ホルムズ海峡封鎖で安定供給へ懸念 「肥料」関連株が上昇

直近の値動きから見るテーマ株/ QUICK

株式市場で「肥料」関連株が買われています。QUICKが選定する関連銘柄の平均上昇率は10.5%と、東証株価指数(TOPIX、2.4%安)に対して逆行高となりました(3月13日までの5営業日の騰落)。関連する5銘柄とその背景について解説します!

原料価格高騰、「肥料ショック」再来か

「肥料」関連銘柄が買われたきっかけは、中東情勢の緊迫化による原料価格の高騰です。

2月28日、核兵器や長距離弾道ミサイルの開発阻止を名目として、米国とイスラエルがイランへの攻撃を開始しました。これに対しイランは中東諸国の米軍基地へミサイル攻撃を行うなど、応戦を開始。世界の物流の要衝であるホルムズ海峡を事実上封鎖しました。これにより、エネルギーの安定供給への懸念から原油などの価格が急騰しています。

ホルムズ海峡は、原油のみならず肥料原料にとっても重要な輸出経路です。また、中東諸国は世界有数の肥料原料の生産国として知られています。イラン攻撃を受け、カタールの肥料工場が生産を停止するなど、供給不安が高まっています。

3月13日には、「尿素や硫黄など計98万トン規模の肥料を積んだ船21隻がペルシャ湾内で待機していることがわかった」と複数メディアから報じられ、2022年のウクライナ侵攻に端を発した「肥料ショック」の再来が懸念されています。

輸送の難航化や供給不安により肥料原料の市況価格は急騰しており、それらを扱う国内メーカーの業績に寄与するとの思惑から、関連銘柄に買いが集まりました。

水耕栽培用肥料でトップシェア【OATアグリオ】

上昇率首位のOATアグリオは、肥料のほか除草剤や殺虫剤といった防除技術にも強みを持つ、食糧増産技術の開発を目指す企業です。

特に水耕栽培(培養栽培)用の肥料「OATハウス肥料シリーズ」はトップクラスのシェアを有しており、大規模植物工場から一般家庭まで幅広く利用されています。また、植物や土壌に良い刺激を与えることで、農薬などを使わずに環境ストレス耐性を高める「バイオスティミュラント」分野にも力を入れています。

世界各地に生産・開発の拠点を有するグローバル企業としての一面もあり、人口の伸びが見込まれるアジア地域へ注力するなど、今後の成長が見込まれそうです。

生産性向上へ構造改革を加速【片倉コープアグリ】

上昇率2位の片倉コープアグリは創業100年以上の老舗メーカーで、化成肥料などを手掛けています。

「肥料事業」で培った技術力を背景に「化成品」や「飼料」「化粧品原料」など8つの分野で事業を展開しています。

2月16日に発表した2026年3月期第3四半期(25年4月~25年12月)決算では、肥料事業での販売数量増加などが寄与し、売上高が伸び営業損益が黒字に転換しました。生産最適化へ肥料工場の再編をはじめとした構造改革を進めており、今後に期待が持てそうです。

化学メーカーも活躍

クミアイ化学工業は、農薬の創薬から製造・販売まで一貫した体制を擁する農薬メーカーです。グループ会社の「アグリ・コア」では微生物とITを用いた肥料の開発・販売なども手掛けています。

多木化学は日本で最初の人造肥料メーカーとして知られています。肥料のほか、化学品や不動産の3事業を柱とし、水処理用凝集剤などは全世界の上下水道で利用されています。

渋沢栄一らにより日本初の化学肥料会社として設立された日産化学 」は、肥料原料で培った技術を応用し、電子材料用途の高純度薬品なども手掛けています。

食料安全保障の観点からも欠かせない肥料

原料高騰で注目を集めた肥料関連銘柄ですが、過去には「政府がコメ増産に政策転換へ」と報じられたときも注目が集まりました(『コメ増産表明や決算を好感 「農業」関連株が上昇』)

日本のカロリーベースの食料自給率は2024年度で38%と低位で推移しており、食料安全保障の観点からみて食料品の増産は急務となっています。政府は農業の国内生産基盤強化を掲げており、食料の増産に欠かせない肥料関連銘柄も、中東情勢に関わらず今後息の長いテーマとして物色されそうです。

※記事執筆時点で多木化学(4025)は証券金融会社の注意喚起銘柄に指定されています。