外食大手が新業態 M&A新規参入で顧客開拓

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外食大手が新業態への参入を積極化させています。うどんチェーンの店舗網が急拡大しているすかいらーくホールディングスを中心に各社の動向をご紹介します。

北九州地盤の「資さんうどん」が全国展開へ

今年3月、「資(すけ)さんうどん」を展開する資さんが、創業50年目で店舗数が100店に達したと発表しました。

「資さんうどん」は、「 すかいらーくホールディングス 」が2024年に買収した北九州地盤のうどんチェーンです。

うどんは日本国内でも地域によってさまざまな特徴を持つ料理。

シコシコした歯ごたえが特徴の香川県発祥「讃岐うどん」はす、でに全国的に知られていますが、ふわふわとしたやわらかい麺と澄んだつゆが特徴の福岡のうどんは、これまで全国的なの知名度はあまりに高くありませんでした。

資さんうどんは24年9月時点で、九州全7県と山口県、岡山県、大阪府、兵庫県の1府10県で70店舗超を展開していましたが、すかいらーくグループ入りを機に未開拓だった関東を中心に出店を進め、一気に店舗数を拡大してきました。

地元では定番のソウルフードとして親しまれる「ローカルメジャー」だったことから全国展開の余地も大きく、出店地域を拡大したことで各地で話題となるなど、知名度向上がうかがえます。

すかいらーくは市場の変化に対応し業態を拡充

すかいらーくHDは、M&A(合併・買収)によって、ブランド力のある企業を傘下に吸収。店舗や食材調達網といった既存インフラを使うとともに、同社グループの既存の拠点を活用することで、地域限定で成長してきた企業の全国展開を進めることができました。

同社は国内のみならず、台湾など海外でも資さんうどんの出店を進める計画です。

また、3月に干物料理などを提供するしんぱちの買収を発表。しんぱちが運営する店舗は都市型店舗が多く、手軽な価格で美味しい干物が楽しめるという強みがあります。郊外型店舗が中心のすかいらーくHDにとって立地面での補完も期待できそうです。

消費者の嗜好や消費動向の変化を受けやすい外食市場では、時代の変化に合わせた集客のてこ入れリスク分散の観点で、業態の拡充が重要になります。

外食大手の新業態参入の目的は

・顧客の嗜好の変化や消費動向など、市場の変化に対応するため
・多業態化でリスク分散
・新たな顧客層の開拓
・既存業態での競争激化
・海外展開に向けた業態の育成

他の外食企業もM&Aで拡大と多角化を推進

吉野家ホールディングス 」は、事業の多角化戦略の一環で讃岐うどんの「はなまるうどん」を傘下に収めていますが、現在はラーメンを「第3の柱」にしようと育成を進めています。

25年には京都など関西を中心に「キラメキノトリ」などのラーメン店を展開するキラメキノ未来(京都市)を買収しました。

M&A戦略で事業を拡大し、29年度にラーメン事業全体の売上高を400億円、店舗数を500店舗に増やす計画です。

牛丼チェーン「松屋」を展開する「 松屋フーズホールディングス 」は25年7月、ラーメン専門業態「松太郎」をラーメン激戦区として知られる新宿に1号店を出店しました。

牛丼チェーン「すき家」の「 ゼンショーホールディングス 」はハンバーガー事業を拡大しています。

23年にハンバーガーチェーン「ロッテリア」を買収し、新業態「ゼッテリア」を立ち上げ。今年2月には社名をロッテリアから「バーガー・ワン」に変更し、「ロッテリア」の店舗を国内全店でゼッテリアに順次転換することを決めました。

新たな社名の下で、ハンバーガー事業の成長を加速させる考えです。

サンマルクホールディングス 」は24年、牛カツ専門店「京都勝牛」や「牛かつもと村」などを相次ぎ買収しました。サンマルクは牛カツを含む和食業態をインバウンド(訪日外国人)観光客の取り込みや海外戦略の要と位置付け、事業拡大を図る計画です。

外食チェーンの持続的成長の実現に向けて、今後は新業態の開拓・出店加速が重要な役目を担っていきそうです。