北米生産の日本車 関税交渉受けて逆輸入が拡大

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海外で生産した日本車の逆輸入が足元で拡大しています。2025年は逆輸入車の販売台数が30年ぶりに過去最高を更新しました。日米の貿易関係を念頭に、米国産日本車の国内市場への投入を計画する本田技研工業(ホンダ)を中心に各社の動向をご紹介します。

ホンダ、高級セダンなど米国生産車を26年中に日本で販売へ

ホンダ 」は3月、米オハイオ州で製造する高級ブランド「アキュラ」のセダン「アキュラ インテグラ タイプエス」と、アラバマ州で製造する多目的スポーツ車(SUV)「パスポート トレイルスポーツ エリート」の2車種を26年後半から日本市場に投入すると発表しました。

海外から輸入した日本メーカーの車を「逆輸入車」と呼びます。ホンダが新たに逆輸入する高級車アキュラの国内投入は初めてで、未舗装路での走行も楽しめるパスポートはアメリカンサイズの大型SUVです。

日本で販売していない魅力的な車種を日本市場に導入することで、顧客にとってはホンダ車の選択肢が増えることになります。

逆輸入車とは

・海外で生産された日本メーカーの車を日本に輸入したもの
・海外でしか販売していない車種の導入でラインアップを拡充
・人件費の安い国でコストを抑えるため集中生産
・少子高齢化で国内市場が縮小し、海外拠点の活用が拡大
・対日貿易赤字縮小を求める米国からは米国製自動車の輸入拡大の要請も

ホンダが米国製車種の導入に踏み切る背景には、品ぞろえの強化に加え、対日貿易赤字を問題視するトランプ米大統領への対応があります。トランプ氏は安全基準の違いなどによって米国製の車が日本で売れないことが非関税障壁になっていると非難してきました。

今年2月には国土交通省が書類審査のみで米国製車両の安全性を認証する大臣特例制度を新設しました。ホンダはこの制度を活用します。輸入車審査の手続きが簡素化されることで、米国生産車の輸入拡大に弾みが付くかもしれません。

他社も北米からの輸入拡大に商機

手続きの簡素化に伴って、他社も北米からの輸入拡大に意欲を示しています。

トヨタ自動車は2025年12月、米国のケンタッキー工場などで生産するセダンの「カムリ」、多目的スポーツ車の「ハイランダー」、ピックアップトラックの「タンドラ」の3車種を26年から順次、日本市場に導入することを目指すと発表しました。ハイランダーとタンドラについては4月2日に東京都内で販売を始め、夏以降には全国販売する予定です。

日産自動車 」は3月、27年初頭から米国産のSUV「ムラーノ」を日本市場に投入し、発売すると発表しました。

ムラーノはかつて日本でも販売していた実績がありますが、15年に販売を終えていました。予定通り27年に販売されれば12年ぶりの復活になります。同社の経営不振の一因には人気車種の乏しさがあり、販売車種の拡充は今すぐ取り組むべき課題でした。逆輸入を活用し、日本市場での需要掘り起こしにつなげます。

逆輸入を戦略的に活用してきたのが「 スズキ 」です。

スズキは小型SUV「フロンクス」などをインドから輸入して販売してきたほか、四輪駆動車「ジムニーノマド」については受注が殺到し、新規受注を停止するほどの人気を集めました。

スズキの逆輸入車はメルセデス・ベンツと争ってメーカー別ランキングで上位に食い込み、逆輸入車の販売台数が過去最高となった立役者でもあります。

インドは人件費や部品コストが日本よりも低いため、インドで集中生産し輸入することで、価格競争力を維持する仕組みを作り上げてきました。

三菱自動車工業 」は早ければ26年度にも人気ブランド「パジェロ」のSUVを国内で発売すると報じられており、注目が集まっています。生産は東南アジアの工場で担うとみられています。

今後は逆輸入車が売れ筋をけん引する展開もありそうです。