米国でネットスーパーを利用する人が増えています。2020年の新型コロナウイルス感染拡大をきっかけに外出を控え、家で過ごす時間が増えたことが背景にあります。ネット注文で受け付けた生鮮食品などの即日配送サービスに注力するアマゾン・ドット・コムを中心に各社の動向をご紹介します。
アマゾン、生鮮食品即日配送 全米2300超の都市・町へ
アマゾン・ドット・コム(AMZN)は25年12月、野菜など生鮮食品の即日配送が可能な都市・町が2300以上に達し、26年にはさらに多くの地域に拡大する予定だと発表しました。
アマゾンのプライム会員になると、ほとんどの地域で25ドル以上の注文なら送料無料で即配サービスが受けられます。25年8月時点で即配の対象地域は1000程度でしたが、わずか4カ月で2.3倍に拡大しました。
即配サービスを強化するのは、伝統的なスーパーマーケットなどのリアル店舗中心の購買から、消費者がネットで注文し自宅で受け取るのを好む傾向が強まっているためです。
米調査会社ブリック・ミーツ・クリックによると、25年12月の米国オンライン食料品売上高は前年同月比32%増の127億ドルと過去最高を記録しました。食料品支出全体に占めるオンラインの割合は25年末に19%と24年末(15%)から拡大。オンライン経由の食料品購入はリアル店舗の単なる代替チャネルではなくなりつつあります。
アマゾンの食品事業は、米国で1億5000万人以上の利用者を抱え、24年時点の食料品・日用品の総売上高は1000億ドルを超える規模に成長。今後も即配の対象商品を広げ、消費者に利便性向上を訴えることでさらなる事業成長を目指します。
米国で拡大する即日配送サービス市場
・新型コロナ拡大をきっかけにネットスーパーを利用する人が増加
・食料品支出全体に占めるオンライン割合は拡大傾向
・小売り業者間の競争激化により「即日配送を標準化」する流れに
・宅配事業者の活用やドローン配送などで全米の消費者に即日配送サービスを提供
ドローンで配送、チャットGPTも活用
ウォルマート(WMT)は、全米に展開する4700超の店舗網と物流ネットワークを活用し、即配サービスを強化しています。全米で95%の世帯に対し、オンライン注文から3時間以内に商品を配送できる体制を整えています。
ウォルマートはドローン(無人機)配送など先進技術の導入も積極的に進めています。アルファベット(GOOGL)傘下のドローン配送会社ウィング社と組み、27年にかけて全米150店舗にドローン配送サービスを拡大する予定です。
クローガー(KR)は、宅配事業者との提携を通じて即配サービスの強化に動いています。全米に展開する約2700店舗でクローガーが提供する食料品などを宅配事業者のアプリ経由で注文・宅配するサービスで、25年10月にドアダッシュ(DASH)、26年1月に「Uber Eats」を展開するウーバー・テクノロジーズ(UBER)で開始しました。全米の消費者は最短1時間で新鮮な食料品を入手できるようになります。
ダラー・ゼネラル(DG)はドアダッシュやウーバーと提携し、クローガーと同様のサービスを展開しています。さらに今年1月には独自の即配サービス「myDGデリバリー」を全米規模に拡大し、1万7000以上の店舗で利用できるようにしたと発表しました。
生成AI(人工知能)を活用し、サービスの利便性を高めようとする動きもあります。
食品宅配サービス「インスタカート」を運営するメープルベア(CART)は25年12月、オープンAIと提携し「チャットGPT」内で食料品の注文から決済、配達手配までできる新サービスを発表。AIとの対話だけで日常の買い物が完結する新しい体験を消費者に提供します。
即配サービスの利便性が高まれば、利用者はますます増えそうです。