株式市場で「クマ被害対策」関連株が買われています。QUICKが選定する関連銘柄の平均上昇率は6.2%と、東証株価指数(TOPIX、0.1%安)に対して逆行高となりました(11月7日までの5営業日の騰落)。株価が上昇した5銘柄とその背景について解説します!
東北地方などでクマ被害相次ぐ
クマ被害対策関連株が買われた背景は、政府によるクマ被害の対策強化です。
東北地方などで被害が相次いでいることを受け、政府が関係閣僚会議の初会合を10月30日に開き、木原稔官房長官が「クマ被害対策施策パッケージ」を11月中旬までにまとめると表明しました。
石原宏高環境相も「補正予算を活用した対応を進める」としたうえで、「中期的には来年度予算も活用」した対策を講じるとの考えを示しました。
将来的な業績の押し上げにつながるとの見方から、関連銘柄への物色が広がりました。

クマ撃退スプレーを販売【ティムコ】
上昇率首位の「 ティムコ 」は純国産のクマ撃退スプレー「熊一目散」を5月から代理販売しています。同スプレーは徳島県の動物医薬品メーカーが開発。トウガラシ由来の成分「カプサイシン」を2%以上配合し、噴射距離は10メートル以上を誇ります。海外製品と比べて安全性の高さなども売りにしています。
同社の本業は釣竿や擬似餌などの釣り用品や防寒具などアウトドア向けのアパレル事業の販売で、来店客が趣味を楽しむ際の携帯品として注目度が高まっているようです。
政府認定の事業者【ALSOK】
上昇率2位の「 ALSOK 」はグループ内の複数企業が環境省による「認定鳥獣捕獲等事業者」に選ばれています。罠や防護フェンスなど対策用品の販売から設置、管理、駆除まで、鳥獣被害対策をトータルでサポートできることを強みとしています。
ライフルメーカーも恩恵か
「 ミロク 」はグループ会社を通じて、狩猟用のライフルやショットガンなどの製造をしています。
「 DCMホールディングス 」は運営するホームセンターで、防獣ネットなどの防獣対策グッズを幅広くそろえています。
「 前田工繊 」は完全子会社である未来のアグリ社が電気柵、防除策、捕獲罠などの獣害対策用品や施設を手掛けています。10月31日にはクマ対策支援チームを創設しました。
いずれの企業も、政府によるクマ被害対策の強化は業績への寄与が期待されます。
ドローン活用なども視野
政府は足元では駆除に必要な免許やスキルを持った人に「公務員ハンター(ガバメントハンター)」としての育成を強化する一方、中長期的にはドローン(無人機)やICT(情報通信技術)の活用も視野に入れています。ドローン関連銘柄は過去、防衛対策でのニーズ強化への思惑などでも物色されました(『防衛・インフラでニーズ高まる 「ドローン」関連株が上昇』)。
クマ被害対策は、駆除だけでなく、被害を減らす、未然に防ぐなど幅広い観点からの施策が求められます。今回紹介した銘柄だけでなく、技術やノウハウを持った新たな企業の展開も期待され、引き続き注目されそうです。