プロバスケットBリーグ アリーナ集客が魅力 企業の参画続々

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男子プロバスケットボール「Bリーグ」が盛り上がりをみせています。5月に閉幕した2024~25シーズンの入場者数は484万5109人と過去最多になりました。この活況に企業も注目し、スポンサー活動を通じて自社の知名度向上や地域貢献、新規事業につなげる動きが出ています。Bリーグ所属「アルティーリ千葉」の筆頭株主であるヒューリックを中心に各社の動向をご紹介します。

ヒューリック、千葉に2万人規模のアリーナ開発

不動産投資開発の「 ヒューリック 」は7月、千葉県立幕張海浜公園にアルティーリ千葉のホームアリーナとなる施設の開発検討を開始すると発表しました。約2万人を収容できる国内最大規模のアリーナで、2030年の開業を目標に計画を進めています。現在のホーム「千葉ポートアリーナ」は約7500人を収容できますが、新アリーナは3倍近い大きさになります。

アリーナではバスケの試合だけでなく音楽コンサートなどのイベント開催にも対応。ヒューリックにとってアリーナ建設は地域貢献だけでなく、アリーナを中心に人を呼び寄せる街を作り、イベント開催などのサービス提供を通じて収益機会を広げる取り組みにもなります。 

千葉県内には「 MIXI 」が資本提携した船橋市を拠点とする人気チーム「千葉ジェッツ」もあります。アルティーリ千葉のホームアリーナ建設で、地域内のBリーグ人気に弾みが付きそうです。

「Bプレミア」が呼び込むアリーナへの投資

Bリーグではクラブの経営力を高めるための改革を進めており、その1つが26~27年シーズンから始まる「Bリーグ・プレミア(Bプレミア)」という審査基準です。

Bプレミアは、アリーナを拠点に地域の発展を目指すことを主軸としており、平均入場者数4000人以上、売上高12億円以上(バスケ関連事業9.6億円以上)といった基準を満たしたチームが所属できます。成長の原動力となるアリーナは5000席以上 かつスイートルームの設置などが求められ、規模の大きいアリーナの整備はBプレミア入りには必須です。

Bリーグ・プレミア」とは

Bリーグの新基準。
競技成績による昇降格制度ではなく、5000席以上のアリーナなど基準を満たせば参入できるエクスパンション型。
各チームによる地域活性化やバスケットボールのブランド力をより高めるため、経営を重視。

26年秋に開幕するBプレミアに参入するチームはアルティーリ千葉も含む26チームがすでに決定しています。今後Bプレミア入りを目指すチーム・企業が大規模アリーナの新設・改修に動けば、事業拡大や地域活性化につながりそうです。

スポーツエンタメの集客力に注目する企業続々

Bリーグチームに大手企業が参画する背景には、スポーツエンターテインメントの集客力の高さがあります。 

ディー・エヌ・エー 」はプロバスケットチームの「川崎ブレイブサンダース」やプロ野球チーム「横浜DeNAベイスターズ」を通じてスポーツ事業を手掛けています。

クラブチームにとっても資金力のある企業スポンサーの支援はチーム力の強化・発展に必要不可欠です。 

バンダイナムコホールディングス 」傘下のバンダイナムコエンターテインメントは19年に「島根スサノオマジック」の経営権を取得。今年5月にはスサノオマジックのホームアリーナ「松江市総合体育館」の改修費用として、企業版ふるさと納税を通じて総額30億円を島根県松江市に寄付しました。Bプレミア入りに向けたアリーナ整備を後押しするもので、実際、スサノオマジックは26~27年シーズンのBプレミア参入が決まっています。

Bリーグのチーム経営を担う企業はさまざまな業種にも広がっています。

グループウエアソフト開発の「 サイボウズ 」は6月、同社創業の地である愛媛県を拠点とするプロバスケットボールチーム「愛媛オレンジバイキングス」を運営するエヒメスポーツエンターテイメントを子会社化すると発表しました。

人材サービスの「 ディップ 」は、「さいたまブロンコス」の運営会社を子会社化したと6月に発表しました。子会社化を機に、Bプレミアの昇格を目指した取り組みを強化する方針です。

企業の支援も増えるなか、Bリーグを起点とした地域振興や事業活動の促進は今後も広がりを見せていきそうです。