約1年ぶりに最高値更新!なぜ上がる日本株

日興フロッギーNEWS/ 日興フロッギー編集部

8月12日の日本株市場で日経平均が約1年ぶりに最高値を更新しました。12日の終値は4万2718円と前週末比+897円高。今回は高値更新の背景をはじめ、買い手の存在や、今後の注目ポイントなどをサクッと解説します。

この1年は内需好業績がけん引

前回高値日である24年7月11日から先週末までの騰落を業種別に見ると、倉庫・運輸関連業や非鉄金属、その他製品などが大きく上昇しました。一方で、医薬品、化学、輸送用機器などは下落しています。

上昇した業種は主に好業績の内需関連です。トランプ政権による関税の影響が少ない企業、AIやクラウド事業の需要拡大の恩恵を受ける企業などが株価をけん引しました。

下落した業種では、薬価引き下げやトランプ米大統領による高関税の懸念が燻る医薬品が大きく下げました。また、化学、輸送用機器など輸出関連株は、日米間の関税を巡る不透明感から、売られやすい地合いが長く続いたものと見られます。

4月以降「海外投資家の買い」続く

投資部門別で見ると、継続的な事業法人による買い(自社株買い)に加え、25年4月以降の海外投資家による買いが日本株をけん引している様子が伺えます。まだ昨年の買い越し水準までバッファがあり、買い余力がある状態とも読み取れます。

最高値更新の背景3つ

高値を更新した背景は主に以下の3つが挙げられます。

1つ目は底堅い企業業績です。25年3月期の決算は営業利益が前期比6.5%増となるなど好調な決算結果となりました(TOPIX採用ベース)。また、関税政策の不透明感が残る中で発表された4-6月決算では、懸念された関税の影響が想定より小さく、底堅い決算を発表する企業が相次ぎました。こうした企業業績が投資家に安心感をもたらしました。

2つ目は関税に関する不透明感の後退です。トランプ政権は高い関税を最初に提示し、その後の交渉で相手国と現実的な関税水準に着地させるということを繰り返しています。まだ関税の影響が完全には見えているわけではないですが、想定の範囲内に収まるケースが多く、マーケットがもっとも嫌がる「不透明感」という霧は徐々に晴れつつあるようです。

3つ目は円安進行です。米国では7月の雇用統計が大きく下振れし、過去の雇用データも下方修正されたことなどから、次なる1手は利下げに傾きつつあります。一方で、国内では日本銀行が年内に利上げすることが想定されていますが、米政権による関税の影響などに鑑み、そこまで利上げを急がないという見方も出てきています。こうした状況にリスクオンが重なり、やや円安方向に為替が向きつつあります。こうしたことも海外投資家による日本株買いを下支えしているものと見られます。

今後の注目ポイント

今晩の米CPIをはじめとした物価動向および景況感など、米国利下げを妨げる可能性のある材料には注意が必要です。また、ジャクソンホールなどで各中央銀行総裁がどういった発言をするかにも注目が集まりそうです。

最高値を更新した日経平均株価。ただ、米景気そのものには黄色信号が灯っており、今後も本当に企業業績の好調さが続くかどうかは見極めどころです。いつでもリスクコントロールできるように、「勝って兜の緒を締める」スタンスも忘れずに。

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