株式市場で「非鉄金属」関連株が買われています。QUICKが選定する関連株の平均上昇率は2.8%と、東証株価指数(TOPIX、0.2%安)に対して逆行高となりました(8月22日までの5営業日の騰落)。株価が上昇した5銘柄とその背景について解説します!
増産発表で物色広がる
非鉄金属関連株が上昇したきっかけは、関連企業によるデータセンター向け部材増産の発表です。
8月20日、三井金属鉱業がAI(人工知能)の普及に合わせてデータセンター向けの高性能な銅箔の増産をすると発表。2026年9月までに月産840トン体制を整え、25年4月時点の580トンから45%拡大します。需要が当初の計画以上に増加しており、「今後も更なる拡大が期待される」と説明しています。
データセンターの機器では配線材料としての銅や、接合部のバリア材としてのチタンなど、非鉄金属が幅広く使われています。同社の発表を受け、データセンター関連銘柄として将来的な業績拡大に寄与するとの期待が改めて高まり、非鉄金属関連株に資金が向かいました。

業績見通しの上方修正も【JX金属】
上昇率首位の「 JX金属 」は半導体向けの材料となる非鉄金属を幅広く手掛けています。シェアはAIデータセンター向けのチタン銅で約60%、半導体に電気回路を形成する際に使う金属材料「スパッタリングターゲット」で64%を握っています。同社は次世代半導体に使う新たな薄膜材料の製造にも注力しています。
AIサーバー向けのほか、スマートフォン向けの圧延銅箔の販売も好調で、5日に2026年3月期業績見通しの上方修正を発表しました。データセンター向けの需要が持続すれば、一段の成長につながるとの期待が高まっているようです。
次世代メモリー素材も手掛ける【三井金属鉱業】
「 三井金属鉱業 」は高性能銅箔のほか、次世代半導体の実装に使われるガラス製基板(キャリア)や次世代メモリーの素材として注目される酸化物半導体「IGZO」のベースとなる製品も手掛けています。足元の半導体向けの需要拡大が業績に寄与する可能性は十分にあり得るでしょう。
高品質チタンメーカーなどが上位に
「 大阪チタニウムテクノロジーズ 」はチタンメーカー大手の一角で、半導体や液晶向けの材料を手掛けています。特に高品質が求められる航空機エンジン向けチタンを製造できる世界でも有数の企業の一つです。
「 平河ヒューテック 」はデータセンター向け高速伝送ケーブルなどを手掛けています。
「 東邦チタニウム 」はJX金属が親会社で、同社に高純度チタンを提供しています。いずれの銘柄もデータセンターの増加による恩恵が期待されます。
広がるデータセンター関連の物色
生成AIの普及によりデータセンター向けの需要が拡大するとの見方は根強く、過去にも関連銘柄に買いが膨らんだ場面が散見されています(『『スターゲート』事業で脚光 「データセンター」関連株が上昇』)。
電力や送電網、設備工事など、データセンター運営との関わりがイメージしやすいテーマにとどまらず、今回のような、機器の素材メーカーなどまで幅広く物色され始めています。
広い視野を持ちながら日々のニュースに触れたり業界を深掘りしたりすると、意外な関連銘柄に出会えるかもしれません。