株式市場で「レアアース(希土類)」関連株が買われています。QUICKが選定する関連銘柄の平均上昇率は2.0%と、東証株価指数(TOPIX、1.1%安)に対して逆行高となりました(3月19日までの5営業日の騰落)。株価が上昇した5銘柄とその背景について解説します!
事前報道で先回り物色が強まる
レアアース関連株が上昇したきっかけは、レアアースを日米で共同開発するとの報道です。
3月17日、「日米両政府は19日にワシントンで開く首脳会談で、レアアースやリチウム、銅の共同開発で合意する」と報道されました。
米国内で日本企業が参加する4つの事業を推進し、中国の安価な重要鉱物への調達依存を軽減する狙いがあるようです。
株式市場でも経済安全保障の面からレアアースのサプライチェーン(供給網)の強化は重要なテーマとして注目されています。日米首脳会談での正式合意を前に、期待が高まり買いを集めました。

海底資源開発をレアアースに応用か【三井海洋開発】
上昇率首位の「 三井海洋開発 」は海上で石油を生産・貯蔵・積み出しする浮体式設備(FPSO)などを手掛けています。
海底資源の1つであるガス成分と氷が混ざった塊「メタンハイドレート」の開発に取り組んでおり、技術がレアアース泥の回収にも応用できるとの思惑から物色を集めています。
19日の日米首脳会談では米ハワイ沖のマンガンの採取や小笠原諸島・南鳥島(東京都)沖のレアアースの採掘も議題に挙がる予定との報道もありました。海底資源の日米の共同開発で同社に協力が求められれば収益への貢献が期待できそうです。
リチウム鉱山の開発事業に出資【三井物産】
上昇率2位の「 三井物産 」は総合商社として幅広い資源や材料などを扱っています。同社は米南東部ノースカロライナ州キングスマウンテンのリチウム鉱山の開発で、米化学大手のアルベマールと共同出資を含めた連携を検討しているとの報道がありました。
日米はレアアースのリサイクルや精錬など4事業で合意しており、そのうちの1つに含まれるリチウム鉱山の開発への出資は実現が見込まれ、同社の将来の収益貢献にも期待できそうです。
リチウムイオン電池の再生事業などにも物色広がる
「 アサカ理研 」は使用済みのリチウムイオン電池からレアメタルを再生する事業を手掛けるほか、光学レンズ廃材からのレアアースの回収や高純度化にも成功しています。
「 三菱商事 」はレアアースのリサイクルや精錬など4事業の1つとして、米南西部アリゾナ州のカッパーワールド銅鉱山の開発に870億円を投じて2029年ごろの稼働を目指します。鉱山の権益は取得済みで、カナダのハドベイ・ミネラルズと共同開発します。
「 石油資源開発 」は2015年に、次世代海洋資源調査技術研究組合(J-MARES)の組合員として、海洋資源調査システム・運用方法の技術確立に関する研究開発の活動を開始。内閣府SIP(戦略的イノベーションプログラム)に参画して南鳥島周辺EEZ(排他的経済水域)でのレアアース泥を対象とした技術開発に携わってきています。
いずれの企業も日米がレアアースの供給網の強化で協力すれば技術提供や事業拡大につながり、成長の追い風となりそうです。
日米首脳会談で合意も投資には長期目線が必要か
日本時間20日の日米首脳会談ではレアアースのリサイクルや精錬など4事業の合意のほか、南鳥島周辺の海域にあるレアアース泥を含む海洋鉱物資源開発に関する協力に関する文書を取りまとめたようです。
イラン情勢の動向で株式相場が上下に大きく動くなか、日米首脳会談明けの23日にはレアアース関連銘柄への売りが強まる場面がありました。
レアアース関連は以前から市場で注目されており、短期的な値動きが大きい銘柄もあるため、長期的な目線での投資が求められそうです。日々のニュースをチェックしつつ短期的な過熱感などに注意して、投資判断に役立てたいですね。