株式市場で「防衛」関連株が買われています。QUICKが選定する関連銘柄の平均上昇率は5.6%と、東証株価指数(TOPIX、-1.2%)に対して逆行高となりました(4月24日までの5営業日の騰落)。株価が上昇した5銘柄とその背景について解説します!
「5類型」の撤廃を正式決定 防衛装備品の輸出が全面解禁に
「防衛」関連銘柄が買われたきっかけは、4月21日に防衛装備品の輸出に制約を課す、いわゆる「5類型」の撤廃を政府が決定したためです。
これまでの政府の武器輸出のルールでは、輸出可能となるものは「救難」や「輸送」など5つの用途に当てはまる場合のみでした。今回のルール改定では護衛艦やミサイルなども輸出可能となります。
政府はルール改定を機に、国内の防衛産業の基盤強化や同盟・同志国との連携を強化する狙いのようです。企業にとっては、これまで限定された装備品の輸出先が増えることになり、業績拡大への追い風となりそうです。

防衛向けニッチトップ企業としての地位を確立【東京計器】
上昇率首位の「 東京計器 」は1896年創業の日本で最も歴史のある計測機器メーカーです。船での航海に欠かせないレーダーや産業機械向けの油空圧機器などを手掛けています。
連結売上高の約4割にあたる244億円(2025年3月期)を防衛市場向けが占め、航空機用の電子機器や艦艇用航法装置など防衛向けニッチ分野で高いシェアと信頼性を確立しています。
創立125周年に合わせて発表した「東京計器ビジョン2030」では、30年までの経営目標として前期(25年3月期)比で約1.7倍となる連結売上高1000億円という意欲的な目標を掲げています。
35年の導入を目指す次期戦闘機向けの装備品の研究開発に注力する方針を示していて、「5類型」撤廃による輸出先の拡大は事業の大きな追い風となりそうです。
国内唯一の自動小銃メーカー【豊和工業】
上昇率2位の「 豊和工業 」は愛知県清須市に本社を置く工作機械メーカーです。
主力は自動車向けですが、防衛関連では主にアサルトライフルなどを製造しており、自動小銃メーカーとしては国内唯一という強みを持っています。
20年に部隊使用が承認された「20式5.56mm小銃」は、自衛隊で主力小銃として使用され高い評価を得ているほか、迫撃砲や発煙弾といった火器類も製造していて、日本の安全保障にとって欠かすことのできないメーカーと言えそうです。
陸・海・空の多様な現場を網羅
「 日本製鋼所 」は日露戦争後の1907年に兵器国産化政策を背景に設立され、大型鋳鍛鋼品に強みを持ちます。創業来の技術力を生かし民需向けに各種機械装置を手掛けるほか、防衛向けにはりゅう弾砲やミサイル発射装置を製造しています。
「 三菱重工業 」は、戦闘機やヘリコプター、潜水艦や戦車など陸・海・空すべての領域において主要な装備品を製造しており、日本の防衛産業において中心的な存在です。
「 新明和工業 」は海上自衛隊で救難飛行艇として運用されている水陸両用飛行艇「US-2 」の開発・製造を担っています。
防衛産業の基盤強化は急務
「防衛」関連は、昨年12月にも報道により輸出の全面解禁観測が強まり、関心を集めました(『装備品の輸出を全面解禁へ 「防衛」関連株が上昇』)。
安全保障環境の変化に伴い、国家予算に占める防衛費の割合は年々増加しています。防衛費の増加そのものは必ずしも好ましいとは言えませんが、地政学リスクが高まる中、国の安全を守る防衛産業の基盤維持・強化は急務となっています。投資テーマとしては引き続き注目されます。
AI技術の取り込みも防衛関連の投資テーマに
さらに、防衛に関しては、昨今、AI(人工知能)の急速な発展がそののあり方そのものを大きく変えようとしています。
ドローンなどの無人機の自律制御や、サイバー空間での防衛、膨大なデータを活用した高度な情報収集・分析など、次世代の安全保障においてAI技術の活用はもはや不可欠な要素です。
市場調査会社のグローバルマーケットインサイツ によると、世界の防衛分野におけるAI・予測市場の規模は、25年の115億3000万ドルから34年には357億8000万ドルへと急成長する見込みです。
3月13日には、日本発の生成AIスタートアップ「SAKANA AI」が防衛装備庁から、自衛隊で使用する情報分析システムの研究・開発を受託したと発表しました。
生成AIの軍事利用を巡り米国で議論が沸き起こったことも記憶に新しく、日本の防衛分野も輸出ルールの緩和やAI技術の導入により急速な進化が見込まれます。関連銘柄を選別する上では、こうした最新の技術動向の把握なども重要となっていきそうです。