投資や資産形成をもっと楽しくするためにピッタリの書籍を、著者の方とともにご紹介する本連載。4回にわたって、濵島 成士郎さんの「現役プライベートバンカーがこっそり教える 億万長者の資産運用」を紹介しています。第2回目の今回は、富裕層がお金に対して持っている「長期的な視野」についてご紹介します。[PR]
短期の利益ではなく「長期的に」富を築く
富裕層がお金に対して持っている視点が一般の方と大きく違う箇所のひとつは、「長期的な視野」があることです。目先の利益に飛びつくのではなく、コツコツと地道に積み重ねていくことで、将来の大きな富を築くことを重視しています。
富裕層の心理を分析した研究でも、「富裕層は短期的な報酬ではなく、長期的な成果を見据えて計画を立て、行動する傾向が強い」と指摘されています。
言い換えれば、今日の小さな努力や犠牲も「将来の自分への投資」として捉え、粘り強く続けることができるのです。この長期的な視野こそ、富裕層が持続的に資産を増やし、維持できる秘訣と言えるでしょう。
世界でもっとも著名な投資家ウォーレン・バフェット氏も、長期的な視野を持つことを重要視し、実践しています。
彼の初めての株式投資は11歳のときで、シティ・サービスという会社の株式を38ドルで3株購入したそうです。その株はその後、一時27ドルまで下落しましたが、バフェット氏は売らずに持ち続けました。そして40 ドルまで値を戻したところで売却したそうです。
1株あたり2ドルの利益を得たわけですが、その後、同社の株価は200ドルを超えて値上がりしていったとのことで、彼は「買ったときの株価にこだわってはいけない」「よく考えることなく小さな利益を得ようと急いではいけない」といった教訓を学んだそうです。
バフェット氏の生涯運用成績は驚嘆に値します。投資持株会社である自分の会社バークシャー・ハサウェイの株価は、1965年から2015年までの50年間でなんと約2万倍になりました。複利計算では20.8%のリターンを50年間にわたって出していることになります。ちなみに米国の代表的な株価指数であるS&P500は同期間で約140倍になり、利回りは年9.7%ほどでした。
1930年生まれのバフェット氏は、本書執筆時点では95歳。その資産額は約1600億ドル(約24兆円)にも上っていますが、驚くべきは、そのほとんどを50代以降に築いた点です。彼はその運用成績や資産規模から「投資の神様」とも称されるようになっています。
バフェット氏は企業の本質的な価値を見極め、安全かつ効率的に、そして長期的に投資することを重視していて、次のような原則に基づいて投資を行っているそうです。
【原則1】 企業本来の価値よりも割安な株価で買う。市場が過小評価している企業を見つけ、値上がり益を狙う。
【原則2】 自分が理解できるビジネスを展開している企業を買う。自分が理解できない、複雑で予測しにくい事業には手を出さない。
【原則3】 長期間安定的に業績を伸ばし続けている企業を選ぶ。一時的なトレンドに流されない。
【原則4】 社会のニーズに対応し、競争力も高い将来有望な企業を選ぶ。参入障壁が高く、ブランド力やロイヤリティがある企業を好む。
【原則5】 高い自己資本比率、高い自己資本利益率を維持する企業を選ぶ。財務体質が良好で、株主資本を活かして効果的に稼いでいる企業を重視する。
【原則6】 長期的な投資を行う。市場の喧騒や一時的な感情に惑わされることなく、長期的に保有し続ける。
これらの原則のなかでも、バフェット氏は長期投資の重要性を繰り返し強調しています。
彼の有名な言葉のひとつに「我々のお気に入りの保有期間は永遠だ(Our favorite holding period is forever)」というものがあります。つまり、一度買った株式は、10年どころか20年、30年と持ち続ける前提で選び抜け、という意味です。
長期投資の哲学は一時的な株価の上下に一喜一憂しない精神的な強さも求めます。
バフェット氏は「10年持てない株は10分も持つな」とも言っています。実際、ITバブルやリーマンショックといった市場の浮き沈みに直面しても、保有株の大半を売却せずに持ち続けました。
たとえばアメリカン・エキスプレス社の株は、その金融サービスやブランド力を高く評価し、最初に投資を開始してから60年間にわたって保有し続けています。
またコカ・コーラ社の株も、そのブランド力や安定した収益性を高く評価していて、1988年に投資を始めてから売却することなくずっと保有しています。
逆に周囲がパニックになっているときは、「絶好の買い増しの機会」であると捉え、たとえば2008年の金融危機の際には多くの優良株を安値で買い増ししました。
このように、いっときの恐怖や欲望に流されず、長期的な視野で信じた資産の価値が向上するのをじっくり待つ姿勢こそが、バフェット流長期投資の神髄であり、富裕層全般にも通じる姿勢と言えます。
富裕層は「すぐ儲かる話」よりも、「長く儲かる仕組み」を好みます。株式投資でも不動産投資でも事業でも、短期の上下に一喜一憂せず、腰を据えて取り組むのが特徴です。
投資の原理原則のひとつに、「長期になればなるほど複利のメリットを享受できる」というものがあります。焦らず長期的に資産を育てる――それがお金持ちへの道だと、彼らは知っているのです。

