単に商品を売るだけではなく、実際に商品を体感することで消費者の支持を広げようとする取り組みが活発化しています。自社商品を試すことができる「体験型店舗」としてホテルを展開する良品計画を中心に各社の動向をご紹介します。
「無印良品」が体験できる宿泊施設をオープン
5月20日、「無印良品」を展開する「 良品計画 」が、宿泊施設「MUJI BASE KYOTO kiyomizu」を京都の清水寺の近くにオープンしました。
「MUJI BASE」は「地域で暮らしと文化を体験する滞在拠点」をコンセプトに展開している宿泊施設です。2023年8月に「MUJI BASE KAMOGAWA」を皮切りにオープン、今回は第5弾です。
ホテルをリノベーションした「MUJI BASE KYOTO kiyomizu」の客室には「無印良品」の家具やインテリアが備え付けられており、「無印良品」の商品を実際に使うことができます。
使用体験を通じて価値を伝える「体験型店舗」
EC(電子商取引)の台頭で、単に「モノ」を並べておくだけでは価格以上の価値で競争することが難しくなってきています。
そのため、他社商品との差別化や大切にするコンセプトを伝えるうえで、「コト」消費でもある体験の提供を通じて消費者をファン化させることがカギになります。
そういった体験を店舗で提供する「体験型店舗」には以下のような特徴があります。
体験型店舗とは
・商品を実際に使用・体験できる店舗
・従来の説明だけでは差別化が難しい機能性などを実感できる
・ブランドの価値を体験を通じて消費者に伝える
・消費者のブランドへの理解を深め、体験を通じてファン化する
良品計画は、単純にショールームに並べて見てもらうのではなく、シンプルで機能性を重視した「無印良品」らしさが感じられる空間で実際に寝起きすることで、自社ブランドのコンセプトや商品の価値を体感してもらう狙いがあると考えられます。同社の宿泊施設は商品の価値を体感してもらう体験型店舗ともいえるでしょう。
同社は、国内だけでなく、海外でも「無印良品」のコンセプトを体感できる宿泊施設「MUJI HOTEL」を展開しています。2018年1月に1号店を中国・深センに開業。同年6月には北京にもオープンしました。
「体験」で消費者との接点を深める動き広がる
実体験を通じて、消費者との接点を深め、自社製品・サービスの価値を伝えることを狙う企業が増えています。
「 象印マホービン 」は、自社の高級炊飯器「炎舞炊き」で炊いたご飯を主役としたごはんレストラン「象印食堂」を展開しています。
「象印食堂」は当初、プロモーションイベントの一環で2016年に期間限定で実施していましたが、好評だったことから常設店舗としての本格展開を決定。18年に大阪・難波にオープンし、さらに21年にはご飯が主役のお弁当屋として「象印銀白弁当」を新大阪駅構内に開店するなど、事業を拡大しています。
漬物大手の「 ピックルスホールディングス 」は体験型施設「OH!!!~発酵、健康、食の魔法!!!~」を2020年に開業し、漬物に代表される発酵食品の魅力を伝える場所を提供しています。
スナック菓子の「 カルビー 」では、揚げたてのポテトチップスの美味しさを体感してもらうためのアンテナショップ「Calbee+(カルビープラス)」を北海道から沖縄まで全国に10店舗を展開しています。
「 パナソニック ホールディングス 」は、美容アイテムを体験できる場所として「パナソニックビューティー表参道」を展開しています。
同社の美容家電を体験できるだけでなく、効果的な使い方を指導したり、1人1人に合ったスキンケアを提案したりするなど体験型メニューを幅広く提供しています。
ECにはないリアルの体験が消費活動で存在感を増しています。