金利上昇で運用収益が拡大 「生命保険」関連株が上昇

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株式市場で「生命保険」関連株が買われています。QUICKが選定する関連株の平均上昇率は2.1%と、東証株価指数(TOPIX、1.2%安)に対して逆行高となりました(12月19日までの5営業日の騰落)。株価が上昇した5銘柄とその背景について解説します!

日銀が30年ぶりの水準に利上げ

日銀は2025年12月19日に開いた金融政策決定会合で、政策金利である無担保コール翌日物の誘導目標を0.5%程度から0.75%程度に引き上げると決めました。米国の関税政策が経済に与える影響が限定的なうえ来年の春闘でも高い賃上げが続くと判断したことが背景です。

政策金利が公定歩合だった1995年9月以来30年ぶりの高水準となります。日銀会合の結果を受けて長期金利の指標となる新発10年債利回りは26年ぶりに節目の2%を上回りました。

生命保険会社は顧客から預かった保険料を主に国債などの債券で運用しています。金利が上昇すると短期的には保有債券の評価損や売却損の計上を迫られます。一方で、長期的には新しく発行される債券の利回りが高くなり、これまで低利回りで運用せざるを得なかった資産が順次高利回りの債券に置き換わることで資産運用収益が底上げされることになります。

そのため、日銀による利上げで業績拡大期待が高まり、生保関連株が上昇しました。

独自市場に特化したビジネスモデル【T&Dホールディングス】

上昇率首位はT&Dホールディングス 」です。傘下の生命保険3社を通じた独自市場への特化戦略と強固な顧客基盤に強みを持っています。

大同生命保険は中小企業市場に特化し、税理士団体などとの提携による独占的な販売チャネルを持ちます。太陽生命保険は家庭市場において営業職員による対面サービスを展開しています。T&Dフィナンシャル生命保険は独立系代理店市場や金融機関窓口を対象に、円建て・外貨建ての定額保険や変額保険など資産形成ニーズに対応した商品を提供しています。

3社は各市場に特化したビジネスモデルで強みを発揮し、新契約が堅調で保有契約は着実に拡大しています。金利上昇により保有契約の積み増しが順ざや(運用利回りが予定利率を上回る状態)の拡大を通じて利益の成長につながりやすい環境となっており、日銀の利上げは業績の追い風となりそうです。

順ざや過去最高【かんぽ生命保険】

上昇率2位はかんぽ生命保険です。金利動向等に留意しつつ、保有公社債の入れ替えを積極的に進めていくことで将来の運用収益を累積的に改善させていく方針です。

26年3月期は運用環境の好転や資産運用の多様化の取り組みなどにより、順ざやが2250億円程度と過去最高になると見込んでいます。次期中期経営計画においても過去最高水準の純ザヤ更新を実現していく方針としており、注目されそうです。

政策保有株の売却を積み増し、業績上方修正、保険販売好調

東京海上ホールディングスは、「29年度末までに政策保有株式ゼロ」実現に向けて、25年度は6000億円を売却予定でしたが、売却合意の増加や株高を背景に6600億円に引き上げており株主還元の強化が期待されます。

第一生命ホールディングスは11月14日の25年4~9月期の連結決算発表と併せて、有価証券売却益の増加などを踏まえ、26年3月期業績予想と期末配当を引き上げました。

ライフネット生命保険は、25年9月末時点の保有契約年換算保険料は個人保険、団体信用生命保険ともに伸び、前年同期末比10%増と力強い成長を継続しています。

26年も利上げ継続か

政策金利が30年ぶりの高さに達したにもかかわらず、金利から物価上昇率を差し引いた実質金利はマイナス2%超となっています。日銀の植田和男総裁は19日の記者会見で、現在はまだ金融緩和の調整段階にあり、経済・物価情勢がさらに改善すれば「引き続き政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整していく」との方針を示しました。26年も複数回の利上げが実施される可能性があります。持ち合い株解消による資本効率改善に加え(『持ち合い株解消で資本効率改善 「保険」関連株が上昇 )、 金利上昇も追い風になりそうです。