改訂版 決算書が読めない社員はいらない 木村俊治

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投資や資産形成をもっと楽しくするためにピッタリの書籍を、著者の方とともにご紹介する本連載。今回は、企業分析を実践するために役立つ、損益計算書・貸借対照表などの「決算情報」やその「周辺情報」はどこで得られるのかについて、公認会計士の木村俊治さんと見ていきます。[PR]

決算情報や周辺情報の情報源

ここでは、企業分析を実践するために役立つ情報として、損益計算書・貸借対照表などの決算情報はそもそもどこから得られるのか。そして次に、決算書以外の会社の情報がどこにあるのかといったことを説明します。具体的には、①決算短信、②有価証券報告書(四半期報告書)、③事業報告書、④会社四季報、⑤信用調査レポート、⑥会社HPを紹介していきます。

とくに「決算情報以外の情報」を得ることは大切です。決算書というのは、会社を知るための1つのツールでしかありません。他の背景知識を集めて、それと決算書を合わせて見ることで、決算書だけでは知りえなかった情報が見えてくるのです。

①決算短信

決算短信は、一般的な手段のなかでも最も早い段階で、会社の事業や決算状況を知ることができる資料です。情報の内容としては、会社の経営状況、財政状況、会社の業績予想などがあります。この決算短信のなかには、貸借対照表、損益計算書、キャッシュ・フロー計算書が含まれています。

決算短信は、上場会社が決算期、または3ヶ月に1回のタイミングで会社の状況を報告するために作成する情報です。3ヶ月に1回のタイミングで作成報告される決算短信は、四半期決算短信と呼ばれています。決算は、決算期から遅くても45日までには報告が義務付けられていますが、多くの会社は30日前後で報告しています。

よく新聞で会社が増収だったとか、増益だったなどの記事を見ることがあるかもしれませんが、その新聞の元ネタは、この決算短信で報告される売上高・利益の額です。投資家やメディア関係が最も注目している情報でもあります。

この決算短信は、東京証券取引所などの取引所のHPや、各社のHPより入手が可能です。各社の貸借対照表、損益計算書、キャッシュ・フロー計算書の情報を得るための1つとして、私も各社のHPよりダウンロードして入手しています。

分析のための情報がまとまっており、会社の決算情報をもっとも早く入手できることから、私もしばしば利用しています。

②有価証券報告書(四半期報告書)

有価証券報告書の特徴は、何よりも情報量の多さです。有価証券報告書は決算日後3ヶ月以内に発表すればよいので、決算短信よりも発表の時期は遅れます。

しかし、監査法人や公認会計士の監査というチェックを経ていますし、その情報の豊富さは他の情報源の追随を許しません。多くの会社で、有価証券報告書の記載ページは100ページを超えるほどです。

内容は、事業内容、経営成績等の決算情報だけでなく、株主の状況、役員の状況、従業員の状況、設備の状況等が詳しく記載されています。決算情報などの数値情報や、それ以外の会社の情報を組み合わせることで、会社の強み弱みを分析することや、会社の課題・問題点を分析することができます。

私も会社を本格的に分析するときには利用しますし、機関投資家等会社分析を専門にする方々は、この有価証券報告書を大いに利用していると思います。会社を分析する際にはとてもありがたい資料なのです。

有価証券報告書・四半期報告書はともに「EDINET」で無料入手することができますし、各社のHPにて開示されています。

③事業報告書

決算短信や有価証券報告書は主に上場会社が作成報告するものですが、こちらの事業報告書はすべての会社に作成が義務付けられている報告書で、決算期ごとに事業の経過等を報告するものです。

この事業報告書は、上場会社以外の会社でも、決算書以外の会社の状況を把握できるので重宝します。しかし、上場会社のように監査法人や公認会計士などの監査を受けていない会社では作成していないことも多く、必ずしも情報が充実していないことがあります。

事業報告書は原則として、株主になれば決算期後3ヶ月以内に送付されてきます。また、会社によってはHPに掲げている会社もあります。上場会社以外の取引先会社から決算書を入手する時があれば、事業報告書も同時に入手を求めると、提出してもらえる可能性があるのでトライしてみてください。

上場会社であれば、有価証券報告書の入手先である「EDINET」の有価証券報告書情報に、「代替書面・添付書類」を見るサイトがあり、そこの株主総会招集通知にて見ることができます。

④会社四季報

3ヶ月に1回すべての上場会社の業績や業績予想をコンパクトにまとめて報告しています。会社を知る最初の入口としては最適な情報源かもしれません。書店で購入することが可能です。

⑤信用調査レポート

「帝国データバンク」や「東京商工リサーチ」等の信用調査会社が発行するレポートです。上場していない会社や株主でない会社の情報を得たいときに利用できます。レポートでは、会社の業績や資本関係、借入状況等が記載されています。民間会社のレポートですから、有料です。

⑥会社HP

最近は多くの会社がHPの内容を充実させています。会社の沿革、店舗状況、会社の理念、事業内容等が情報としてHP上にあることがあります。

決算書を読む前には、会社の事業内容をある程度イメージしてから読むほうが良いことがありますから、そのイメージを作るために会社HPを読んでみることをおすすめします。私は、会社の情報を得るときには、必ずHPを見るようにしています。


 

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