世界最高峰の自動車レース「フォーミュラ・ワン(F1)」。欧州で始まり発展してきました。
そのF1はいま、米国流のビジネスモデルに乗ってエンターテインメント性を強め、世界に人気が拡大しています。
米国での2026年のF1独占配信権を獲得したアップル(AAPL)を中心に各社の動向をご紹介します。
AppleTV、ESPNに替わり米国でのF1独占配信権を獲得
2025年10月、アップル(AAPL)は、F1レース独占配信の契約締結を発表しました。26年シーズンから自社配信サービス「AppleTV」を通じ、米国でのFIレース全てを配信します。
米国では、25年までウォルト・ディズニー(DIS)傘下のスポーツ専門局「ESPN」がF1レースを配信してきました。今回、アップルは5年で総額7億ドル規模とされる契約を締結し、配信権を勝ち取りました。
F1は1950年に英国シルバーストーンで初の世界選手権が開催されたのが始まり。主要チームの本拠地も主に英国に集中するなど、F1は欧州の歴史や文化の影響を色濃く受けているスポーツです。
この状況に変化が生じたのが17年。リバティ・メディア(FWONA)が同年、当時のF1の親会社から全株式を取得し、F1の商業・運営権を獲得。リバティはF1をスポーツエンタメと位置付け、ネットフリックス(NFLX)との協業などによりメディア戦略を強化しました。
19年にはネットフリックスのドキュメンタリーシリーズ「Formula 1:Drive to Survive」が配信されました。同シリーズは、20人しかいないF1正ドライバーに焦点をあてるだけでなく、チーム代表やスタッフ、経営陣に至るまであらゆるF1の舞台裏を描いたことで新たなファン層の獲得に成功。18年に1870万人だったF1のSNSフォロワー数は25年には1億人超にまで膨れ上がりました。
アップルは25年6月、ブラッド・ピット主演の自社映画「F1/エフワン」を劇場公開。世界興行収入は約6億3000万ドルと同社の劇場公開作として最大のヒットを記録し、この成功をもとにF1の配信権も獲得。26年は実際のレースも配信し、コンテンツ競争力を一段と高めます。
F1に深くかかわる米企業
・【リバティ・メディア】 2017年にF1を傘下に収め商業・運営権を取得
・【アップル】 2026年シーズンから米国内のF1全レースを独占配信
・【マスターカード、オラクル、HP】 F1チームのメーンスポンサー
・【GM傘下のキャデラック】 11番目のF1チームとして26年から新規参戦
・【フォード】 レッドブルレーシングと提携し電動化部門で技術支援
GM・フォードの米2大自動車メーカーもF1に参戦・復帰へ
米企業はF1に商業面や技術面でも深くかかわっています。
マスターカード(MA)は、25年のチャンピオンチーム「マクラーレン」のタイトルスポンサーとなり、26年シーズンから「マクラーレン・マスターカードF1チーム」として活動します。
オラクル(ORCL)は「レッドブル・レーシング」のタイトルスポンサーを務めています。オラクルは単なるスポンサーにとどまらず、レース中に発生する膨大なデータの処理や人工知能(AI)解析など、中核的なテクノロジーパートナーとしても深く関与しています。
HP(HPQ)はオラクルと同様、1950年のF1開催当初から唯一参戦を続けている「フェラーリ」のタイトルスポンサーを務めるとともに、テクノロジー面でも協力し、フェラーリを支えています。
26年には米国の自動車メーカーがF1に参戦します。
ゼネラル・モーターズ(GM)傘下のキャデラックは、11番目のF1チームとして新規参戦を果たします。
フォード・モーター(F)は、レッドブル・レーシングと技術提携し、レッドブルが自社開発するパワーユニット(PU)に搭載するバッテリーやモーター、制御ソフトなどの電動化部門で支援します。フォードは04年まで「ジャガー・レーシング」を所有し、レースに参戦していました。今回、技術支援で22年ぶりにF1に復帰します。
日本企業では、「 ホンダ 」も2026年に、「アストンマーティン」にPU(パワーユニット)を供給しF1に復帰する予定です。
世界的なF1人気の広がりで、アップルを中心にエンターテインメントビジネスとして取り組む企業の動きは活発になっています。