時価総額と流動性で分かれるニューインデックスシリーズ

あなたの知らない「インデックスの世界」/ おせちーず須山 奈津希

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2024年8月にこの連載で「TOPIX」をご紹介しました。日経平均株価よりなじみがないかもしれませんが、実は多くの方がお世話になっている株式指数です。なお日本株運用の「ベンチマーク」としては日経平均株価よりポピュラーなものでしたね。今月はその「TOPIX」をさらに細分化した株式指数をご紹介します。

TOPIXニューインデックスシリーズ

細分化した株式指数の総称は「TOPIXニューインデックスシリーズ」です。「TOPIX」の構成銘柄を時価総額と流動性(売買代金)の観点から細分化し、規模別に分類した時価総額加重型の指数群です。2001年2月26日から算出・公表されています。その構造はこのような図で示されます。

それぞれの枠の中に、個別銘柄が属しています。TOPIXを構成する銘柄は、上記の枠のいずれかに分類されています。どこに属するかは、その銘柄の時価総額と流動性によって決まります

「大型株」「中型株」「小型株」というくくりは「東証規模別株価指数」を構成するもので、実はこちらの方がTOPIXニューインデックスシリーズより歴史は長いです。TOPIXニューインデックスシリーズは東証規模別株価指数をさらに細分化したものです。マーケットの動きを知らせるニュースなどで、「今日は大型株主導でTOPIXが上昇した」といった説明があれば、Core30とLarge70で構成される100銘柄の株価が好調だったんだなと理解すればいいでしょう。

時価総額と流動性が大切だからこそあるインデックス

話をTOPIXニューインデックスシリーズに戻しましょう。こんなに細かい区分をすることにどんな意味があるんだ? と思われるかもしれませんね。きちんと意味はあります。機関投資家と呼ばれるいわゆる「プロ」は株式投資をするときに時価総額と流動性を非常に重視します。売買が活発な銘柄でないと、買いたい時に買いたい量を買うことも、売りたい時に売りたい量を売ることもできず、資金運用に支障があるからです。

では、日本株で時価総額が大きくて流動性が高い銘柄ってなんだろう? と考えたときに、Core30とLarge70をまず確認すればいいということになります。TOPIXは約1700銘柄で構成されますが、時価総額と流動性に優れた銘柄はどれなの? というときに、Core30とLarge70に採用されている銘柄が優位であるとすぐに理解できます。一方、中小型株投資を専門にする投資を行っているプロや個人投資家もいます。そのような方はTOPIX Smallを投資対象にすればいい、という目安になります。筆者が証券アナリストをしていたころは、おおむねTOPIX500ぐらいを投資対象にする日本株運用者が多かったように思います。

余談ですが、このような細かい区分は日本株だけと思われたのではないでしょうか。実は米国株にも似たようなものがあります。「S&P100」という指数は、S&P500のなかの超大型株で構成されているんですよ。

区分はどのようにして決まるのか

各個別銘柄の区分がどのようにして決まるのか。それにはもちろんルールがあります。

区分の見直しは、年に1度、10月です。毎年8月末時点の時価総額と売買代金を評価基準として用い、10月の第5営業日(基本的には引け後)に見直しの結果が公表されます。2025年は10月7日(火)です。公表結果をもとに10月の最終営業日から新構成銘柄に基づくニューインデックスシリーズの指数算出を開始します。

見直しの結果は、JPXのwebsiteに掲載されます。

昨年8月からの1年間に大きく時価総額が変化した銘柄は、現区分からの変更が予想されます。

TOPIXが好調な時はCore30も好調

2025/8/8~8/15の東証規模別株価指数大型株、中型株、小型株の推移を示したものがこちらのチャートです。

2025年8月中旬にTOPIXが史上最高値を更新した時には、大型株のパフォーマンスが非常に好調でした。大型株は時価総額加重平均型株式指数であるTOPIXに占めるウエイトが高い銘柄群ですから、TOPIXが好調な時は、大型株が強いということになります。

こんな環境なら、大型株だけ買えればいいと思われたかもしれません。しかし100銘柄全部を買うのは例えフロッギーで100円ずつでもなかなかな手間ですし、100円ずつ100銘柄では均等ウエイトになりますから、時価総額加重平均型である大型株指数と同じパフォーマンスにはなりません。

そこで一つご紹介したいETFがあります。「 NEXT FUNDS TOPIX Core30連動型上場投信 」です。文字通りCore30に連動するETFです。先ほどのチャートにこのETFを加えてみました。

NEXT FUNDS TOPIX Core30連動型上場投信が大型株指数より好調だったことがわかります。さらに、出来高も増えたことがわかります。これは投資家が超大型株を選好したということを表しています。

マーケットは好調不調を繰り返すものです。TOPIXが好調な時は大型株が買われているときです。それがいつ来るかわかればいいのですが、プロであっても容易に当てることはできません。ならば、いつか来る日本株好調の波に乗れるよう、NEXT FUNDS TOPIX Core30連動型上場投信を毎日100円買うというのは、個人投資家でもやりやすい投資です。そう、フロッギーではこれが可能です。

また個別株投資を手掛ける方にもTOPIXニューインデックスシリーズは便利です。まずはTOPIX100採用銘柄を対象にすれば、おのずと投資の候補を絞り込むことができます。プロと同じことを個人でも簡単にできるということです。皆さんもTOPIXニューインデックスシリーズを上手に使ってみてください。