日本は数十年に一度の大チャンスを迎えている! ジョージ・ソロスを大儲けさせた伝説のコンサル、初の著書。読めば目からウロコ、世界経済への視座が変わります。
転換期到来! 日本は世界の勝者になる
著者いわく、世界はゲームチェンジの只中にあるとのこと。東西冷戦以降の世界を支えてきた「新自由主義」的な価値観はアメリカを中心に崩壊寸前なのだそう。
この一世代あまりの時間軸で、貧富の差は広がり、移民は急速に増え、キリスト教文化も廃れ始めたーー。トランプ現象はアメリカ人が「現状維持ではなく、システムの破壊者を選んだ」現れだともいいます。欧州における自国中心主義の台頭やウクライナ戦争、その他世界で発している多くの混乱も「今のシステムはもうナシ!」という鬱屈が根底にあるとも。
さて、この流れが日本経済にどう関わってくるのか? 大前提として「新自由主義の最大の敗者は日本で最大の勝者は中国であったこと」「世界カジノのオーナーは依然アメリカであること」。この先がポイントで、歴史的に見ても既存システムが転換する時、勝者や敗者が入れ替わる。さらに、アメリカは日本に「再び勝てるテーブルを用意している」と言います。
ソ連との冷戦下にて、日本を必要としたアメリカですが、足元の米中対立で日本の力を必要としています。東西冷戦時の主戦場はヨーロッパでしたが、今度の舞台は東アジア。
このように地政学的にも「日本」の優位性は増していて、既に、米国のIT企業から日本へ、半導体サプライチェーンの構築など兆円規模の投資マネーも入ってきている。これからの数年間は「あの時が日本の転換点だった」と後年語られるような変化が起こる、と語ります。
本書では「失われた30年」にも触れていますが「失業率上昇を嫌い、生産効率を犠牲にした結果」との考察も興味深いです。「失業=人格否定」と受け止めかねない、日本人の性質を汲んだのが失われた30年につながったーーという見立てに、うなりました。
ちなみに韓国では似た局面において、雇用カットを進めた後はダーウィンの進化論よろしく、新自由主義で目覚ましい発展を遂げました。世界マネーの最先端を見てきた著者だけに、開店休業状態が続く中国投資やEUの苦しい局面、また日本同様チャンスを迎えるインドなどの情報にも詳しく言及しています。地政学が何たるかを知りたい方にもおすすめです。