ニュースでよく耳にするものの、よくわかっていないインデックスについてお伝えする本連載。今回は、本連載では初登場となる東証スタンダード市場の銘柄で構成されるインデックスをご紹介します。
そもそも東証スタンダード市場とは
東京証券取引所(以下:東証)は、株式市場を規模や成長段階に応じてプライム、スタンダード、グロースの3市場に区分し、上場企業の特性に合った資金調達の場を提供しています。
プライム市場は最上位で、大企業向けです。高い時価総額・流動性・厳格なガバナンス基準を満たした優良企業が上場し、外国人投資家の多くがお金を投じる企業が多いです。スタンダード市場は中規模企業中心で、安定した事業基盤と財務実績を持つ伝統的な中堅企業が多く、着実な経営を重視します。グロース市場は歴史が浅い成長企業向けです。将来の成長可能性や革新的ビジネスモデルを評価し、ベンチャー・IT・バイオ企業などが多数上場しています。本連載でこれまでご紹介してきたインデックスの多くはプライム市場上場銘柄を構成銘柄にするものがほとんどでした。
今回ご紹介する東証スタンダード市場TOP20は、東証スタンダード市場指数の構成銘柄のうち、時価総額及び流動性が高い20銘柄で構成されるインデックスです。そもそも、スタンダード市場には何銘柄上場しているの? という声が聞こえそうですので、インデックスをご紹介する前に、スタンダード市場について確認しておきましょう。2026年4月30日現在の上場銘柄数は以下の表のとおりです。2025年末と比較するとプライム市場上場銘柄は減少していますが、スタンダード市場上場銘柄は増加し、プライム市場より銘柄数が多くなりました。
銘柄数変化の理由
2026年に入ってスタンダード市場上場銘柄数が増えているのには理由があります。東証は2022年4月からプライム、スタンダード、グロースの3市場に再編したことに伴い、各市場の「上場維持基準」を変更しました。端的に言えばそれぞれの市場に上場していられる基準は再編前に比べて厳しくなりました。
だからと言って、急に例えば「プライム市場から出ていきなさい!」というのは酷な話です。ですから、各市場の上場維持基準を未達の企業でも上場を維持できる「経過措置」期間を3年設けていました。つまり2025年3月で経過措置は終了しています。2025年3月1日以降に最初に迎える決算期末を基準日とし、上場維持基準に未達の場合は改善期間に入りました。その1年後の決算期末時点でも未達であれば監理・整理銘柄に指定され、上場廃止に至ることになっていました。
上場廃止を避けたい企業の一部が選んだ選択が、市場を変更することです。プライム市場よりもスタンダード市場の上場維持基準の方が緩いので、上場する市場を変更することで、上場廃止を避けようとする企業が多かったのが、スタンダード市場上場銘柄が増えた理由です。
とはいえ、市場別の時価総額はプライム市場の方が圧倒的に大きいです。スタンダード市場は小粒な銘柄で構成されているということになります。
東証スタンダード市場TOP20
では、「東証スタンダード市場TOP20」の概要を確認しましょう。時価総額及び流動性が高い20銘柄で構成されるインデックスでありながら、「加重平均方式」ではなく「株価平均方式」が採用されているのは面白いですね。また、スタンダード市場から他市場へ市場変更されることがありますが、そのような銘柄は定期入替をもって除外の対象になります。
チャートを確認しましょう。指数算出が始まった2022年4月以降で見ると、TOPIXにアンダーパフォームしています。スタンダード市場銘柄はプライム市場銘柄と比較すると外国人投資家の取引量が少なく、大型株が弱い時には相対的な強さを見せる局面があります。
2026年初からのチャートにするともっとわかりやすくなるでしょうか。2026年3月はイスラエルと米国がイランに攻撃を与え始めた時期です。TOPIXは大きく下げましたが、東証スタンダードTOP20の下げはそれほど大きくありませんでした。
なぜ今、スタンダード市場銘柄?
銘柄数が多いにもかかわらず、時価総額が小さい銘柄が多いスタンダード市場銘柄で構成されるインデックスに焦点を当てたのには理由があります。以前、本連載の「TOPIXが姿を変える」で2026年10月からTOPIXの算出要領が変更されることをご紹介しました。採用銘柄の対象がプライム・スタンダード・グロースの全市場に拡大されるので、スタンダードやグロース市場の流動性が高い銘柄が新規採用される見込みです。新規採用銘柄にはTOPIXに連動する投資信託やETFの資金の買い需要が産まれます。つまり、TOPIXに新規採用される銘柄への買い需要を先回りすることが可能になります。
どんな銘柄が選ばれるのか? そのヒントの一つが、東証スタンダードTOP20です。スタンダード市場銘柄のうち時価総額及び流動性が高い20銘柄で構成されるインデックスだからです。2026年3月末時点でのウエイト上位10銘柄を確認しましょう。
聞いたことがある銘柄が少ないなぁと感じたかもしれません。日本マクドナルドHDやヨネックスは聞いたことがあるかもしれませんね。前者は外食大手で、後者はスポーツ用品メーカーです。2位のフクダ電子は心電計に強みを持つ医療用電子機器メーカーです。3位の上村工業は「めっき」用化学品の大手です。実は10銘柄いずれも時価総額が2000億円以上で、規模だけならプライム市場に上場していても不思議ではない銘柄ばかりです。スタンダード市場にも光る銘柄があることを教えてくれるインデックスが東証スタンダードTOP20だとぜひお見知りおきいただきたいです。