株式市場で「人工ダイヤモンド」関連株が買われています。QUICKが選定する関連株の平均上昇率は5.8%と、東証株価指数(TOPIX、0.3%安)に対して逆行高となりました(2月20日までの5営業日の騰落)。関連する5銘柄について解説します!
工業用の人工ダイヤ製造プロジェクトが始動へ
2月18日、経済産業省は2025年9月に公表した総額5500億ドルの対米投融資計画(日米戦略的投資イニシアティブ)の第1弾案件として総額約360億ドル(約5.6兆円)となる3つのプロジェクトを発表しました。
投資額の大半はAI(人工知能)データセンターなどに電力を供給するガス火力プロジェクト向けですが、米国産原油の輸出インフラ・プロジェクトともに、自動車・航空・半導体の部素材の加工に使用する工業用の人工ダイヤ製造プロジェクトも盛り込まれたことで、人工ダイヤ関連銘柄が注目されました。

硬質材料の研磨に特化【ジェイテックコーポレーション】
上昇率首位は研究施設向けの精密装置を手掛ける「 ジェイテックコーポレーション 」です。
同社は、放射光施設向けX線ミラーの開発や難加工材料向け超精密研磨加工、再生医療実現のための自動細胞培養技術など、異なる分野を横断する独自技術の開発を推進しています。
同社のプラズマ援用研磨法(RAP)はダイヤなどの硬質材料の研磨に特化しており、今後パワーデバイスとして注目されるダイヤモンド基板の研磨工程において大きな期待を集めています。
同社は前週末2月13日の取引時間中に2026年6月期の第2四半期(7~12月)決算を発表。当日の株価は下落した一方、18日の経産省の発表に先立つ16日、17日に大幅上昇しています。18日の発表を受けて利益確定売りに押されましたが、売り一巡後に戻り歩調となっており人工ダイヤ関連株としての期待感は強いようです。
窒化ガリウムトランジスタ作製に成功【住友電気工業】
上昇率2位は電線大手の「 住友電気工業 」です。
人工ダイヤモンド単結晶の製造において世界トップレベルの技術を有しており、2025年3月には2インチの多結晶ダイヤモンド基板上で窒化ガリウムトランジスタ(GaN-HEMT)の作製に成功しています。移動体通信・衛星通信分野での基幹デバイスの大容量化や低消費電力化を実現する重要なステップになるとみられていて、今後の量産化が期待されます。
投資プロジェクトに関心、ダイヤ単結晶製造
「 旭ダイヤモンド工業 」はダイヤモンド工具国内最大手で、今回の対米投資プロジェクトに関心を示しています。米ジョージア州に建設される人工ダイヤ生産拠点からの引き取り手や工具供給パートナーとしての直接的な恩恵が期待されます。
「 ノリタケ 」は世界的な陶磁器メーカーであるほか、国内最大の研削・研磨工具の総合メーカーで、加工の精度や効率などは世界でもトップクラスを誇ります。今回の人工ダイヤプロジェクトで人工ダイヤの調達に関心を示しており注目されます。
「 イーディーピー 」は人工ダイヤの製造に必要な薄い板状のダイヤモンド単結晶を製造し、宝石生産向け種結晶のほか、研究用基板、切削工具、放熱材料などの工業材料向けにも販売しています。
同社株は、人工ダイヤ関連株として事前に急騰していた経緯があるなか、ジェイテックコーポレーション同様、18日の経産省による正式発表で旭ダイヤやノリタケのようには実名が記載されなかったことで利益確定売りに押されたようです。
人工ダイヤには「究極の半導体」期待も
ダイヤは宝飾品として注目されがちですが、硬度が高く、耐摩耗性や熱伝導性に優れ、電気絶縁体などの特性があるため工業用として重宝されています。
今回の人工ダイヤ製造プロジェクトの総額は6億ドル(約900億円)と規模は小さいですが、日米両国ともに中国への依存度が高い人工ダイヤ製造のサプライチェーン(供給網)を構築する意義は大きいとみられます。
ダイヤは現在主流のシリコンに比べ半導体材料として多くの優れた特性を持っていて、ダイヤでつくる半導体は「究極の半導体」になると期待されています。
関連銘柄の株価は期待先行と利益確定の売りなど値動きの荒い展開となっているものも散見されますが、今後も市場では注目される場面がありそうです。