年率10%を達成する! プロの「株」勉強法 栫井駿介

投資がもっと楽しくなる!日興フロッギー選書/ 栫井 駿介クロスメディア・パブリッシング

投資や資産形成をもっと楽しくするためにピッタリの書籍を、著者の方とともにご紹介する本連載。今回から4回にわたって、つばめ投資顧問代表で投資系YouTuberでもある栫井駿介さんの『年率10%を達成する! プロの「株」勉強法』を紹介します。初回である今回は、「短期投資や中期投資とは、つまるところどんな投資法なのか」について見ていきます。[PR]

短期投資で起きること

Aくんは、株式投資の初心者です。証券口座を開いて投資をはじめてみることにしました。まず買ったのが、Aくんがよく訪れる100円ショップB社の株式です。普段から混んでいるので、きっと儲かっているに違いないと考え、投資することにしました。

B社株を買ったその日、仕事から帰って証券口座を見ると、B社の株価の横に「マイナス1.5%」と表示されていました。投資デビュー初日のAくんの戦績はマイナスだったのです。投資だからマイナスになることも分かっていながら、Aくんは少しモヤモヤした気持ちになります。

翌日、株価はさらに下落します。Aくんはいよいよ焦り、怖くなってB社株を売却してしまいました。するとどうでしょう。翌日からは株価がするすると上がりはじめ、1週間でAくんが買った価格から5%も上昇してしまいました。その間、とくにB社に関するニュースはなく株価は上がり続け、結局ますますモヤモヤしてしまいました。

短期投資とはまさにこのようなイメージです。明確な理由がないまま、株価は毎日アップダウンを繰り返します。そこには相場全体の流れや、その企業に対する投資家の微妙な心理の変化が影響してきます。

この動きを何とか予想しようとするのが、チャート分析です。投資家の微妙な心理の動きが、株価の動きに反映されているに違いないと考え、それを丹念に読もうとするのです。

「投資家」という仕事をイメージする際、モニターをたくさん並べていくつものチャートを同時に眺めている姿が浮かぶと思いますが、これこそまさに短期投資家の姿です。

一方で、学術的には短期の株価の動きは「ランダムウォーク」と呼ばれます。これはすなわち、そこに明確な傾向があるわけではなく、乱数表で決めているのと大きな違いはないということです。実際に、ランダムに数値を発生させたチャートが、本物の株価推移と同じようになることも指摘されています。

それでも、チャートを見ながら上手に売買する人も少なからず存在します。彼らは、統計では表れにくい微妙な投資家心理の変化を読んでいるのかもしれません。しかし、それでも百発百中ということはなく、むしろダメだった時の撤退速度が速いからこそ、大きな失敗をせずに成功を遂げているとも言えます。そしてうまくいくと確信した時に大きな金額をベットしているのです。彼らは株価の動きを読めるのではなく、リスクのとり方を知っているのです。

ここで確かに言えることは、短期投資は常に市場に張りついていなければならないということです。短期的な株価の動きは、多少の傾向があるにしても基本的にはランダムですから、うかうかしていると思いがけない損失を被ってしまう可能性があります。この事実を考えると、仕事を持っている人にはあまり向かない投資法とも言えるかもしれません。

中期投資で起きること

話を例に戻します。Aくんは、次は少し勉強して臨むことにしました。自動車会社C社が新しく販売した車が売れているというので、次の決算はきっとよいと考えてC社株を購入することにしたのです。

すると、予想が当たりました。決算では前年比15%の増益ということで、発表翌日のC社の株価は8%上昇したのです。

これに気をよくしたAくん。さらにC社株を買い増します。ところが翌月、一転してC社の株価は下落しはじめ、とうとうAくんが最初に買った価格にまで下がってしまいました。これは一体どういうことでしょうか?

その理由は、C社の月次販売台数が公表されたことにありました。販売台数はヒットした車のおかげで前年同月比5%増と好調でした。しかし、これに対する市場の反応がよくなかったのです。市場は、これまでの勢いから10%以上の増加を見込んでいたのかもしれません。C社の実績は予想を下回るものでしたから、株価は下落に転じてしまったのです。Aくんはますます悩むことになってしまいました。

ここでAくんが経験したのは、中期投資の流れというべきでしょう。中期的には、株価は直近の決算や月次売上高などに反応して動きます。好決算を発表した翌日に株価が上昇する光景はしばしば見られるものです。

ところが、単にプラスの決算だったからといって、いつも上がるとはかぎらないのが株価の難しいところです。実は、好決算が出る場合にはその予兆を察知した投資家が先回りして買っている場合があります。決算に向けて株価がじわじわ上がると、さらに期待が期待を読んで株価を上昇させます。

その結果が、予想を上回るものでなかったりすると、投資家は手のひらを返したようにその株を売りに回ります。そして、プラスの決算が出ているにもかかわらず、株価が下がることがあるのです。これは決算にかぎらず、月次売上高やニュースなどの「材料」によって引き起こされているのです。

すなわち、中期投資で成果をあげるには、「企業の業績」と「投資家の期待」のバランスを見ながら、その両方を当てることが必要になります。これも得意な人は得意ですが、決して簡単なことではありません。しかし、うまくいけば数日〜数週間で10%超、時には1日で上限いっぱい(ストップ高)の20%程度上がることもあります。決算発表を予想して事前に株を買うことを「決算プレイ」とも言います。決算が読める人は試してみるのもよいでしょう。

投資は長い目で見る

さて、せっかく上昇したC社の株が元の価格まで下がってしまったAくん。もう投資は懲り懲りだと思って、しばらくそのまま放置してしまいます。

1年後、そういえばあの株はどうなっただろうと思って久しぶりに証券口座を覗いてみると仰天します。なんと、売らずに放っておいたC社の株価が2倍に伸びていたのです。

何もしていないのに、金額にして15万円の利益を得ることができました。

実はあの後も、C社は快進撃を続けていました。月次売上高が期待ほどではなかったのは、あまりの人気に生産が追いついていなかっただけだったのです。発表されたばかりの決算では利益はさらに20%増加し、C社は成長段階に入ったように見えました。この実績が、C社の株価を押し上げたのです。

このように、株価は短期的に見ればランダムですし、中期的には投資家の期待と実績のバランスで右往左往することになります。しかし、長い目で見て業績の拡大を続ける企業の株価は、間違いなく伸びるのです。

ウォーレン・バフェットは「株式市場は短期的には投票機だが、長期的には重量計である」と言いました。株価は短期的には人気で動きますが、長い目で見ればその企業の価値を反映するものなのです。

これが分かると、投資はとても楽しくなります。自分でよいと思った企業の株を買って、あとは業績が成長するのを見守っていれば、目先の株価に左右されずにどっしり構えて投資することができますし、さらによい企業を探そうと思うと、企業調査にも身が入るでしょう。これを続けていれば、銘柄選別の精度はどんどん上がっていきますし、投資したい銘柄が増えれば、そのために投入する資金が増えることになるのです。

こうしてやがては立派なひとりの個人投資家が出来上がり、「気がついたら1億円」というのも夢ではないのです。

 

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