投資や資産形成をもっと楽しくするためにピッタリの書籍を、著者の方とともにご紹介する本連載。つばめ投資顧問代表で投資系YouTuberでもある栫井駿介さんの『年率10%を達成する! プロの「株」勉強法』より、3回目となる今回は、「バリュー株投資」について見ていきます。[PR]
500円で売られている1000円札を買う
前回の記事では、「長期投資家がどのような企業の株を買えばいいのか」を説明しました。それに加えて「いつ買うか?」ということをより明確にすることで、損失を避け、なおかつ長期的な利益を上げやすくなります。
長期投資では、基本的に時間の経過に伴って株価が上昇することを期待します。したがって、その株を買うなら1円でも安い時に買った方がいいことは間違いありません。その基準となるのが「価値」という考え方です。企業には、その業績や財務状況から導き出される、あるべき価値というものが存在します。
この価値よりも安い株価で取引される株を買うのが、ウォーレン・バフェットのやり方であり、すなわち「バリュー株投資」の考え方なのです。具体的に言うならば、本来1000円の価値があるものを、500円という割安値で買う方法に他ならないのです。
価値を測る「PER」の正しい使い方
では、「価値」とは一体何なのでしょうか? これを示すものが、PER(株価収益率)などの「バリュエーション」と呼ばれる指標です。例えば、PERについて言えば、一般的に15倍程度が平均値とされます。すなわち、株価が利益の15年分になっているということです。
ただし、本質的に考えると、企業の価値すなわち株主にもたらされる利益は、これから将来にかけて、企業がいくら稼ぎ、いくら配当として株主に払い出せるかによって決まります。したがって、重要なのは、目先の業績よりも「将来の利益」なのです。
将来の利益が大切ということを考えると、現在の利益から計算されるPERが30倍の銘柄だとしても、将来の利益が大きく増えるならば、決して割高ではないということになります。
私たちが見るべきは、目先のPERではなく、「将来にわたって継続する利益に対するバリュエーション」ということになるのです。これは、金融の世界でいうDCF(ディスカウント・キャッシュ・フロー)法(※)に基づいた考え方になります。
※DCF法……現在の価値に割り引いて株式の価値を求める方法。理論株価を求める際の基礎となる考え方。
分析をしていて気になる企業があったとしましょう。前回の記事では、とりあえずその銘柄を買ってみるのがいいとお伝えしました。いったん銘柄を買うと、その銘柄の良いところや悪いところがよく見えてくるものです。
さらに言えば、その企業を知れば知るほど、これからどのようにして成長していくのか、どのような業績の軌道を描くかということが、おおよそ見えてくるものです。企業をある程度理解したと思ったら、3年から5年後の業績見通しをつくってみましょう。
例えば、売上高は年率何%で伸びるのか。費用はその売上の伸びに対して、同じぐらい伸びるのか、あるいはほとんど変わらないのかなど。売上の伸びを想定できれば、その他の費用などは、ビジネスの特性から、ある程度は推定できるものです。
こうやって、推定した将来の業績から純利益まで導き出します。それに適当なPERをかけたものが企業のあるべき価値です。なお、PERは「株価/1株あたり利益」ですが、同様に「時価総額/純利益」でも計算できます。すなわち、「企業の価値=時価総額」は純利益にPERをかけたものです。
バフェットの「安全域」の考え方
このようにして導き出される「価値」と現在の株価の差を、ウォーレン・バフェットは「安全域」と呼びます。安全域がある銘柄を買うことによって、私たちは長期的な損失を避け、利益を出す確率を向上させることができるのです。
例えば、ある会社の純利益が現在100億円で、3年後に150億円になるとしましょう。3年後の時価総額は、PER15倍をかけて2250億円(150億円×15)くらいなら十分に妥当と言えます。
この会社が時価総額2000億円で売られているとしたら、250億円(2250億円−2000億円)の「安全域」があり、買ってもよい水準となります。これが時価総額1500億円ならさらにお得というわけです。なお、時価総額は「株探」や「Yahoo!ファイナンス」などのウェブサイトですぐに見ることができます。
このようにして企業の本質的な価値を見極めることが、まず私たちに求められることです。価値を見積もると、現在の株価が割安なのかということを改めて確認することができます。
買い時は年2〜3回
企業が本質的な価値に対して割安だと判断できたら、その企業をさらに買い増すことを考えましょう。ただし、「いつ買うか?」という判断は非常に難しいものです。どのタイミングで買えば最高なのか、いくら探しても明確な答えは得られないからです。
買うタイミングに関して明確な答えがないと、いつまでも先延ばしにしてしまったり、思いついたタイミングで買ったら下がりはじめたりと、一喜一憂を繰り返すことになってしまいます。これでは、長期投資としてはなかなか身が持ちません。実際に、多くの人は株価の変動に疲れてしまい、投資をやめてしまうことが多いのです。何よりもこのような事態を避けることが、普通の投資家に求められることです。
いつ買えばいいかという永遠の課題に対して、私が提案するのは、ズバリ、「下がった時に買う」という方法です。
株価の波を見てみると、おおよそ年に2〜3回は大きな下落がやってきます。その時に、目をつけた企業を買っていけば、買ってから大きく値下がりする可能性を減らすことができます。
この年2〜3回というタイミングは、多くの場合、テレビのトップニュースなどで株価の暴落が伝えられた時になります。このタイミングが訪れるまでに、私たちは買うべき企業を見つけて、その瞬間にせっせと買い増せばいいのです。

