プレミアムシート戦略 快適性と高単価で収益強化

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米航空各社が機内設備の拡充に動いています。目的は、快適性への対応と収益の強化です。世界有数の航空キャリアであるデルタ航空を中心に各社の動向をご紹介します。

デルタ航空が「デルタ・ワン・スイート」の展開を発表

4月、デルタ航空(DAL)は、個室型シートにスライドドアを備えた次世代型のビジネスクラス「デルタ・ワン・スイート」を展開すると発表しました。

今後導入を予定するエアバス「A350-1000」に搭載されます。同機は炭素繊維複合材を多用し、低燃費と機内の高い静粛性と快適性を備えたA350ファミリーの最新ワイドボディ機で、初号機の引き渡しは2027年初頭の見込みです。

収益の強化を狙う「プレミアムシート戦略」

同社は高単価顧客を対象にサービスを拡充するプレミアムシートの増設を推し進めています。

背景にあるのは、エコノミーシートと比べたプレミアムシートの圧倒的な収益力の高さです。プレミアムシートはエコノミーの数倍の価格で販売でき、有効座席マイル当たり旅客収入(RASM)が大幅に高く、利益率も高いのが特徴です。

実際、プレミアムシート戦略は同社の収益構造にも影響を与えており、26年1~3月期のメインキャビン(エコノミー)の売上高が前年同期比1%増にとどまったのに対し、プレミアムシートは同14%増加しました。

デルタ航空は、30年までに「デルタ・ワン」クラスの座席の90%をスライドドア付きスイート仕様に移行することを目標としています。

機内のラグジュアリー感を一層高めることで、移動時間における快適性を求める顧客ニーズへ対応し、客単価アップによる収益の強化を図る考えです。

航空会社のプレミアムシート戦略

・富裕層と貧困層で所得格差が広がる経済の二極化が進む中、航空各社は量より質の経営戦略に舵を切り、利益率の高い高単価客向けのサービスを拡充している

・プレミアム席はエコノミー席と比べ数倍の価格で販売することが可能で、有効座席マイル当たり旅客収入(RASM)や利益率が大幅に高いのが特徴

・中型機にもビジネスクラスなどのプレミアムシートを導入する動きが活発で、足元ではエコノミー席に比べプレミアム席の売上高の増加ペースが拡大している

他の米航空大手もプレミアムシート戦略を推進

ユナイテッド航空ホールディングス(UAL)は3月、今後2年間で250機以上の新型機を導入すると発表しました。

通路が1本のナローボディ機を多く調達するのが特徴の1つ。同機に全席通路アクセス可能なフルフラットシートを装備し、ワイドボディ機の体験をナローボディ機でも実現します。国内線にもフルフラットシートを投入するなど、国際線を含めて高級化路線を進めます。

アメリカン航空グループ(AAL)も新型機の導入や既存機種の改修などを通じてプレミアムシートの拡充を進めています。

26年1~3月期にはフルフラットとプレミアムエコノミーシートの増加ペースがエコノミーの2倍以上になったと公表。通信大手AT&T(T)の協賛の下、1月にマイレージプログラム会員向けに無料の高速衛星Wi-Fiサービスを開始するなど、顧客満足度の向上につながる施策を講じて収益性を高めようとしています。

格安航空会社もプレミアム路線に移行!?

大手航空会社と比べて航空運賃の安さを最大のウリにしてきた格安航空会社(LCC)にも経営戦略の大転換がみられます。

サウスウエスト航空(LUV)は1月、50年以上にわたり採用してきた早く搭乗した人から自由に座る「フリーシーティング」制度を廃止。座席指定制に完全移行し、プレミアムシートも導入しました。

この戦略が奏功し、26年1~3月期の売上高が同期として過去最高を更新し、利益率も大幅に改善しました。RASMは2ケタ増となり、4~6月期は一段の拡大を見込んでいます。

ジェットブルー航空(JBLU)は、国内路線のプレミアムクラスで最長のフルフラットベッドを誇る「ミントシート」を提供しています。

調査会社JDパワーが5月に公表した26年の北米航空会社個客満足度調査では、「ファースト/ビジネスクラス部門」で最優秀航空会社に選ばれました。

プレミアムシート戦略は航空各社の収益強化につながる一方、競争は激しさを増しそうです。