様々な業務がAIに奪われる「AI脅威論」が高まるなか、実物資産や技術を持つ企業の存在感が高まっています。AIには代替できない建設機械やエネルギー設備を手がけるキャタピラーを中心に各社の動向をご紹介します。
AI脅威論が渦巻く中で「HALO銘柄」に脚光
AIでは代替できない資産や技術を持つ企業として、「HALO(ヘイロー)銘柄」が注目されています。今年2月に米投資運用会社が提唱、3月に大手投資銀行が投資家向け資料で取り上げ話題となりました。
HALOとは「Heavy Asset Low Obsolescence」の頭文字からとった造語で、価値の高い資産(Heavy Asset)を持ち、事業の陳腐化リスクが低い(Low Obsolescence)企業のことを指します。
HALO銘柄とは?
・Heavy Asset Low Obsolescenceの頭文字からとった造語
・重厚資産(Heavy Asset)を持ち、事業の陳腐化リスクが低い(Low Obsolescence)企業のことを指す
・HALO銘柄はAIが企業の製品・サービスを簡単に真似・破壊できないかの基準で選定
・石油・鉱山や工場、産業機械、店舗・物流網など実物資産を保有する企業が代表的
AIは膨大なデータの高速処理やパターン認識、自動化などの分野で強みが発揮されます。ソフトウエアサービス関連企業などは主に業務効率化を目的にAIを活用してきました。
しかし、AI技術の急速な進化で、最終的にAI自体がソフト企業の業務を代替してしまうとの懸念が広がっています。
一方、巨大な工場や産業設備、店舗は、経済や生活に必要なインフラです。これらの形のある資産を保有する企業はAI時代でもその魅力は失われず、むしろAIの進化をさらに後押しする分野としても注目されています。これがHALO銘柄の特徴であり強みです。
キャタピラーは「HALO銘柄」の代表銘柄
キャタピラー(CAT)は建機や鉱山機械を製造していますが、生成AIの普及に伴うDC(データセンター)向け電源用途の需要拡大で発電機やエンジンの販売も伸びており、いまや収益の柱となっています。
同社はDC向けにギガワット級の天然ガス発電機セットを納入し、相対的に短期間で発電を開始できる事業体制を構築。強力な生産能力や統合ソリューション、グローバルサポート、迅速な実行力で世界的な需要拡大に対応しています。
エネルギー・インフラ関連も資産保有の強み
エクソン・モービル(XOM)は、石油・天然ガス事業で川上(探査・開発)から川下(精製・販売)まで展開するエネルギー企業です。世界最大級の製油所や油田施設、資源埋蔵量を誇り、事業の陳腐化リスクが低い典型的な企業の1つです。
AI普及で電力消費が爆発的に増加し、エネルギー需要の拡大が見込めるとして、同社は資本支出を増やさず2030年までに24年比で250億ドルの収益増加を計画しています。
ルメンタム・ホールディングス(LITE)は、3月、世界最大規模のAIデータセンター向け先進光学レーザーを製造する新たな拠点を米国内に設立すると発表しました。資本提携を結んだエヌビディア(NVDA)向けなどに製品を提供します。
店舗展開し生活に根づく小売業なども注目
マクドナルド(MCD)は全米で約1万3700店舗(25年末時点)を展開しています。4月下旬には低価格メニュー「マックバリュー」で3ドル以下の新メニューを投入するなどラインアップを拡充。米国民の食生活を支えます。
ウォルマート(WMT)は全米に5200超の店舗を持ち、店舗から10マイル(約16キロ)以内に住む人口が9割に達する高密度の店舗網を保有しているのが強みです。
各店舗を物流拠点として活用し、ネット注文で受け付けた商品を即日配送するサービスを展開するなど、実店舗(実物資産)の価値を最大化させています。
「HALO銘柄」探しは今後も投資テーマの1つとして注目されそうです。