為替で世界を読む 円安はいつまで続くのか

今日からお金賢者になれる「1分書評」/ 日興フロッギー編集部

外為市場の最前線で分析を続けるプロが、円安の「正体」と「潮目が変わる条件」を徹底解剖。目先の変動に惑わされない思考の軸が手に入る一冊です。

世界株ホルダー必読! 「為替」の正体を知れば円高も円安も怖くない

この30年間でドル円相場はおおむね、70円台後半から150円後半くらいの幅で上昇と下落を繰り返しています。オルカンやS&P頼りの個人投資家(自分のことです)は円高に戦々恐々で、本書はまさに「そこが知りたい」タイトルではないでしょうか。とはいえ、「いつ終わる? いくらになる?」といった予言めいたものはなく、魚の釣り方を教える内容。「金利差がどのように動けば、どう円相場が動くのか」「サブスク代含むGAFAなどへのデジタル赤字が円安にどう影響するのか」等々、為替の法則を素人にわかりやすい筆致で解説していきます。

個人的に面白かったのがSNSに溢れる「円安犯人探し」の俗説をデータで論破していくくだり。日本は2019年に最大の米国債保有国となり、強引な円売りドル買いを疑う声が上がりました。しかし、以降の保有残高が減少していることを示すグラフを提示し、「米国陰謀説」を一蹴します。はたまた昨今の「新NISA犯人説」。為替市場では、1日あたり約41兆円のドル円が取引されている一方、投資信託会社経由の対外証券投資の資金流入は2024年1月からの11ヵ月間で10兆円超にとどまり、為替への影響は限定的だと結論づけています。長期積立を前提とするNISAは長い期間「円が売られっぱなし」になるため、円高を抑制する効果そのものはあるらしいのですが。

では「円安の主犯」は誰なのか? 主な要因として挙げられるのは、日米の金利差。そこに投機筋――金融機関や投資家の動きが重なり、相場を大きく揺さぶった側面もあると言います。複数の歯車がどのように噛み合って円の価値が決まっていくのか、本書では数多くのシミュレーションを示していて、読み進めるうちに為替の構造が自然と腑に落ちてくる構成です。円高に振れても円安に振れても、過度に怯える必要はない。世界株式とともに長い旅を続ける投資家にとって、これほど心強いガイドブックはそう多くないのではないでしょうか。