マーケットの「温度感」がわかる連載「カエル先生の株式相場プレイバック」。今回は、先月末を底値に一転上昇基調をたどった日本株市場の動きを振り返り、今後の銘柄選別を探ります。
4月の日本株市場は、中東情勢の鎮静化期待から、3月末の安値を底に反転上昇。日経平均は2月末の高値を上回り最高値を更新、一時6万円台乗せとなりました。一方、物色は、業種間・銘柄間で明暗が分かれる展開。今後の銘柄選別としてROEに注目します。
4月の日本株市場
4月30日の日経平均株価(終値)は5万9284円、前月末比8221円高でした。
日経平均は2月27日の5万8850円を高値に、3月に入ると中東情勢の緊迫を受けて売り優勢の展開となり、3月31日には5万1063円まで下落しました。
しかし、4月に入ると、米国とイラン間の戦闘終結観測や、両国間での停戦合意を受け、中東情勢の鎮静化や改善期待などから一転買い優勢の展開に転換。
日経平均は24日に5万9716円と最高値を更新しました。
先進国間で日本株市場が大きく上昇
中東情勢の改善期待から、先進各国の株式市場は概ね3月末前後に底入れ反転しました。3月末を起点に、その前後の日米英独主要株価指数の推移を見ると、日本株市場の下落と上昇の大きさがうかがえます。
これは、日本の経済や企業が原油価格の影響をより受けやすいとの、市場の受け止めを示していると考えられます。
中東を巡っては、短期的には緊張緩和に向け進んでいるようです。また、株式市場でも、緊張緩和の期待を先取りする形で上昇しました。一方、中期的には、事態の流動化や不安定化の可能性も残り、注意を要すると思われます。
業種別では「非鉄金属」「電気機器」が大きく上昇
3月末に底を打ち反転上昇に転じた日本株市場ですが、業種別に見ると大きく明暗が分かれています。
3月末を起点に、東証33業種株価指数の推移を見ると、最も大きく上昇した業種は「非鉄金属」、次に「電気機器」。一方、最も大きく下落した業種は「鉱業」、次に「石油・石炭製品」でした。
「非鉄金属」や「電気機器」業種の銘柄が買われた背景は、AI(人口知能)・半導体・データセンターの成長期待。「非鉄金属」では古河電気工業(5801)やフジクラ(5803)、電気機器では、キオクシアホ-ルディングス(285A)や太陽誘電(6976)が大きく上昇しました。
一方、「鉱業」や「石油・石炭製品」関連は、中東情勢の緊張緩和期待による原油価格の上昇一服などを背景に反落しています。
企業の収益性や資本効率を示すROEに注目
業種や銘柄間で株価の明暗が分かれる中、株価水準の「買われすぎ」「売られすぎ」だけではなく、業績面にフォーカスした銘柄選別が重要となってきそうです。
折しも4月に東証と金融庁が、上場企業に向けたコーポレートガバナンス・コード(CGコード)の最終改定案を公表しました。これは、上場企業が持続的な成長と中長期的な企業価値向上を目指すための指針です。
今回の改訂では、積み上がった現預金などの経営資源を適切に配分し、成長に向けた設備投資やM&Aを促す項目が盛り込まれました。
現預金などの経営資源の有効活用に関連する指標としては、ROE(自己資本利益率)が注目されます。
ROEは、現預金などを含めて、株主が拠出した自己資本でどれだけ利益を稼いだかを示すもので、「当期利益÷自己資本×100(%)」で算出され、企業の収益性や資本効率を示す経営指標としてだけでなく、株式市場でも銘柄選別の指標として注目されます。
CGコードの改訂によって、企業サイドも経営資源の有効活用を進め、それに伴いROEも上昇していくことが期待されます。
クオリティ重視の経営を強めている銘柄
銘柄選別の指標として、ROEに注目する上では、単にROEが高いというだけでなく、継続的にROEを改善させているかがポイントとなります。
以下は、TOPIX採用企業のうち、今期のROEが10%以上で前期より上昇、ROE・経常利益が5期間にわたって上昇している主な銘柄です。ROEを高め、“経営のクオリティを高めている”銘柄として注目してみてはいかがでしょうか。
古河電気工業
フジクラ
キオクシアホ-ルディングス
太陽誘電
高砂熱学工業
東洋水産
三越伊勢丹ホールディングス
東急不動産ホールディングス
アドバンテスト
三菱重工業
アシックス
セイコーグループ
コナミグループ