IT企業が銀行業参入 金融規制の緩和で革新サービス

フォーカス!押さえておきたいテーマと企業(米株編)/ QUICK

トランプ米政権が金融規制の緩和を進めるなか、暗号資産(仮想通貨)やフィンテックなどIT(情報技術)企業の銀行参入が相次いでいます。銀行業の免許取得を目指すコインベース・グローバルを中心に各社の動向をご紹介します。

コインベース・グローバルが信託銀行の国家免許を申請

2025年10月、暗号資産交換業のコインベース・グローバル(COIN)が米通貨監督庁(OCC)に対して米国における信託銀行の国家免許を申請したと発表しました。

信託銀行の免許は、預金受け入れや融資業務を行う一般的な銀行ライセンスではなく、機関投資家に代わって有価証券の保管・管理を行うカストディー業務や決済、その他関連サービスなどを全米規模で行うためのライセンスです。

暗号資産企業に銀行免許が付与されれば、仲介銀行を介すことなく自前で決済できるようになるため、決済の迅速化とコスト削減につながります。OCCの監視下に入ることで、正当な金融機関としてのお墨付きも得られるメリットがあります。

同社は、連邦レベルの規制環境のもと、デジタル資産を伝統的な金融システムに統合することで幅広い顧客に革新的な金融サービスを提供することを目指します。

暗号資産・フィンテック企業の銀行免許取得の主なメリット

・規制当局の監視の下、事業の安定性や正当な金融機関としての地位が担保
・銀行機能の取得で仲介銀行が不要になり、決済の迅速化やコスト削減が実現
・規制の一元化により、全米規模でのサービス提供が可能に
・機関投資家などの顧客資産を直接管理できるため、事業の多様性や自立性が向上
・デジタル資産と銀行機能の一体化で革新的な金融サービスの提供が可能に

他の暗号資産企業も相次ぎ銀行免許を申請

コインベース・グローバルに先行して、複数の暗号資産関連企業も、OCCから最終的な事業計画の立案や内部体制の整備などを条件に信託銀行の設立が認められています。

25年7月、サークル・インターネット・グループ(CRCL)は、金融サービス大手フィデリティ・ナショナル・インフォメーション・サービシズ(FIS)と業務提携し、顧客である金融機関がUSDCで取引できるようにすると発表しました。

同社は、米ドルなど法定通貨に価格が連動するように作られた暗号資産ステーブルコイン「USDC」を発行するフィンテック企業です。

12月には、OCCから信託銀行の設立に関して条件付き承認を得たと発表しました。OCCの監視下でUSDCの資産管理を行うことで、顧客に対する信頼性は大きく向上することが期待されています。

機関投資家を中心とする顧客にデジタル資産の保管業務や関連サービスを提供し、事業拡大につなげる考えです。

その他、今年1月にニューヨーク証券取引所に上場したばかりのビットゴー・ホールディングス(BTGO)も同様に信託銀行の承認を取得しました。

ビットゴーは、暗号資産などの機関投資家向けカストディー業務が強み。信託銀行の免許取得により、デジタル資産関連サービスの全米規模での提供を目指します。

決済関連企業など銀行免許取得で事業規模拡大へ

25年12月には、決済大手のペイパル(PYPL)も米連邦預金保険公社(FDIC)などに対し、銀行免許の取得申請をしたと発表しています。

ペイパルは13年以降、中小企業・個人事業主向けに累計300億ドル以上の融資実行や運転資金を提供してきました。今回、設立する「ペイパル・バンク」が銀行免許を取得すれば、預金受け入れなどで手元資金を確保し、全米の中小企業への成長と経済機会をより効率的に支援できる体制を整えます。

また、モバイル決済サービス「スクエア」を運営するブロック(XYZ)は、銀行として機能する融資企業「スクエア・ファイナンシャル・サービシズ(SFS)」を通じて21年から個人向けローン商品を提供しています。

IT企業など異業種の銀行参入により、今後、金融サービスの強化・拡充が一段と進みそうです。