若者が新たな撮影体験 「デジタルカメラ」関連株が上昇

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株式市場で「デジタルカメラ」関連株が買われています。QUICKが選定する関連銘柄の平均上昇率は3.0%と、東証株価指数(TOPIX、0.1%安)に対して逆行高となりました(4月3日までの5営業日の騰落)。株価が上昇した5銘柄とその背景について解説します!

コンデジを中心に好調に推移

「デジタルカメラ」関連株が注目を集めている背景には、若者の間でデジタルカメラを再評価する動きがあります。

カメラの業界団体であるカメラ映像機器工業会(CIPA)によると、2025年のデジタルカメラの国内企業出荷額は8805億円と、2024年から7%増加しました。総出荷額が前年を上回るのは5年連続で、2015年(8854億円)以来、10年ぶりの水準を回復しています。

好調の要因の一つとして、SNS(交流サイト)の普及により、スマートフォンのカメラでは得られない、新たな撮影体験を求めるユーザーが拡大している点が挙げられます。民間企業の調査でも、20代女性の3人に1人が「スマートフォン以外のカメラを利用する場面が増えている」と実感しているという結果が出ています。

CIPAが1日に発表した2026年2月のデジタルカメラ総出荷額は、前年同月比2%減だったものの、若者に人気のコンパクトデジタルカメラ(コンデジ)は18%増、小型のレンズ交換式も3%増と好調に推移しました。

さらに、一部の関連銘柄においては、いわゆるアクティビスト(モノ言う株主)による株式の大量保有や自社株買いなども明らかになり、投資家からの物色を誘いました。

一般向けからは撤退も、医療向けなどでは健在【カシオ計算機】

上昇率首位の「 カシオ計算機 」は耐衝撃性に優れた腕時計「G-SHOCK」などで知られる大手電機メーカーです。

1995年、本体に液晶ディスプレイを搭載し、撮影した画像をその場で確認できるデジタルカメラを世界で初めて一般向けに発売しました。日本でコンデジ普及の立役者となったメーカーです。

しかし、2018年5月には一般向けコンデジ事業からの撤退を発表。現在は、医療向けなどに業務用のデジタルカメラを展開し、その技術力を活かしています。

4月2日に、シンガポールの投資ファンドでアクティビストとして知られる3Dインベストメント・パートナーズが、約5%の株式を取得していたことが判明し、株価が大きく上昇しました。

業務用から家庭用まで【ソニーグループ】

上昇率2位の「 ソニーグループ 」は「イメージング事業」と称して、一眼から放送・業務用まで幅広いジャンルのデジタルカメラを販売しています。

「サイバーショット」などのコンデジシリーズが有名なほか、現在はミラーレス一眼「α(アルファ)」シリーズを主軸に据え、高価格帯のプロ・ハイアマチュア向け市場で存在感を放っています。

さらに、自動運転に向けた車載カメラや産業用ロボットなどに技術を応用するなど、センサー技術を核としたソリューションビジネスへの転換を加速させています。

しのぎを削る有名メーカー

富士フイルムホールディングス 」は、イメージング(カメラ)、ヘルスケア、エレクトロニクスの3つの領域で事業を展開しています。インスタントカメラの代名詞「チェキ」のメーカーとしても知られていますが、祖業である写真フィルムの技術を存分に活かしたデジタルカメラにも定評があり、世界第3位の市場シェアを誇ります。

ニコン 」は創業100年以上に渡る老舗の光学機器メーカーです。海外ファンが多いことで知られ、海外売り上げ比率は80%以上に達しています。

パナソニック ホールディングス 」は世界で初めてミラーレスの一眼カメラを開発しました。LUMIX(ルミックス)などのブランドを手掛けています。

AIの進化も追い風に

AI(人工知能)の普及に伴い、カメラの役割が「人間が見るための記録装置」から「AIがリアルタイムで解析するためのセンサー」へと進化し、新たな付加価値を生み出していることも市場の追い風となっています。

リサーチ会社のフォーチュン・ビジネス・インサイツによると、AIを活用したカメラの市場規模は、26年の189億6000万ドルから34年には824億5000万ドルへと急拡大すると予測されています。製造現場での検査自動化や店舗運営の効率化、セキュリティー強化など、幅広い分野での活用が見込まれています。

今回紹介した企業でも、培ったデジタルカメラの技術を医療用や産業用などに活かして、新たな事業を展開しています。若者の間で人気が広がっていることで注目を集めているデジタルカメラですが、そのポテンシャルは想像をはるかに超えるものとなりそうです。