旬な投資テーマをもとに、関連する国内外の企業をまとめて紹介する本連載。今回のテーマは価格上昇が続く「金(GOLD)」です。日本では、国内最大の金鉱山を保有する住友金属鉱山がおなじみですが、海外にはどんな関連企業があるか、ご紹介していきます。
金先物価格の上昇が続く
希少性の高い金は、インフレ対策になる現物資産として、長年にわたり価格が上昇してきました。とりわけ2025年の年初来騰落率は+40%超と目を見張る上昇ペースとなっています(9/26時点)。
2025年10月13日にはNYの金先物価格が一時4137.2ドルと、中心限月(先物取引等において最も取引高が多い限月のこと)として過去最高値を更新しました。
また、ドルへの信認低下も世界の中央銀行による金保有量の増加に拍車をかけたと見られ、こうした要素が金価格の上昇に寄与しています。
世界の中央銀行や政府においては、国際分散の観点から外貨準備(緊急時の債務返済や決済に備えて保有する資金)におけるドルの割合を減らし、金(GOLD)などを積み増す動きが広がっていました。こうした「ドル離れ」の動きが底流にあるなか、米国では与野党の対立で連邦政府の予算が失効するなど、トランプ政権への不信感からドルの代替として、金に対する需要が強まっています。
金価格の上昇で恩恵を受ける「金鉱株」に投資妙味
金のサプライチェーンを大まかに分けると、採掘→製錬・精錬→加工→販売といった流れとなります。この中で、金価格の上昇で恩恵を受けやすいのは金の採掘を行う上流の企業です。
金価格が上昇しても、金の採掘コストは大きく変わらないため、金価格の上昇による売上高の増加は、利益の増加に直結しやすくなります。一方、製錬・精錬・加工・販売の分野は金価格の上昇により仕入れ価格が上昇するため、利益率拡大に繋がりにくいと言えます。
金鉱山会社は、鉱山の維持管理等を含めた金の採掘コストであるAISC(オール・イン・サステイニング・コスト)を公表しています。金の生産量で世界最大を誇る米国のニューモントの2024年12月期のAISCは1,516ドル/オンス。前期比で5%増加しましたが、金の先物価格が27%上昇したことと比べると、わずかな増加となりました。
国内外の主な金鉱株
日本企業では、「 住友金属鉱山 」が国内最大の金鉱山である菱刈鉱山を保有しています。同社は金以外に銅やニッケルなどの採掘を行うほか、採掘した資源の製錬事業なども行っています。
米国企業ではニューモントの他にも、複数の金鉱山会社があります。アグニコ・イーグル・マインズは、売上高の8割超をカナダ産出が占め(生産地ベース、2024年12月期時点)、競合他社と比べると地政学的リスクにさらされる可能性が低いと見られます。また、アングロゴールド・アシャンティは、アフリカを中心に中南米やオーストラリアなどでも金の採掘を行っています。
中国企業では、紫金鉱業集団[ズージン・マイニング・グループ](2899)が同国最大の産金会社で、銅の生産にも強みを持っています。
金のETFもチェック
金価格の上昇から恩恵を受けるなら、ETFへ投資する方法もあります。日本でも上場している外国籍のSPDRゴールド・シェア(1326)は、金地金を実際に保有することで、金価格に連動することを目指しています。また、日本籍の「 NEXT FUNDS 金価格連動型上場投信 」はフロッギーで購入することができます。
なお、当社ではイージートレードから米国株を購入できますので、気になった方はこちらの記事も参考にしながら、米国株投資にもチャレンジしてみてくださいね。