旬な投資テーマをもとに、関連する国内外の企業をまとめて紹介する本連載。今回のテーマは「宇宙産業」です。宇宙に関する事業ですでに収益化している企業もあるようです。この記事を読んで投資のヒントを探ってみましょう。
SpaceX上場で注目高まる宇宙セクター
2026年4月初旬、イーロン・マスク氏率いる宇宙開発企業SpaceXが、米国で新規株式公開(IPO)に向けた非開示申請を行ったと報じられました。同社の推定評価額は1兆7500億ドル超ともされ、実現すれば史上最大のIPOとなる公算です。同社は低軌道インターネット事業の「Starlink」を中核に、ロケット打ち上げ事業などを手掛けています。
宇宙開発を取り巻く環境では、宇宙空間におけるデータセンター構想や、月面および軌道上での原子力発電の実用化計画が企業や政府から発表されるなど、追い風が続いています。今回のIPO報道は宇宙産業が研究開発や試験にとどまらず、本格的な商業化に入りつつあることを示しており、宇宙セクター全体に対する評価を再定義する起点となりそうです。
米宇宙企業は「収益化」のフェーズへ
SpaceXの背中を追う上場企業にも変化が見られます。
衛星通信を手がけるASTスペースモバイル(ASTS)は、2026年を宇宙から端末と直接通信する(Direct-to-Device)コンステレーションが、初期の商用稼働から本格的な商用サービス開始へ拡大する年としています。その他では、信頼性の高い打ち上げサービスなどを提供するロケット・ラブUSA(RKLB)や、衛星による地球観測データを提供するプラネット・ラボスPBC(PL)などが存在感を放っており、それぞれ今後数年で大幅な売上増と利益の増加が予想されているとのこと。このように米国の宇宙企業の一部は、収益化のフェーズへ移行し始めています。
日本でも宇宙関連企業が存在感を増す
宇宙の商業化に向けた動きは日本の宇宙関連企業でも期待されており、業績や打ち上げ報道などへの注目度は高くなりつつあります。
「 アストロスケール 」「 Syns 」「 QPSHD 」といった新興宇宙企業のIPOがこの数年で相次ぎました。大手では、「 三菱重工業 」のロケット事業や「 NEC 」の衛星システムなどが注目されています。日本の宇宙関連企業は時価総額が小さい企業が多く、政府支援や打ち上げ成功、契約受注といったイベントや発表に株価は反応しやすい傾向があります。株価ボラティリティの大きさや潜在的な成長性は個人投資家の関心を集めていると言えそうです。また、高市政権が掲げる17の戦略分野における「主要な製品・技術等」にも宇宙分野が含まれており、官民での取り組み加速が期待されるところです。
いま宇宙関連株に目を向ける意味
宇宙産業の収益化や官民一体による宇宙開発への取り組みが進む今、宇宙はもはや遠い未来のテーマではなくなっています。通信・防衛・エネルギー・データという広範な分野と直結する成長産業へと変貌しつつあるのです。
もっとも、宇宙産業は技術・規制・資金調達といった不確実性も大きく、関連銘柄の値動きは短期的に荒くなりやすい傾向があります。しかし、SpaceXのIPO報道は、宇宙産業の転換点を象徴する出来事であり、様々なリスクには注意をしつつも、本格的な商業化を見据えて、中長期の成長テーマとして注目する価値はあるのではないでしょうか。