彼はそれを「賢者の投資術」と言った

今日からお金賢者になれる「1分書評」/ 日興フロッギー編集部

インデックス投資がマイナーだった時代から実践を続けてきた作者の、25年間のリアル。気づけば”資産の育つ流れ”に乗れている、そんな基盤を築けそうな一冊です。

25年で億り人に! これぞ賢者の投資術

タイトルの「彼」とは2024年に逝去した経済評論家・山崎元さんのこと。著者とは、2010年刊行の『ほったらかし投資術』を共著した関係にあります。インデックス投資の定番書となっていますが、山崎氏は当初このタイトルに難色を示し、代わりに推したのがこの「賢者の投資術」だったとか。師への15年越しの恩返しがこもるのか、単なる実用書以上の温かみが感じられる内容になっています。

もっとも本書の最大の魅力は、著者の投資家としての25年にわたる”泥臭いリアル”です。インデックス投資以前は個別株にハマり、トイレトレーダーとして一喜一憂していた時代も。マネー誌に出てくる専門家の”まやかし”には疑問も抱いていたそうで、チャート分析が裏目に出れば「今回はダマシ」、ファンダメンタルズ分析が外れれば「市場は織り込み済み」——そんな言い訳のテンプレにうんざりしたという描写に、苦笑しつつも共感する読者も多いのではないでしょうか。

作者は2002年にインデックス投資へ舵を切りますが、当時はオルカンもS&500もなく手数料も割高。買った投信が繰上償還される憂き目にあうことも。そうした中で、資産を徐々に積み上げていくものの、リーマン・ショックの直撃で一時は資産がほぼ半分に! 株安と円高のダブルパンチに加え、投資ブロガーとして活躍していた作者のもとには「お前のせいで大損した」という心ない声まで届いたとも。しかし、こうした逆境こそが水瀬式”開き直りの哲学”を形づくっていきます。暴落時に市場に居続ける胆力、感情に引きずられない距離感、淡々と積み立て続ける姿勢などなど。見開きの25年間の資産推移グラフは下落局面でも「市場に居続ける重要性」を雄弁に語っています

巻末のQ&Aでは、ブログなどへ寄せられた相談に回答。昨今のように金利がある程度つく時代だからこそ「現金のまま放置することで生まれる機会損失」を考えてみてほしい——という言葉が、とりわけ説得力を帯びて響きました。