マーケットの「温度感」がわかる連載「カエル先生の株式相場プレイバック」。今回は、下落基調をたどった日本株市場の裏側を指数や指標で振り返り、今後の注目ポイントを探っていきます。
3月の日本株市場は、2月末の日経平均高値更新の後、中東情勢の緊迫を受け、月を通して下落基調をたどりました。原油価格の上昇やその影響を懸念し、市場心理には警戒感が高まりました。一方、時間の経過に沿って材料の消化や織り込みが進むことで、市場の焦点は変化していくことも想定されます。
3月の日本株市場
3月31日の日経平均株価(終値)は5万1063円、前月末比7786円安でした。
3月の日本株市場は、日経平均が前月末(2月27日)に最高値を更新(5万8850円)したあと、翌28日の米国とイスラエルによるイランへの攻撃をきっかけに警戒感が高まり、月を通して下落基調をたどりました。
中東情勢の緊迫を受けて、日経平均は月初2日から4日まで3営業日続落。3日間での合計の下落幅は4604円、同下落率は約8%にのぼり、日経平均は5万4000円台まで下落しました。
9日には、原油価格の上昇などを嫌気しほぼ全面安となり、2892円(5.2%)安となり5万2000円台へ下落。
大幅下落のあとは反発する場面もあったものの、その後も不透明感や警戒感から下落圧力がかかり、日経平均は5万1000円台へと下値を切り下げました。
原油価格上昇の影響を懸念
中東情勢は、米国とイスラエルによるイラン攻撃後、イランによるホルムズ海峡の閉鎖や隣国カタールのLNG(液化天然ガス)拠点への空爆、トランプ大統領によるイランの発電所への攻撃予告、イランの対抗姿勢の表明など、3月末現在、収拾へのめどがたっていません。
市場では、混迷する中東情勢を受け原油価格が高騰。2022年2月、ロシアのウクラウイナ侵攻による上昇時以来に次ぐ水準にまで短期間で上昇しています。
原油価格の上昇は、エネルギー価格上昇によるコスト増、物価上昇による消費減、インフレによる金融引き締め懸念などを通じて、景気・業績、株式市場へネガティブ材料となっています。
現段階で中東情勢について楽観はできません。ただし、事態が収束に向け動き始める局面では、逆の歯車が回り始める可能性も想定されます。
なお、”有事に強い”といわれる金が、”有事”のなか上昇が一服しています。高値圏での利益確定や、米利下げ期待の後退、債券の相対的な魅力などが要因と挙げられそうです。
高値圏で悪材料に反応
市場で高まった警戒感や不透明感は、投資家の市場心理を反映するといわれるボラティリティ指数にも現れています。
「日経平均ボラティリティー・インデックス」は日経平均が将来1ヵ月間でどれくらい変動するかを推定したもの。通常20〜30で推移していますが、日経平均が大きく下落するなどの際は大きく跳ね上がります。
「CBOEボラティリティ指数」も同様にS&P500がどの程度変動するかを推定するもので、米国株市場の市場心理を反映しています。
市場では、中東情勢以外に、米国での金利上昇を背景とした、貸し倒れリスクによるノンバンク融資ファンドの解約請求の増加、英国での担保不足による、住宅融資会社の破綻などを懸念する動きもあるようです。
日本同様、米国も2月にニューヨークダウが高値を更新するなど、高値圏にあったことから、ネガティブな材料に反応しやすい局面にあると言えるかもしれません。
焦点は2027年3月期業績動向にシフト
市場は警戒感や不透明感から短期的に値を下げる展開となりました。一方、株価は中長期的には企業業績を反映すると考えられます。ここで、企業業績の動向について見ておきましょう。
下図はTOPIX採用3月期決算企業の予想経常利益を今期2026年3月期と来期2027年3月期の2期間で、TOPIX採用企業全体と、それを内需系企業と外需系企業に分けて集計したものです。
より注目されるのは来期2027年3月期ですが、全体では今期比12.6%増と2ケタ増益が予想される中、外需系企業は今期の減益から増益に転換、内需系企業は安定的に増益基調が見込まれています。
原油価格の上昇が長期化する場合、コストアップ要因として、外需系企業、内需系企業ともに影響する可能性があります。今後は、4月末から5月中旬にかけて行われる3月決算企業の2026年3月期決算発表で、合わせて開示される2027年3月期見通しが大きな注目材料と言えるでしょう。
相対的に安心感ある好業績内需銘柄
海外動向などを中心とする外部環境の不透明感は、株式市場での物色にあたって、相対的にまた心理的にも外需系企業の見通しに影響を与えると考えられます。
以下はTOPIX採用3月期決算企業のうち内需系業種を対象に、2026年3月期と2027年3月期の予想経常利益の増益率が2ケタ以上などの条件で選んだ銘柄です。「好業績が期待される主な内需銘柄」として注目してみてはいかがでしょうか。
東急建設
エディオン
野村総合研究所
JMDC
ENEOSホールディングス
ジャパンエレベーターサービスホールディングス
ゼンショーホールディングス
ゴールドクレスト
カプコン
コナミグループ