半導体向け需給ひっ迫で好業績 「ガラス繊維」関連株が上昇

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株式市場で「ガラス繊維」関連株が買われています。QUICKが選定する関連銘柄の平均上昇率は5.6%と、東証株価指数(TOPIX、4.6%高)を上回りました(2月13日までの5営業日の騰落)。株価が上昇した5銘柄とその背景について解説します!

関連企業の好決算・業績修正に反応

ガラス繊維関連株が上昇したきっかけは、関連企業による決算発表や業績予想の修正です。

ガラス繊維とは、溶かしたガラスを繊維状に加工した無機繊維のこと。AI(人工知能)向けデータセンターや高速通信機器の半導体パッケージ基板に使用されていることから、足元で需要が拡大しています。

特に最先端半導体向けのガラスクロス(ガラス繊維の織物)は需給がひっ迫し、ハイテク企業による引き合いが強いことから、争奪戦の様相を呈している模様です。

需要拡大の恩恵がガラス繊維や関連材料を製造するメーカー全体へ波及するとの期待から、関連銘柄への物色が集まりました。

ガラス繊維を利用した複合材料に強み【有沢製作所】

上昇率首位の「 有沢製作所 」は、日本で初めてガラス繊維を織ったことでも知られます。「織る・塗る・形づくる」という3つの技術をコアに、電子材料や半導体関連材料を展開しています。

5日に2026年3月期の連結純利益の見通しを前期比減益から増益に上方修正しました。主力の電子材料でスマートフォンや半導体向け需要が堅調に推移していることが背景です。

同社は、プリント配線板や航空機の内装材、発電機などの絶縁材に用いられるガラスクロスなど、培った技術力を多様な製品に活かしています。

特に、ガラス繊維やカーボン繊維を加工して作る複合材料「FRP(繊維強化プラスチック)」は、今後実用化に向けて研究・開発が進められている核融合実験プロジェクト(『「夢のエネルギー」にスポットライト 「核融合発電」関連株が上昇)にも用いられているなど、将来性は高そうです。ニッチトップメーカーとして確かな存在感を放っています。

「Tガラス」の世界シェア9割【日東紡績】

上昇率2位の「 日東紡績 」は、独自技術を持つ業界のリーディングカンパニーです。

5日に2025年4~12月連結決算を発表、あわせて26年3月期連結業績予想を上方修正しました。AIサーバー向けガラス繊維の旺盛な需要などを反映したもので、需要拡大基調の継続を裏付けるものでした。26年3月期の連結純利益は前期比約3倍の380億円を見込み、2期連続で過去最高となる見込みです。

同社は、AIサーバーのプリント基板に欠かせないガラスクロスである「Tガラス」の世界シェアは9割に達し、ほぼ独占状態にあります。25年8月には、福島市に約150億円を投じて新工場棟を建設し、ガラスクロスの生産能力を最大で約3倍に増強すると発表しました。需要拡大に加え、値上げによる収益期待も高まっています。  

多彩な用途、自動車や「6G」にも

セントラル硝子 」は、ガラスを綿状に加工した「グラスウール」を扱っています。自動車や鉄道車両などの断熱・吸音材として広く使われていて、自動車向けグラスウールでは国内シェアナンバーワンを誇っています。 

旭化成 」は高速通信機器やデジタル端末に使用される高機能ガラスクロスの分野でトップクラスのシェアを有し、新たに次世代高速通信(5G・6G)に対応した、「石英ガラスクロス」の製品化を進めています。 

日本山村硝子 」は国内ガラス瓶製造最大手のメーカーです。電子部品用ガラスや半導体向けガラスセラミックスなど様々な形状の「ニューガラス」製品を開発しています。

「脱炭素」も追い風に

リサーチ会社のフォーチュンビジネスインサイトによると、世界のガラス繊維の市場規模は26年の221億7000万米ドルから、2034年までに346億7000万米ドルへと拡大すると見込まれています。

足元のAI半導体の需要拡大で昨今急速に注目を集め始めていて、過去にも関連銘柄に物色が広がったことがありました(『半導体部材やデータセンターに需要 「生成AI」関連株が上昇)。

しかし、成長ドライバーは半導体用途だけではありません。高強度、高耐熱、優れた絶縁性といった特徴から、建材など幅広い用途での活用が見込まれています。特に自動車の燃費向上に資する軽量化部材や風力発電風車用のブレードなど、「脱炭素」のテーマでも注目を集めていることから、物色を集める場面は今後も増えていきそうです。