株式市場で「子育て支援」関連株が買われています。QUICKが選定する関連銘柄の平均上昇率は2.8%と、東証株価指数(TOPIX、1.8%安)に対して逆行高となりました(11月21日までの5営業日の騰落)。株価が上昇した5銘柄とその背景について解説します!
政府が子育て手当に約4000億円、物価高の負担軽減
子育て支援関連株が買われたきっかけは、企業による好決算の発表と、政府による「総合経済対策」の公表です。
14日、Smile Holdingsが2025年4~9月期決算を発表。決算内容を好感し株価は4営業日連続で上昇しました。
21日には、内閣府が「『強い経済』を実現する総合経済対策」を公表。このなかで、0~18歳までの子ども1人あたり2万円の「物価高対応子育て応援手当(仮称)」を給付する方針を示しました。
児童手当とは別の支給となるため、事実上の上積みとなります。所得制限のない手当でその規模も約4000億円と大きいため、家計の子育て関連への支出が増加すれば子育て関連施設・事業の収益拡大が期待できそうです。
発表にかけて報道が相次いだうえ、こども家庭庁が併せて保育所や児童養護施設などへの運営費の補助の方針を示したのも追い風となり、「子育て支援」関連株への物色が強まりました。

好決算で物色集める【Smile Holdings】
上昇率首位の「 Smile Holdings 」は保育・幼児教育事業や国際教育事業などを手掛けています。
就学前の子供を支援するプレスクール一体型の保育園5施設や認可保育所70施設などのほか、グローバルスクールやスイミングスクールを運営しています。
2025年4~9月期決算は、売上高が前年同期比9%増の69億円、純利益が2.2倍の2億1400万円と大幅な増収増益となりました。児童数が増えて売上高が伸びたうえ、販管費の抑制などが奏功して採算が改善しています。
今回の子育て手当の支給で保育所や保育園、プレスクールなどの需要が高まれば、さらなる収益拡大につながりそうです。
給食や研修など幅広く展開【JPホールディングス】
上昇率2位の「 JPホールディングス 」も保育園や学童クラブ、児童館を運営しています。
自治体から認可を受けた保育園だけでなく、東京都が独自に認証した保育園、認可や認証の枠にとらわれない保育サービスなども提供します。子育て支援施設向けの給食や保育に関する研修プログラムの提供、保育関連用品の販売も手掛けており、子育て支援に関する事業を幅広く展開しています。
体育指導に注力する企業も
「 ポピンズ 」は保育園のほか、保育園の新規開設や運営に関するコンサルティングなどを手掛けています。
「 幼児活動研究会 」は園児や小学生への体育指導に注力し、保育所や塾、旅行企画などの事業を展開しています。
「 グローバルキッズCOMPANY 」も東京を中心とした関東で保育園や認可保育所などの子育て支援施設を運営しています。
いずれの企業も家庭からの教育費の支出増加の恩恵を受けるほか、運営費の補助増加が収益向上に寄与するとみられます。
他の経済対策や消費動向などにも注目
今回の高市早苗政権による総合経済対策は21兆3000億円の規模が見込まれています。生活の安全保障・物価高への対応に11億7000億円程度、危機管理投資・成長投資による強い経済の実現のために7兆2000億円、防衛力と外交力の強化に1兆7000億円が支出されます。
子育て応援手当以外にも電気やガス料金の補助など家計を支える対策が盛り込まれています。
小売り企業などによる「ブラックフライデー」などの年末商戦が始まるなか、政府による物価高対策が消費を中長期的に活性化できるかどうかに注目です。
少子化対策は日本が成長していくうえでの重要政策の一つです(『子どもファーストで需要拡大 「子育て支援」関連株が上昇』)。政府の取り組み強化で関連企業の活躍の場が広がり業績・株価にプラスとなることが期待されます。