連株が上昇したきっかけは、トランプ米大統領によるドローンの利用促進に向けた大統領令への署名です。
ホワイトハウスによると米連邦航空局(FAA)に対して規制を緩和するなどして、ドローンの商業利用や輸出を加速するほか、民間のドローンを国家航空宇宙システムに統合するための工程表を示すよう求めました。
米政府の動きを受けて、日本を含む世界でドローンの実用化が一段と加速するとの思惑から、関連銘柄の一角に買いが膨らみました。
下水道の調査にも尽力【リベラウェア】
上昇率首位の「 リベラウェア 」は点検用の小型ドローン「IBIS2(アイビスツー)」の開発を手掛けるスタートアップです。IBIS2は、煙突や焼却炉など、人の出入りが難しく危険な場所などの点検で使われています。
また、同社は主要都市自治体と連携し、下水道の調査にも取り組んでいます。埼玉県八潮市の道路陥没事故では、落下したトラックの運転席部分とみられるものを発見しました。水道管を始め、インフラ対策銘柄の一角として物色される場面もありそうです。
AIや3Dデータも活用【テラドローン】
上昇率2位の「 テラドローン 」はインフラ建設時の測量支援や災害復旧、石油業界の設備の点検、農業支援など、ドローン活用事業を幅広く手掛けています。AI(人工知能)やデータの3D化など、最新技術を活用した高品質のサービスを提供できるのが強みです。
インドネシアやマレーシアなどでパーム油の農薬や肥料散布の支援をするなど、海外展開も積極的に取り組んでいます。
ドローンの利便性向上の動きも
「 セーフィー 」はドローンで撮影した映像を、リアルタイムで配信や共有ができるサービス「セーフィー・コネクト」を手掛けています。
「 TIS 」はコーポレート・ベンチャー・キャピタル(CVC)を通じて、ドローンの導入支援を手がけるブルーイノベーションに出資しています。
「 ミライト・ワン 」は子会社を通じて、農業や点検用のドローン販売を手掛けています。
軍事使用など用途の広さも意識
足元では地政学リスクの高まりを受けた物色も進みました。米当局者がイスラエルからイランへの軍事作戦を実行する準備が整ったとの報告を受けたと伝わり、米政府は11日、中東地域に駐留する政府職員や米兵家族を退避させ始めました。イランがイスラエルへの攻撃で100機以上のドローンを使用したとも報じられ、軍事使用など用途の広さも意識された模様です。
ドローン関連銘柄は過熱感が意識される場面があるものの、長期的な成長期待は根強く過去にも上昇する場面がありました(『防衛・インフラでニーズ高まる 「ドローン」関連株が上昇』)。 各社の決算発表や取り組み内容も丁寧に確認しながら、投資対象の一つとして検討してみてはいかがでしょうか。