投資や資産形成をもっと楽しくするためにピッタリの書籍を、著者の方とともにご紹介する本連載。今回から4回にわたって、おせちーずさんことさかえだいくこさんの『2倍株・3倍株がぽこぽこ生まれるのんびり日本株投資』を紹介します。第1回目の今回は、日本株市場に上場する多くの銘柄の中から、チェックしておけばいい銘柄の絞り方について紹介します。[PR]
狙う市場はひとつだけ
東京証券取引所には、以下のように主要な株式市場が3つあります。
⃝プライム
⃝スタンダード
⃝グロース
東証のウェブサイトから引用した上の図に、それぞれの市場の違いが示されています。いずれもやや小難しく説明されていますが、みなさんは細かい違いを理解する必要はありません。ズバリ、プライム市場だけ知っていればOKです。
その理由を説明しましょう。
❶ 東京証券取引所の売買の大半をプライム市場が占めている
下の図を確認してください。2024年4月から2025年3月にかけての、それぞれの市場における売買代金です。

売買代金は、大きければ大きいほど、その市場での売買が活発であることを意味します。
プライム市場における売買代金が桁違いに多い状況が見てとれますね。スタンダードやグロースと比べると2桁違います。また、これは表に示した期間だけのことではなく、常にこのような状態にあります。
読者のみなさんが仮に魚市場へ出かけたとしましょう。
モノが少なくて閑散としているセリよりも、参加者が多くてたくさんの魚介類が取引されている威勢がいいセリを見るほうが、魅力的に感じますよね?
株式市場もそれと同じです。活発な取引がされている市場は、投資家から見て魅力的に見えます。
その活発な市場で投資先を選ぶことで、資産形成も成功する確率が上がります。
これが、スタンダードやグロースは見る必要がなく、プライム市場だけ知っていればいいと私が言う最大の理由です。
外国人が取引するのはほとんどがプライム市場の銘柄
東京証券取引所での取引は日本人だけで行われているわけではありません。世界中のお金が動いています。
結果として、日本株の売買の主役も外国人投資家になっています。
下の図は、東京証券取引所が公表した2024年1年間の「プライム市場投資部門別売買状況」です。この資料から、プライム市場での売買の約7割、3分の2を外国人投資家が占めていることがわかります(ちなみに、この割合はスタンダード市場やグロース市場では40%前後に低下します)。

取引総額についてはそのときどきのマーケット環境によって変わりますが、この外国人投資家による売買の割合は、ここ何年も大きな変化がありません。
ここから、外国人に好まれない日本株銘柄は買われにくく、株価も上がりにくいという東証プライム市場の特徴が見えてきます
私たちは、外国人投資家がたくさん取引していて、株価も上がりやすい市場で投資先を選ぶべきです。
細かく日々の株価をチェックしたりせず、のんびりと投資を楽しみたいのであれば、外国人投資家のお金がたくさん動くプライム市場だけを知っていれば十分、というわけです。
外国人投資家は大型株がお好き
「東証のプライム市場だけを知っておけばOKです」と述べました。
ただ、「プライム市場」だけでもおよそ1600銘柄が上場しています。けっこうな数ですから、「全部を調べるなんて無理!」と言われそうです。
まったくもって、ごもっとも。でも、……安心してください。
私たちが概要を知っておいたほうがいいのは、プライム市場のおよそ1600銘柄のなかでも、せいぜい100社についてだけです。
プライム市場に上場する企業は、主にその時価総額(発行済株式数×株価)の規模と流動性に応じて、3つのカテゴリーに区分されています。
「大型」「中型」「小型」の3つです。

「大型」は時価総額が大きく流動性が高い上位100銘柄のこと。「中型」は「大型」に次ぐ400銘柄です。「小型」は「大型」「中型」以外のすべての銘柄のことです。
このうち、外国人が好んで取引するのは「大型」区分の株、いわゆる「大型株」です。
日本に暮らしていて、「外国株」と聞いて思いつく銘柄・会社はなんでしょう?
マイクロソフトだったり、アップルだったり、アマゾンだったり……。これらの企業は、その製品やサービスが日本でもよく知られていますし、時価総額も世界屈指の規模を誇る超・大企業です。「世界中の投資家が知っている銘柄」と言っても過言ではありません。
もし、みなさんがこれから外国株に投資するとしたら、よく知らない現地の会社に投資するより、日本でも有名で、商品についてもある程度わかっている、こうした超・大企業に投資するはずです。
逆の立場でも同じです。
外国人投資家に「日本株と言えば?」と聞いて名前が出てくるのは、ソニーグループやトヨタ自動車、あるいはユニクロを傘下に持つファーストリテイリングなど、超有名で時価総額も大きな会社ばかりです。
彼らが日本株への投資を考えたとき、真っ先に投資先の候補に挙がるのは、こうした大型株に限られるのです。
マイナーな外国企業について私たちがよく知らず、それゆえに投資先に選びづらいのと同様、外国人投資家だって、ほとんど聞いたこともない小さな日本企業の株式をわざわざ買おうとはしません。
大型株だけ見つめておこう
お金を上手に増やしていくには、お金がたくさん集まるところに自分の資金を投入することが必要です。
そして、プライム市場での日本株取引の約7割を占める外国人投資家が好んで売買する銘柄は、日本企業の中でも超有名で大型な株だけです。
「大型株」は、先にも説明したように東証プライム市場のなかでも時価総額や流動性が大きな会社上位100社のことをそう呼ぶだけですから、この上位100銘柄についてだけ理解しておけば、一般の個人投資家としてはそれで必要十分でしょう。
ちなみに、国内の取引所に上場している銘柄の数は、全部でおよそ4200です。
プライムの大型株100銘柄だけ見ていればよいということは、全体の2.2%だけチェックすればよいということになります。残りの97.8%、丸めて98%についてはさほど気にする必要がないわけで、のんびりスタイルでの投資をするうえでも好都合です。

