株式市場で「アイウェア」関連株が買われています。QUICKが選定する関連株の平均上昇率は8.0％と、東証株価指数(TOPIX、0.2％安)に対して逆行高となりました(7月11日までの5営業日の騰落)。株価が上昇した5銘柄とその背景について解説します！
日差しの強い日が続きサングラス売上好調
アイウェア関連株が買われたきっかけは、好調な月次売上高の発表です。関連企業の6月の売上高は、梅雨明けを前に日差しの強い日が続き、紫外線をカットするサングラスなどの売上が好調だったようです。
気になる梅雨明けについては、6月27日に大阪管区気象台が近畿地方の梅雨明けを宣言しました。平年より22日早く、1951年の統計開始以降で最も早い梅雨明けとなりました。
紫外線(UV)の強さを指標化したUVインデックスは梅雨明けの7月に一気に上昇し、8月にピークをつける傾向があるためUV対策が例年以上に早期に必要となります。
UVは肌だけではなく目の健康にも影響を与えます。黒目で吸収しきれない紫外線が水晶体や角膜など黒目以外の部分にも届く可能性があり、最終的に角膜が炎症を起こして目の痛み・充血を起こす場合もあります。
こうした目のダメージが続くと、白内障などの重い疾患につながるリスクもあるとされ、UV対策としてサングラスやUVカットレンズの需要が高まるとみられます。
サングラスの販売に注力【インターメスティック】
上昇率首位は低価格眼鏡チェーン店「Zoff(ゾフ)」を運営する「 インターメスティック 」です。
製造から小売りまでを一貫して自社で手掛けるSPA(製造小売業)方式をメガネ業界へ初めて導入し、品質を犠牲にすること無くメガネの適正価格化を実現。「メガネが主役の時代をつくる」をミッションに掲げ、メガネをただの視力矯正道具ではなく、Ｔシャツのように毎日着替えるファッションアイテムとして普及させることを目指しています。
また、同社はサングラスについてファッション性を備えた安全な外出のための必需品へと変えるべく販売に注力しており、2024年夏には銀座でサングラス特化型店舗「Zoff 西銀座店」を出店しました。
月次売上高は好調が持続しており、7月4日に発表した6月の既存店売上高は前年同月比2.1％増で、各種コラボレーション商品やプロモーション、紫外線関連商品が好調でした。5月実績（3.6％増）から伸びは鈍化しましたが、前年同月の高いハードル（21.2％増）を上回ったのは前向きに評価できそうです。
24年9月～25年5月期は大幅な増収増益【JINS】
「 ジンズホールディングス 」が7月4日に発表した6月の既存店売上高は前年同月比8.6％増と好調が持続しました。継続的なキャンペーン活動により、高単価商品の販売が好調に推移したことに加え、気温上昇によりサマーシーズンに向けた季節性商品が売上をけん引しました。
11日の取引終了後に発表した2024年9月～25年5月期の連結決算は売上高が前年同期比18％増の698億円、営業利益は76％増の88億円でした。国内アイウェア事業で継続的な販促キャンペーンが奏功し、レンズ・フレームともに高単価の商品が好調に推移したうえ、インバウンド需要などが追い風になりました。なお、決算を受けた翌週の市場では、予想据え置きをネガティブに捉えたようです。
UVカットレンズ、好決算で注目 創業100年を迎える老舗も
「 HOYA 」はメガネレンズ大手で、昨春にシステム障害で生産が一時停止すると業界全体に影響を与えるなど存在感が際立っています。プラスチックレンズ素材のほとんどがUVカットを標準装備しており、レンズ表面へ直射するUVを99％以上、レンズ裏面に反射して入ってくるUVも約95％カットするなど全方位で眼元をUVから守っています。
「 Japan Eyewear Holdings 」の2025年2～4月期連結業績は、売上高に相当する売上収益が前年同期比9％増の41億円、営業利益は9％増の13億円でした。主力の金子眼鏡で国内外におけるブランドの浸透に伴い店舗販売が堅調に推移したのが寄与しました。
「 パリミキホールディングス 」は30年10月に創業100周年を迎える眼鏡専門店の老舗です。「他にない新しい価値創造」を掲げて、1973年のパリ出店を手始めに世界へマーケットを広げ、14の国・地域で事業を展開しています。
サングラスの市場規模は拡大見通し
調査機関によれば、世界のサングラス市場規模は2024年の161億2077万ドルから、33年には235億4749万ドル（年平均成長率4.3％）に拡大すると見込まれています。サングラスは太陽から目を保護するための特殊なレンズを備えた保護メガネであると同時に、派手さとファッショナブルな外観であることから若者の間で魅力的なアクセサリーの一部として需要が高まっています。機能性とデザイン性を見極めて投資先を探りたいですね。