投資や資産形成をもっと楽しくするためにピッタリの書籍を、著者の方とともにご紹介する本連載。今回から4回にわたって、高衣紗彩さんの「ポートフォリオ・マネジメントで一生お金に困らない人になる!」を紹介します。第1回目の今回は、成功する投資の基礎知識でもあるリスクの基本についてご紹介します。[PR]
成功する投資 「ポートフォリオ・マネジメント」を始める前に
投資とは何か?
改めて、投資とは何かを確認しておきましょう。
投資とは、自分のお金を運用することです。運用とは、今あるものを別のものに変えて、その価値を増やすことを意味します。つまり、自分の現金を、ある会社の株やファンドに変えて、その価値を増やすことが運用であり投資です。
しかし今は、投資といったら紙切れ(証券)を売ったり買ったりして、その金額の差額を稼ぐことだと思う人もいます。これは運用でも投資でもなく、投機です。投機のことを資産運用あるいは投資だと誤解している人が非常に多いのが現状です。
9割の個人投資家が理解していない投資における「リスク」
運用の際に欠かせない知識が、「リスク」という概念です。
「投資におけるリスク」を正確に理解することが、成功する投資には欠かせません。
ところが、個人投資家のほとんどの人が、「リスク」について正しく理解していないのが実情です。
「投資におけるリスクって、為替のリスクやカントリーリスク、デフォルトのリスク、元本割れリスクのことでしょ」と投資の上級者によく言われるのですが、残念ながら、これらのことでもありません。もちろんこれらは投資にかかわるリスクではありますが、これらとは別の次元で、絶対に知っておくべき「リスク」があるのです。
「リターン・リスク特性」という言葉を聞いたことがあるでしょうか? ここで言うリスクが、投資をする際に理解したいリスクです。
リターン・リスク特性とは、投資から得られる「収益(リターン)」と、それが得られる「不確かさの特性(リスク)」という意味です。ちょっと言い回しが難しいですね。一つずつ理解していきましょう。
「リターン」についての基本
まず、投資の収益(リターン)ですが、これは1年間あたりで表示すると決まっています。ただし、ネット証券などで実績として表示されるリターンはこれではなく、買ったときの金額に対してどれだけ価値が増えたかを示しています。
「期待リターン」の意味
投資信託などで「期待リターン」と表示されているものは、すべて年間リターンの平均を指します。たとえば20年間運用されている投資信託Aで、期待リターン7%という表示があるのであれば、20年という期間で、1年あたり平均して7%のリターンを確保した、という意味です。あくまでも「平均」なので、年によっては、プラス20%になった年もあったでしょうし、マイナス30%になった年もあったかもしれません。
過去に平均して7%リターンを上げられたのであれば、これからも年平均7%のリターンを上げられるだろう、と投資の世界では考えます。そのために、期待リターン7%という言い方をします。
リスクとは、期待リターンからのブレ幅の平均(%表示)
では、投資におけるリスクとは、どのようなものでしょうか?
リスクというと、一般的には、損失をこうむるリスクなどマイナスになることを指すと思います。しかし投資におけるリスクはそれとは異なり、期待リターンが取れるかどうかの「不確かさ」のことを指します。
リスクを考慮して投資を行うことを、「リスクをコントロールする」と言います。
投資先のリスク(不確実性)を考慮せずに投資先を選ぶと、想定外の損失に見舞われることになります。
人間は、想定していた損失であれば恐怖を感じません。「想定内! 大丈夫!」とやり過ごすことができます。しかし、想定していない損失に見舞われると、ショックを受けますし、恐怖を感じます。そして不安と恐怖に負けて、売ってはいけない局面で売ったりしてしまうのです。
投資先のリスクを理解したうえで、不確実性がマイナス方向に出たときでも、その損失に自分が耐えられるかを吟味して、投資先を選ぶことがポイントです。これは投資の基本なのですが、個人投資家でやっている方を見ることはほとんどありません。
実は、これが投資の成否を分ける、とても大きな要素になるのです。
「リスク分散」の本当の意味を知ろう
リスク分散とは?
リスク分散とは、リターンパターン(いつリターンが高くなり、いつリターンが低くなるか)の異なる資産を複数組み合わせることにより、グループとしてリターンのブレ幅を小さくすること、と定義されます。
一つだけだと自分のリスク許容度を超えたものは買えませんが、二つ以上を組み合わせることで、全体のリスクを小さくできるのです。「え、そんな魔法のようなこと、できるの?」と思うかもしれません。それが、できるのです。順を追って説明していきます。
リスク分散と相関関係
私のところに相談にいらっしゃる方のポートフォリオを見せていただくと、30〜100銘柄持っているという方がいます。聞けば、リスク分散のためだとおっしゃいます。しかし、買っている銘柄を見ると、どれも同じ動きをするもの、すなわち、正の相関関係にあるものばかりです。残念ですが、これではリスク分散にはなっていません。
「これから何が上がるか?」という視点だけで買っていると、正の相関関係同士の銘柄をたくさん買ってしまうことになります。何十銘柄も買うのは、「そのうちどれかが上がってくれればいい」という、数打ちゃ当たる精神なのかもしれませんが、その考え方では資産を増やしていけません。
リスク分散とは、なんでもいいから複数購入することではなく、正の相関関係同士ではなく、負の相関関係にある複数の資産を購入することでのみ可能になります。
「すべての卵を一つのバスケットに入れるな」とは、分散を表す格言として有名ですが、同じ動きをする卵をバスケットに入れたら、いくら複数に分けても分散効果は期待できません。「違う動きをする」「負の相関関係にある」複数の投資先を選んで投資する必要があるのです。そうすることで初めて、分散効果を享受することができます。

