投資や資産形成をもっと楽しくするためにピッタリの書籍を、著者の方とともにご紹介する本連載。4回にわたって、濵島 成士郎さんの「現役プライベートバンカーがこっそり教える 億万長者の資産運用」を紹介してきました。最終回の今回は、富裕層が「時間と人脈」とともに目を向ける無形の資産「知識・ネットワーク・信用」についてご紹介します。[PR]
知識・ネットワーク・信用が資産を生む
富裕層は、株式や不動産といった有形の資産だけでなく、無形の資産にも目を向けています。先述の「人脈」や「時間」もそうですが、ここでは特に「知識」「ネットワーク(人的つながり)」「信用」という見えない資産について掘り下げましょう。
まず知識です。多くの富裕層は勉強熱心で、生涯にわたり自己投資を欠かしません。たとえばある調査によれば、自力で富を築いた億万長者のうち85%は、毎月2冊以上の本を読んでいるそうです。ビジネス書はもちろん、古典や歴史書、資産運用、最新テクノロジーなど、スキルの向上や教養を深めるために、貪欲に多分野の情報を吸収し、自分をアップデートし続けるのです。
そうして学び続けることが、彼らの成功を維持する原動力になっているとも指摘されています。人生を通じて学び続ける――それが富裕層の習慣です。
富裕層は人的ネットワークづくりにも積極的です。ビジネスや社会で成功するためには、「誰を知っているか」が極めて重要であると理解していて、優秀な人々とのつながりを築くこと自体が資産になると考えているのです。
具体的には、各種のエリートネットワーキングイベントや交流会に顔を出しています。世界経済フォーラムの年次総会(いわゆるダボス会議)や、各業界のサミット、著名企業がスポンサーを務めるチャリティー・ガラ(寄付金集めを目的としたガラパーティー)など、招待制・高額参加費の集まりこそが、長期的な人脈形成の場と捉えて積極的に参加します。
世界的企業の経営者や各国のVIPが集まるカンファレンスに参加する費用は高額ですが、そこでは同じ志を持つトップ同士が知り合い、情報交換し、新たなビジネスチャンスが生まれることもしばしばです。富裕層はこうした場への参加費や旅費も「将来のビジネスにつながる投資」と割り切っているようです。
また、母校や名門大学への寄付を通じて人脈や影響力を広げる人もいます。大学に多額の寄付をすれば、その大学の評議員や理事に迎えられたり、キャンパスに自分の名前を冠した建物が建てられたりすることがあります。自己顕示や慈善活動のようにも見えますが、同時に、寄付者同士のクローズドなネットワークに入れることにもなります。
たとえば第2次トランプ政権で商務長官に任命されたハワード・ラトニック氏は、母校の名門リベラルアーツ校、ハバフォード大学に約25億円もの巨額の寄付を行い、同学の理事も務めています。彼は「在学中に受けた経済的支援への恩返し」としてその寄付を行ったとされていますが、結果として母校との強いつながりを持ち、他の著名な卒業生や大学関係者とのネットワークを築いています。
名門大学の寄付者リストに名を連ねれば、その大学主催のイベントにVIP待遇で招かれたり、政財界の大物が集まるパーティーに呼ばれたりするケースもあります。そうした場で得たつながりが、新たなビジネスパートナーとの出会いや、大きなプロジェクトへの参画機会につながることもあるのです。
富裕層にとって、人的ネットワークはお金では買えない価値を持っています。だからこそ、人脈形成のためであれば時間もお金も惜しまず投資し、「信頼関係」という無形の資本をコツコツと積み上げるのです。
さらに言えば、富裕層はそのネットワークを単に広げるだけでなく、最大限に活用しています。たとえば何か新しい事業に挑戦しようとするとき、ネットワークのなかの友人が適切な専門家を紹介してくれたり、信頼できる共同出資者をネットワーク内で見つけられたりします。「彼なら信頼できるから任せよう」「彼女と組めば安心だ」と、新たなビジネスを呼び込むわけです。
このように信用力そのものが一種の通貨のように機能し、彼らの資産形成をあと押しします。まさに、「信用は最大の資本」です。
富裕層は「お金で買えないものこそが大きなお金を生む」と理解しています。知識・人的なネットワークや信用――これらは、すぐに数字に表れるものではありません。しかし長い目で見ると、莫大なリターンをもたらす資本だと言えます。

