株式市場で「リチウムイオン電池」関連株が買われています。QUICKが選定する関連銘柄の平均上昇率は6.1%と、東証株価指数(TOPIX、2.2%高)を上回りました(2月27日までの5営業日の騰落)。株価が上昇した5銘柄とその背景について解説します!
GS・ユアサがリチウムイオン電池の生産増強
リチウムイオン電池関連株が上昇したきっかけは、生産力の増強に関する報道や会社発表です。
18日、一部報道で、ジーエス・ユアサ コーポレーションが北関東にリチウムイオン電池の新工場を建設する計画が伝えられました。また、同日、同社は蓄電所などに使うリチウムイオン電池の生産増強投資が、経済産業省の「蓄電池に係る供給確保計画」に認定されたと発表しました。
再生可能エネルギーの普及で定置用蓄電池システムの需要が高まるなか、同社は経済安全保障の面で国産品の需要が高まると判断し生産能力を高めるようです。
蓄電池の素材や部品を製造するメーカーのほか、蓄電池を手掛ける他社でも需要が高まるとの期待が高まりました。

正極材を安定供給【住友金属鉱山】
上昇率首位の「 住友金属鉱山 」はリチウムイオン電池のプラス極となる材料(正極材)の「ニッケル酸リチウム」や「三元系正極材」で世界的に高いシェアを維持しています。原料の調達から製錬、材料への加工までを一貫して生産し安定供給を実現しているのが特徴です。
政府機関の次世代蓄電池の開発プロジェクトで高性能化などに向けて協力しています。同社が手掛ける正極材の主な使用用途は車載用ですが、船舶や定置型向けにも素材を供給しており、供給先が拡大すれば事業拡大が見込めそうです。
素材や断熱材を生産【デンカ】
上昇率2位の「 デンカ 」はリチウムイオン二次電池の電極内部の伝導性を助ける導電助剤の「アセチレンブラック」を手掛けています。不純物を極限まで減らし、高性能化した材料で蓄電池の性能向上に寄与します。
2月25日にはリチウムイオン電池向けのセル間断熱材を開発したと発表しました。車載用蓄電池に広く採用されているようですが、定置型への採用を含めて市場成長が期待できる分野として開発したようです。
より安価なナトリウムイオン電池の開発も
「 村田製作所 」は蓄電池システムの生産を手掛けているうえ、関連事業として電力利用を効率化するソリューションも提供しています。
「 戸田工業 」は正極材として高純度の微粒子酸化鉄を生産しています。リチウムイオン電池よりも安価な大型の蓄電池として期待されるナトリウムイオン電池の開発にも注力しています。
「 ジーエス・ユアサ コーポレーション 」は、政府機関の次世代蓄電池の開発プロジェクトに参画しています。定置型のほか、車載用や産業用、航空・宇宙・海洋向けなど幅広く蓄電池を生産しています。GSユアサの生産拡大は素材メーカーの需要拡大につながります。定置型蓄電池の需要が高まれば他社のリチウムイオン電池の生産拡大にも期待できそうです。
同社株については、18日朝の報道を受け同日の株価は大幅上昇。会社の正式発表を受け、翌19日も上昇が続きました。
対米投融資の第2弾に採用されれば一段上昇か
関連銘柄の中には日本企業による米国への対米投融資の第1弾案件の1つのガス火力発電事業の関連銘柄もあり、上昇に弾みが付いたようです。トランプ大統領の関税発動を違憲とする米連邦最高裁判決で日米関税合意の前提が揺らぐとの見方もありましたが、複数の政府高官は対米投融資計画は変わらないと説明したとも伝わっています。
対米投融資の第2弾では蓄電池の材料を生産する施設の建設などが案件として浮上しているとの報道もあり、リチウムイオン電池関連株が思惑を集めた面もありそうです。同案件が採用された場合は、リチウムイオン電池関連株の一段の上昇も期待できそうです。