2倍株、3倍株がぽこぽこ生まれるのんびり日本株投資

今日からお金賢者になれる「1分書評」/ 日興フロッギー編集部

元証券アナリストによる、ガツガツせずに個別株で資産3000万円を目指す実践書。押さえておくべき100銘柄や著者自身の保有銘柄などの情報もたっぷり。

普通の人が、個別株で心穏やかに資産を形成する方法

半ば思考停止気味に投資信託ばかり購入してきた身の上には、刺さる内容が盛りだくさんでした。具体的には、米国株ならS&P500などのインデックス投資はおすすめ。一方、日本株で日経平均やTOPIX連動型のインデックスはちょっと待って! と警鐘を促します。その理由として、前者の構成銘柄は「コンスタントに黒字企業であること」が条件なのでリターンが優秀。一方で後者は赤字企業が紛れ込んでいることで株価が上昇しづらい性質がある、と指摘。こうした観点から著者は日本株のインデックス投資に早々と見切りをつけ、プライム市場の個別株に注力。その結果、50歳手前でFIREしたという経歴の持ち主でもあります。

およそ1600銘柄もあるプライム市場からお宝株を探すなんて! という声も聞こえてきそうですが、本書の肝は「個別株でもゆったり投資」。われわれが知っておくべき日本株は100銘柄のみ、と言います。というのも、プライム市場の売買は7割近くが外国人投資家、彼らの知らない銘柄は株価も上がりにくい。こうした前提から、多くの方にとって馴染み深い企業に焦点を当て、次なる2倍株、3倍株を発掘する方法をレクチャーします。株式購入の決め手となる決算書や指標の見方(数字が苦手な方でも「この程度なら……」と思える量がありがたい!)、適時開示情報のチェックを習慣化する方法なども。著者が体験したテンションの上がるエピソードも盛り込まれていています。たとえば「値上げが巧み」と著者が称賛する日清ホールディングスの株価が2倍になったダブルバガー体験など、株式投資のリアルを追体験できます。

下落相場で凹んだときの心構えも秀逸で、興味深いのは「暴落バーゲンセールの活かし方」。継続的にリターンを取れる人たちは、過去の暴落チャートを見て「株価の戻りの早い銘柄リスト」を予め作っておくのだそう(直近のトランプショックでいえば、日立や信越化学工業は日経平均株価よりも戻りが早かったんだとか)。このほか「これだけはやっちゃいけない9カ条」もあり、一冊読めば、個別株で負けない基本が育まれそうです。

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