億までの人 億からの人 ゴールドマン・サックス勤続17年の投資家が明かす『兆人』のマインド

今日からお金賢者になれる「1分書評」/ 日興フロッギー編集部

ゴールドマン・サックスに勤務し富裕層の思考を間近で見てきた投資家による「兆人」マインドの決定版。著者自身の学びや熱い体験談も多く、読んでいるだけでモチベーションが上がります。

生涯お金に困らない富裕層の知恵を学ぶ

日本の富裕層は2013年以降、増え続けているそうです。世帯数だけでなく資産保有額も右肩上がり。「正しいアクションが結果を出した」証左だろうと著者はいいますが、本書ではそんな富裕層のアクション、生活習慣やお金の使い方をつまびらかにしていきます。

意外なところで「数年待ちの飲食店には行かないこと」、なるほどと思うのが「フェラーリを持つ理由」。「節約よりも節税」に目が行くのは富裕層ならだよねと思いつつ「節約のように我慢を強いられることなく支出を削減できる」という発想は庶民にも響きます。

株の売却益にかかる約20%の税金にモヤモヤする人は多いと思いますが、所得税・住民税は合計で最大55%。「汗水たらして労働したお金の税率」の方がずっと高い、という皮肉も覚えておいた方がいい、と筆者は語ります。

とんでもなく稼ぐ人たちの多くは「普通のことをやっている、普通の人たち」と筆者は言い切ります。ただし「普通のこと」を「圧倒的にやれるかどうか」。こう書いた著者自身「毎朝3時45分に起床して25キロ走るか、60キロ自転車に乗るか、7000m泳ぐかを日課にしている」ことをサラリと言及。

となると、自分には「億からも、億までも」も難しそうと思う人が大半かもしれません。そんな「兆人」エピソードに事欠かないのが本書。まずは自分にフィットしそうな項目を「圧倒的にやる」で、マインドチェンジを目指したいですね。

あまり聞くことのないトレーダーの本音を知ることができるのも本書の面白いところ。たとえば、1000億円規模の売買をするプロにとって、100億円規模の中小型株は買いにくいのだそうです。それは細心の注意を払わなければ1回の取引で株価に大きな影響を与えかねないから、だそう。

また、プロはファンド運用で預かったお金を「良い投資先がない」という理由で寝かせておくことができません。しかし個人投資家は、金額や売買タイミングともに、そうした制約がありません。「中小型株は個人投資家の方が実を結びやすい」との解説に、心動かされたことを告白しておきます。