2026年に米国は1776年7月4日の独立宣言から250年の節目を迎えます。米建国250周年を祝う国家プロジェクト「America250」では、様々な祝賀・記念イベントを米国各地で開催しています。
公式パートナーの中核企業として活動するコカ・コーラを中心に各社の動向をご紹介します。
米建国250周年に向けて全米各地で祝賀・記念イベント続々
今年3月、America250は、コカ・コーラ(KO)を主要パートナーかつ過去最大の企業スポンサーに迎え入れたことを発表しました。
America250は単なる記念行事にとどまらず、歴史を振り返り、国民の団結を深め、次世代につなげることを目的に歴史・文化・経済をテーマにしたイベントを全米各地で開催するものです。
セミクインセンテニアルとも呼ばれ、1976年の建国200周年(ビセンテニアル)以来となる一大国家事業です。
「America250」とは
・1776年7月4日の独立宣言から250年目となる26年7月4日を記念して行われる国家規模の祝賀・記念プロジェクト
・軍事パレードや個人の歴史を口述と視覚で振り返るストーリーテリング「Our American Story」、学生らを対象とした教育・参加型コンテスト「America’s Field Trip」などのイベントを各地で開催
・コカ・コーラやアマゾンなど米国を代表する多くの企業が協賛
コカ・コーラは来年創立140周年、一連の事業を盛り上げ
米商務省の下部組織だった米旅行サービス局(USTS)の1976年当時の資料によれば、ビセンテニアル期間(1975~76年)に約3000万人の観光客が米国を訪れ、120億ドル以上の外貨収入をもたらすとの試算がありました。250周年記念でも一定の経済効果が生まれ、観光業やコカ・コーラを含む小売企業にプラスの影響が期待できそうです。
コカ・コーラは1世紀以上にわたり米国民に愛されてきた米飲料業界のトップで、1976年には建国200周年記念特別ボトルを発売するなど、国家の主要イベントを長年サポートしてきました。同社は2026年に創立140周年を迎えますが、来年7月4日に向けて米全土の販売網やブランド力を活用し、一連の記念事業を盛り上げます。
各地で様々なイベント、多くの企業が参画
America250では、愛国心あふれる米国人や祖国を守ってきた英雄たちを称える盛大な軍事パレードのほか、米国の歴史と一人ひとりの物語を口述と視覚で共有するストーリーテリング・プロジェクト「Our American Story」などのイベントを各地で開催しています。
米防衛大手ロッキード・マーチン(LMT)は主要スポンサーの1社として、6月に行われた大規模な軍事パレードを支援しました。陸・海・空・宇宙・サイバー空間などあらゆる領域でイノベーション(技術革新)を推進し、米軍を支え続けます 。
米小売り大手ウォルマート(WMT)は5月、米軍事関連のイベント支援に50万ドルを投資したと発表。軍隊での経験を貴重な職務スキルに転換し新たなキャリアに活かす退役軍人向けの就職支援ツールも提供します。
米国のジープやクライスラーなどを傘下に置く欧州自動車メーカーのステランティス(STLA)は、独占自動車スポンサーとして全米各地で開催されるAmerica250の公式イベントの移動車両を提供。各ブランドのAmerica250限定車の発表も予定しています。
ホワイトハウスで格闘技イベントも開催!
来年の目玉イベントの開催も明らかになっています。
トランプ米大統領は7月にアイオワ州での演説で、建国250周年の記念行事の一環として米大統領府(ホワイトハウス)の敷地内で2万~2万5000人規模の観客を集めて世界最大の格闘技団体UFCの興行を開催すると宣言しました。
日程については、10月の演説でトランプ大統領が80歳の誕生日を迎える来年6月14日に開催すると述べています。
UFCや世界最大のプロレス団体WWEを傘下に持つTKOグループ・ホールディングスステランティス(TKO)は公式コメントこそ出していませんが、UFCの最高経営責任者(CEO)でトランプ大統領と親交があるダナ・ホワイト氏は「絶対に実現する」とメディアに述べています。
UFCの看板選手の1人でスーパースターのコナー・マクレガー選手は同イベントへの参加をX(旧ツイッター)で表明しました。ホワイトハウスでの格闘技イベント開催が実現すればUFCの知名度がさらに高まることは間違いありません。
10月に東京で行われた日米首脳会談では、高市早苗首相が米建国250周年のお祝いとしてワシントンに250本の桜を寄付すると発言しました。来年のイベント開催に向けて協賛企業を含むあらゆる企業にとって商機となりそうです。