失敗を避けるためにはこれはやっちゃいけない

投資がもっと楽しくなる!日興フロッギー選書/ さかえだいくこ(おせちーず)すばる舎

投資や資産形成をもっと楽しくするためにピッタリの書籍を、著者の方とともにご紹介する本連載。おせちーずさんことさかえだいくこさんの『2倍株・3倍株がぽこぽこ生まれるのんびり日本株投資』を紹介しています。第3回目の今回は、「何を買えばいいの?」を考える段階で迷いを減らせる「やっちゃいけないこと」、つまり「べからず」をご紹介します。[PR]

日経平均株価とTOPIXだけで日本株市場の体温を推し量るべからず

信用できない温度計

日本市場を代表する株式指数は、日経平均株価とTOPIXの2つです。この2つの株式指数は日々ニュースでも数値が報道されます。

そのため、いかにも日経平均株価とTOPIXが日本株市場全体の好調・軟調を示しているように感じるでしょうが、必ずしも、そんなことはありません。

この2つの指数では赤字企業も構成銘柄になり得ます。

2つの指数の構成銘柄に占める赤字企業の割合は、ものすごく大きいわけではありません。そのため、必ずしもこの欠点から大きな差が生じるわけではありません。

しかし投資家の心情から外れた、残念な要素が含まれる指数であることは確かですから、それらに頼って市場全体の温度感を推測するのは危険だと感じます。

一部の値がさ株の影響が大きすぎる

加えて、特に日経平均株価についてはもうひとつ難点があります。

よく言われるように、いくつかの特定の値がさ株の値動きが全体に占める割合が高すぎて、市場全体の好・不調と、指数のプラス・マイナスが一致しないことが多すぎるのです。

占有率上位の数社の値動き次第で日経平均株価の上下がおおむね決まるため、これらの銘柄が値上がりしていれば、ほかの銘柄がほとんど全部下がっているのに日経平均株価だけは上昇している、といった状況はよく見受けられます。

必ずしも市場の実情を反映しているわけではないため、2つの株価指数の変化だけで日本株市場をいいとか悪いとか判断せず、きちんと吟味して投資するようにしてください。

長期投資なら、損切りラインの適用を厳格にするべからず

損切り厳格派が多いけれど… …

投資をしていれば、持ち株のいくつかが含み損の状態になることは珍しくありません。ただ、その規模が大きくなってくると、損を確定することが恐ろしくなり、現実から目をそらして放置してしまうことがあります。そうしているあいだにも、含み損がジリジリと大きくなっていく……なんてこともしばしば。

投資でコンスタントに利益を出せる人は、自分なりの見切りのルールを厳格に守っていることが多いです。

たとえばマイナス10%以上の含み損になったら、とにかくいったん撤退するなど、機械的に見切るルールにしている方も多くいます。特に投資関連のインフルエンサーなどには、こうした見切り方法を選択する方が多い印象があります。

ただ、必然的に投資期間が中長期になるのんびり投資のスタイルでは、こうした機械的な損切りラインの設定はお勧めできません

株を長く保有していると、株価の上下動の波のなかで含み損が一時的に大きくなる状況は珍しいものではありません。そういうとき損切りラインを厳し目に設定していると、中長期的な成長を始める前に損切りせざるを得なくなることが多いためです。

損切りラインではなく、ストーリーの破綻で撤退する

私の場合は、損切りラインを設定する代わりに、新たに買う銘柄について「儲けにつながるストーリー」を購入前に組み立てるようにしています。

「Aという銘柄は、〇〇という事業を営んでいて、中期経営計画を見ると今後3年間で海外売上高をXX%伸ばすつもりのようだ。ならば、いまよりも利益が増えると考えられるから、ちょっと買ってみよう」

自分なりの「儲けにつながるストーリー」を立てて購入したあとは、年に1度くらい、その見立てが実際にはどうなったのか、決算資料などを通じて確認します。

見立てどおりになっていればそのまま保持ですが、どうやらストーリーとは違う展開になっているみたいだと感じたら、スパっと見切って売却します。

そのとき含み益になっているか、含み損になっているかは二の次です。

投資期間が長いのんびり投資のスタイルでは、この方法で見切る銘柄を見極めるほうが、手元に残る利益を最大化できるでしょう。

むやみに他人と比較するべからず

投資の仲間と自分とを必要以上に比較するのはやめましょう。理由はいくつかあります。

投資余力は十人十色

ひとつ目、自分と同じ経済環境にある人はまずいません。仕事が違えばお給料の額も変わります。住んでいる地域によっても賃金の相場は変わります。

仮にもらっているお給料の額が同じだったとしても、その使い道は同じではありませんし、家族の構成やバックグラウンドも異なります。

自分と同じようなお給料であるはずの人が、毎月のように多額の投資をしているからといって、安易に自分も同じことができると思ってはいけません。

もちろん参考にはすべきですが、“身の丈”は一人ひとり違うのですから、自分に無理なく出せる範囲で投資をすればよいのだと理解しておきましょう。

うらやましくなるのは自然なことだけど… …

2つ目、まったく同じような投資をしていない限り、同じ結果にはなりません。

現実にはそれぞれの人が、それぞれの投資ポリシー(投資についての考え)で投資をしています。結果が千差万別となるのも当然です。

大儲けする人もいれば、損をする人もいます。大儲けした人の話を聞けばうらやましく思い、一方で自分の投資成績を振り返って不甲斐なく感じます。これもまた当然のことですが、そうした比較にもあまり意味はありません。

「よし、自分も頑張るぞ!」と刺激を受けるくらいにとどめ、無意味な比較ばかりをして自分のなかの焦りや嫉妬心を膨らませないように注意してください。

投資ポリシーが違う人の話は参考にならない

3つ目、投資ポリシーが違う人と投資の内容やリターンを比較しても、あまり参考になりません。

やり方が変われば、結果も当然変わります。最初から違う結果が出るはずのものを比較する意義は小さいでしょう。

投資のスタイルやポリシーが全然違うので、たとえ自分より上手にトレードしていたとしても、気にしなくていいのです。自分にも参考にできるところだけ覚えておいて、今後の投資に活かせばよいだけです。

不要な情報は意識的に避ける

4つ目、「なるほどね」と思える範囲で他人と比較しているあいだはいいのですが、比較ばかりしていると、自分が選んだ方法は間違っているんじゃないか、と迷ってしまうことがあります。

インプットする情報ばかりが増えていくと、それらの情報に影響されて軸がぶれます。特に誰々はいくら儲かった、誰それはあの株で大成功した、といった情報ばかりを摂取していると、ふとした気の迷いから自分の投資スタイルに合わないことをしたり、投資ポリシーに迷いが生じたりします。

むやみに軸をぶらすのはやめましょう。他人との比較ばかりしていると、軸にぶれを生みやすいので、ほとほどに抑えておくことを常に意識してください。

最終回の次回は、逆に「やるべきこと」をお伝えしていきます。

 

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